ためらいの看護 臨床日誌から

  • 岩波書店 (2007年10月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784000237697

作品紹介・あらすじ

本書が発売された今日、梅田の書店に立ち寄った。生まれて初めて出版される自分の本を、来年度の手帳と一緒に購入する。店員から「ありがとうございました」と言われて、面映ゆい思いがする。うれし恥ずかし、とうとうこんなことになっちゃった、という気分だ。地下鉄に乗って阿倍野まで帰り、雨がひどく降っていたので、チンチン電車が走る道沿いの喫茶店に入る。ぼくが高校生だった頃から、この店はここにある。ずいぶん生意気な議論をした場所だ。もう少しでこぼれそうな程たっぷりのコーヒーを前にして、ぼくは自分の本を取り出した。柔らかなタッチの装画が、とても気持ちいい。
  どんな顔の人が、この本を手にしてくれるのだろう。会ったこともない人の顔は想像すらできない。でも、必ずある顔を持った人に、この本が読まれるのだと考えると、不思議で仕方ない。ぼくは立派な看護師でもなければ、何か言うべきことを知っている人間でもない。いつも、ためらいながら生きてきたし、これからもそうだろう。ひょんなことから看護師になって、いろんな人と出会ってきた。忘れてしまったことのほうが多いのだけど、幾度か文章を書く機会に恵まれて、迷いながらことばを探した。そのつど、考えたことを書いてきただけのことだ。しかし、ぼく自身の首尾一貫した主張があるわけではない。患者と呼ばれた人たちの、ある人の前で、ぼくが何を感じ、何を思い、何を考えたのか。相手と自分の間にゆらぐことを、「ためらいの看護」として書きつけた。
  この本の中で、あの人が生き続けてくれたら、そして、この本を読んでくれる人に、あの人の姿が見えれば、中途半端なナースのぼくは嬉しい。
  明日は、この本の第3章「生きる技術・生かす技術」に出てくる山本さんと一緒にバイクでツーリングをする。雨が心配だけど、十津川の近くをゆっくり走ってくるつもりだ。明日の夜、酒の席で『ためらいの看護』を、彼に手渡すのが楽しみだ。

みんなの感想まとめ

看護や介護の世界における「正解」が存在しないことを深く考えさせる内容が特徴です。著者は精神科病棟での経験を通じて、患者との出会いや日常のリアルな瞬間を描き出し、読者にとって非常に読みやすい作品に仕上げ...

感想・レビュー・書評

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  • 精神科病棟で見習い看護師になったのをきっかけに、本格的に看護や臨床哲学を学んだ異色の経歴の方。
    臨床日誌とあるように、実際に様々な患者さん達との出会ういのなかで感じられたこともかなりあるので、とても読みやすく、「正解」の無い看護・介護の世界、本物の看護とは何かを深く考えさせられます。

  • 閉鎖病棟の中のリアルな日常

    人間はいつどうなるかなんてわからないんだよな

  • 2008/2 読。

  • 08年5月 図書館
    臨床哲学

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著者プロフィール

1957年、大阪生まれ。専門は、看護と臨床哲学。元大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任教授。現在はNPOココペリ121理事。高校卒業後、精神科・透析治療・老人介護の現場で看護師や介護士として働く。一方で関西大学の2部で哲学を学び、後に大阪大学大学院文学研究科博士前期課程修了。現在は「認知症コミュニケーション」の研究を行いつつ、哲学カフェやダンスワークショップなどの活動にも取り組む。著書に『となりの認知症』(ぷねうま舎)、『「一人」のうらに』(サウダージ・ブックス)、『増補 ためらいの看護』『臨床哲学への歩み』(ハザ)など。共著に『ケアってなんだろう』(小澤勲編、医学書院)など。

「2025年 『老いと暮らすヒント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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