中東・北アフリカの体制崩壊と民主化 MENA市民革命のゆくえ

  • 岩波書店 (2011年10月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784000238717

感想・レビュー・書評

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  • 2010年「国境なき記者団」による同地域の報道の自由度の評価は、世界178カ国中、アラブ首長国連邦(87位)、クウェート(同87位)、ヨルダン(120位)、カタール(121位)、オマーン(124位)、エジプト(127位)、アルジェリア(133位)、バーレーン(144位)、サウジアラビア(157位)、リビア(160位)、チュニジア(164位)、シリア(173位)などMENAのほとんどの国が最下層に位置する。(Source: htttp://en.rsf.org/press-freedom-index-2010,1034.html
    勿論、強力な国家権力に対向するメディアはない。インターネット上では批判的な論調を載せるメディアも出てきたし、アルジャジーラのような衛星放送も存在する。しかし、まだメディア統制はどの国も厳しい。p26

    【1. 歴史の悲劇】
    MENAが歴史的に立ち現れてきた過程をみると、19世紀から20世紀にかけて西欧列強の支配に抗する形で、オスマン帝国の系譜を継ぐ諸州が、行政組織と軍事機構で領域内体制を強化・改変し、対応しようとした。だが、結局は、西欧の支配下に組み入れられ、オスマン帝国の出自と断絶することになった。そして地域は、フランスの支配下に置かれたモロッコ、アルジェリア、チュニジア、シリアと、イギリスの支配下に置かれたエジプト、イラク、ヨルダンのいわゆる肥沃な三日月地帯と、イタリアに支配されたリビア、そしてワッハーブ運動から独自の自治路線を維持したアラビア半島とに、運命を分かたれた。こうして第二次世界大戦後、最終的に列強の同意の下で、国家という線引きがなされることになる。p59-60

    【(エジプト)民衆蜂起の広がり】p165
    アラビア語世界には、文語であるフスハーと、口語であるアンミーヤが存在する。本や雑誌、テレビや国会討論などはフスハーで、フスハーによる情報交換が成立している世界と、アンミーヤによる日常語世界とがわかれている。さらに高等教育を受けた人とそうでない人との間では、獲得する情報の種類や分量に隔たりがあった。アラブ人にとっても、高い旧育を受けても美麗な文章を書くことは極めて大きな負担であり、このことが、民衆レベルでの言語コミュニケーションを通じた大きなネットワークを作り出すことが難しかった理由の一つだとされている。また、28文字のアラビア語は、携帯電話で入力することは難しい。
    そこで若者たちは、日常会話で使うアンミーヤをローマ字表記にしてメールに利用した。ローマ字ではアラビア語のすべての音を表記できず、正確さを欠く一方、友人同士ではそつなくコミュニケートできる。話し言葉であったアンミーヤが文字を獲得し、そのコミュニケーション範囲が口コミの世界から解放されたのである。
    Cf. 西尾哲夫「新生アラビア語が生んだ“フェースブック革命”」『週刊エコノミスト』(毎日新聞社、2011年3月22日号)、38頁

    表26 MENAにおけるインターネットの普及 p243

    表30 MENAにおける独裁体制への挑戦 p262
    https://www.dropbox.com/s/5qm5pn2jnhouz01/MENA%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%8B%AC%E8%A3%81%E4%BD%93%E5%88%B6%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%8C%91%E6%88%A6.jpg?dl=0

  • 途上国の資源の呪いについて調べていて,そこに関するところだけ読んだ。

    資源の呪いにかかっているアルジェリアがどのように資源の呪いを克服しようと取り組んだか書かれていて参考になった。
    しかし,政権の流れに本自体は重点を置いているようで参考になったところは少なかった。しかし,この本は相当な努力をもって書かれているのでその点はすごいと思った。共著でなく1人でこれだけの量を書くのは相当大変だったと思う。

  • 20年来の親友の渾身の力作。これで北アフリカ・中東情勢を勉強したい。

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著者プロフィール

福富 満久(フクトミ ミツヒサ)
一橋大学大学院社会学研究科教授
一橋大学大学院社会学研究科教授。1972年福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。2005年早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。2010年同博士後期課程修了(博士 政治学)。その間、2009年パリ政治学院(Sciences Po)プログラム・ドクトラル修了(Ph.D. 国際関係学)。2012年一橋大学大学院社会学研究科准教授、2015年より現職。2015年8月~16年3月カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)オルファレア国際問題研究センターリサーチフェロー。
著書に、『中東・北アフリカの体制崩壊と民主化』(岩波書店、2011年)、L’autoritarisme dans la structure politico-economique internationale, Dictus Publishing, 2012、『国際平和論』(岩波書店、2014年)、『Gゼロ時代のエネルギー地政学――シェール革命と米国の新秩序構想』(岩波書店、2015年)など。


「2018年 『戦火の欧州・中東関係史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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