知的障害と裁き――ドキュメント 千葉東金事件

著者 :
  • 岩波書店
3.61
  • (3)
  • (6)
  • (8)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 71
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000238793

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 知的障害者が少女を殺害した事件を扱ったもの。知的障害者の取り調べや弁護団の法定戦術などが主なトピックで、精神鑑定については軽く触れられているのみ。しかも弁護団が途中で交代して方針が180度変わったため、記載内容もやや混乱している。

    ・知的障害の人たちは取り調べ段階で意味も分からずに肯定したり、やたらと迎合的になることも多く、証言内容はあまり信頼できない

    ・責任能力について、弁護団は当初、無罪を主張していたのでこれを争わなかったが、弁護団が交代して一点、心神耗弱・喪失を主張するようになった。鑑定人として高岡健が選ばれ、クレッチマーの短絡反応が持ちだされた。すなわち、原始反応として爆発反応と短絡反応があり、前者が運動暴発や記憶の欠損を伴うのに対し、短絡反応はより複雑な行動をとることがあり、体験刺激に対して断片的な人格を介して反応行動に至る。
    少女に「バカ」と言われただけで殺害に及んだという行為は入力に対して出力が過大であり、断片的な人格のみを介している(弁識能力が障害されていた)ことを示しているという鑑定結果であったらしい。
    これだと激情型の犯罪はすべて責任能力の障害ということになるのだが、、、
    裁判では鑑定は採用されていない。

著者プロフィール

1953年、秋田県生まれ。2001年よりフリーランスとして、執筆や、雑誌・書籍の編集発行に携わる。1987年より批評誌『飢餓陣営』を発行し、現在57号。
主な著書に『自閉症裁判』(朝日文庫)、『知的障害と裁き』(岩波書店)、近刊に、村瀬学との共著『コロナ、優生、貧困格差、そして温暖化現象』(論創社)、『津久井やまゆり園「優生テロ」事件、その深層とその後: 戦争と福祉と優生思想』(現代書館)がある。

「2023年 『明日戦争がはじまる【対話篇】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤幹夫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アンデシュ・ハン...
村田 沙耶香
三浦 しをん
末井 昭
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×