デザインのデザイン

  • 岩波書店 (2003年10月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784000240055

みんなの感想まとめ

デザインの本質を探求するこの書籍は、クリエイティブな職種でない読者にも深い洞察を提供します。著者は、デザインを単なる形式や技術としてではなく、生活や文明批評の一環として捉え、読者に新たな視点を与えます...

感想・レビュー・書評

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  • クリエイティブの職種ではないけど広告の世界で何十年と働いてきたけど、デザイン・プロデュースする事の本質に今一度立ち返らせて頂けた一冊。

  • 「デザインのデザイン」というなかなか難しそうだけれど面白そうなタイトルで、実際とても読み応えのある良書でした。産業革命から現在に至るまでのデザインの潮流や、一流デザイナーの手がけた作品たちを通して、「デザインとは何か」という問いかけに、自ら踏み込むことのできる一冊。
    2000年代はじめに著された本なので、その頃から社会は大きく変わっているために現在進行形のデザインの趨勢を見つめるにはそのタイムラグを読者自ら補う必要があるが、とても冴えた論評が展開されているのでそのために必要な思考の基軸は本書の中にきっと提供されている。とはいえぜひ筆者にまたアップデートしたものを増補改定して出してほしい。

  • ・何かをわかるということは、何かについて定義できたり記述できたりすることではない。むしろ知っていたはずのものを未知なるものとして、そのリアリティにおののいてみることが、何かをもう少し深く認識することにつながる。

    ・デザインは生活というポジションから見る文明批評だ。

    ・シンボルの器の大小は意味を盛り付けられる器としての容量に比例する。

    ・マーケティングが精密に行われる限りにおいて、製品はそのメーカーがフランチャイズしている市場の意識の反映であり、その欲望のレベルや方向がそれらの製品を通して浮き彫りになる。

    ・市場の欲望の質=競争力

    ・日本は文化の受け皿。太平洋という奈落を背にして到来する文物の全てを受け止めるポジション。

  • 偉大なデザイナー、原研哉さんの思うデザイン論を主体とした本。
    うーむ。「白」を読んだ時から感じていることではあるのだけれど、文章がお堅く周りくどい感じがして、最後まであまり入って来ず集中できなかった。その様な文体は苦手...
    内容自体は興味深く、特に「リ・デザイン展」と愛知万博の話等は面白かった。

    ・ゼロから新しいことを生み出すことも創造だが、既知のものを未知化することもまた創造。
    ・人間が暮らすことや生きることの意味を、ものづくりのプロセスを通して解釈していこうという意欲がデザインなのである。
    ・デザインは生活というポジションから見る文明批評でもある。
    ・マーケティングを繰り返して商品開発をすることは、消費者を甘やかしてしまう危険性も孕んでいる。
    ・日本の美意識は、辺境から世界を均衡させる叡智として育まれたもの。
    ・デザインはコミュニケーション

  • 無印良品のデザインを手がけている原研哉さんの本です。
    デザインとは何かという彼の考えを述べる部分から始まり、それまで手がけてきた仕事を順々と紹介しています。

    松屋銀座のリニューアルオープン、無印良品、愛知万博など、有名な仕事が多いので、読んでいてなるほどそういう意図があったのかと納得させられます。
    挿絵の写真も多くてレイアウトも素敵なので、とてもおしゃれな本だなとも思いました。

    私はこの人の考え方がとても素敵だと思います。
    ものをデザインするということは、そこに自分がこのものがこうあってほしい、こういう意識を持って使って欲しいと思う希望を込めることだという仕事に対する姿勢も素敵だと思うし、今まで日本で受け継がれてきているものを再発見して新しいデザインにするというのも素敵だと思います。

    本の中で日本人の美意識や伝統的な日本の美についても書かれています。
    明治の文明開化以降、日本は西洋の模倣に躍起になっていますが、日本的な美しさも捨てたものじゃないという主張は共感できるなと思いました。
    私たちの中にある美しさの基準は、きっと今まで連綿と続いている文化の中にあるはずです。
    日本の文化のことをもう少し大切にしたいと思える本でした。

  • デザインのこれからと今。

    著者が手がけた制作物とその制作に込めた思いを伺うにつけ、深い精神性と手仕事が持つ丁寧さがひしひしと伝わってくる。おのずとデザインの役割も浮かび上がってくる。

    面白いのは、日本文化の持つ役割への着目だ。
    そこに声高なナショナリズムはないが、この時代に即した新たな可能性を開くチカラが日本にはあるということが分かった。

    デザイナーだけでなく、あらゆる職種で自分の身に当てはめて読める、良い意味での自己啓発本でもある。

  • 欲望のエデュケーション
    住環境の欲望の基準が低い。
    ハッとさせられた。

    確かに2DKとか庭付きとか、記号化された表現に慣れきっていた。
    そっか、広ければいいわけでもない。
    豪華な装飾があればいいわけでもない。

    どのようにその空間を楽しみたいのか想像を巡らせて、日の光はこう照らして欲しい、廊下はこのぐらい幅があった方が動きやすそう。

    そうやって考えを巡らせようと思う気づきがありました。

    それと、ビジュアル多めの雑誌を作ろうと決めた。

  • デザインに関しては過不足なく言い切っているこの本が一番だと考えてます。

  • 私が今一番求めていた本。デザインとは何か。文章が読みやすい上に内容がとても面白い。でも読めば読むほどデザインの定義というものは実際に言葉にできるのかわからなくなった。「デザイン」は動詞のような気がする。さらに「何を」「何のために」がないと成り立たない。"問いを発見することがデザイン"
    原さんはあまりごちゃごちゃしたようなデザインを好んでないのかな?今の世の中のデザインに対するイメージ、物の見た目とか、に対してそれだけではない、それは結果であってデザインそのものではないということを頻繁に主張していたような気がする。

  • デザインというのは見た目だと思っている人が多いと
    思いますがそうではなく、デザインは側ではなく本質を
    知らなければならないということを教えてくれた本です。

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • デザイナーとしてのマインド。
    全然知らなかったデザインの歴史について触れていた。

    デザインだけでなく経済的な視点からもデザインを捉えている。
    本の中で言う大局を捉える。ということに経済について考えることも含まれているんだろうな。
    むしろそれがわからないと良いデザインはきっとできない。

    原さんは文章の書き方もうまい。
    本を書くこともデザインだというふうなことを言っていた。
    きっと訓練すれば身につくことなんだから自分もやってみよう。

    なんか、すごく感動している。
    デザインというものに携わる。とあのとき決めてよかったと嬉しく思ってる。(留年した後の就活)
    実際にやることは地道なことだったり、初めてやることばかりで思う通りにいかないことばかりだけど、
    こんな人たちがつくってきたデザイン業界の今にいると考えるととても嬉しく、背筋が伸びる。
    (ちょっとうまく言語化できていないけど)
    もっとデザインが好きになった。
    決してファッションや賑やかしなんかではない。

    逆に、こんな考え方を知らずによくデザイナーになろうなんて決めたな。
    なんか失礼だ。笑

  • 前半がとても面白かった。
    特に、「坂茂とトイレットペーパー」は私の理想とするデザインを体現したものだと思った。
    デザインは見た目の美しさだけでなく、機能性も兼ね備えなおかつそこにデザイナーの哲学が潜んでいるというのが私の考える理想のデザインである。
    哲学が潜んでいるのが一番のポイントで、それが前面に出ることはあまり美しいとは思わない。
    以上は私の考える理想のデザインだ。

    著者は、プロのデザイナーであるからそこには自ずと商業的要素が加わってくる。
    著者がアートディレクションをした無印良品のコンセプトについて、「が」ではなく「で」というエピソードが印象に残った。
    以下引用。
    「無印良品が目指す商品レベル、あるいは商品に対する顧客の満足度のレベルはどの程度のものなのだろうか。少なくとも、突出した個性や特定の美意識を主張するブランドではない。「これがいい」「これじゃいなきゃいけない」というような強い嗜好性を誘発するような存在であってはいけない。(中略)すなわち「これがいい」ではなく「これでいい」という程度の満足感をユーザーに与えること。「が」ではなく「で」なのだ。しかしながら「で」にもレベルがある。無印良品はこの「で」のレベルをできるだけ高い水準に掲げることが目標である。(中略)「が」は時として執着を含み、エゴイズムを生み、不協和音を発生させることを指摘したい。結局のところ人類は「が」で走ってきて行き詰っているのではないか。消費社会も個別文化も「が」で走ってきてっ世界の壁に突き当たっている。そういう意味で、僕らは今日「で」の中に働いている「抑制」や「譲歩」、そして「一歩引いた理性」を評価すべきである。「で」は「が」よりも一歩高度な自由の形態ではないだろうか。(p109)
    示唆に富んだ興味深い発想である。

  • デザイン、難しいぜ。でも日本のデザインということでは茶の湯とも深く関係しうるものだわな。無印のデザインとかを手がけた人による本。デザインとは何かから考え、まず概念の発生から見ていくんだけど、19世紀の半ばに機械生産が拡大していくけどそれは「不器用な手」だった、つまり伝統工芸と違って感受性を踏みつけにしていくなかで生まれたと。んでモダニズムとかポストモダン、コンピュータも出てきて21世紀、リデザインという考えが出てきて坂茂の四角いトイレットペーパーとか隈研吾のゴキブリホイホイとか。そして情報の建築としてのデザインだったり、欲望のエジュケーションだとか、あと変わってしまう前の愛知万博の話とか。

  • 幾度目かの再読。初めて読んだのは15年ほど前で、以降折に触れて読み返している。読む度に新しい気づきがある。遠い地平に向けて書かかれており、当時は読んでいても気づけなかった事を、初めて読んだことのように瑞々しく感じられるのは、良書の証左。

  • 良書。
    「デザインは技能ではなく物事の本質をつかむ感性と洞察力」という言葉が印象的。
    「デザイナー」という肩書きを持つ人でも「デザイン」というと色柄形だけに取り分け着目している人も正直多いけど、本質は全然違くて、社会やもっとスケールダウンした日常の中で敏感に捉えた違和感みたいなものを咀嚼して、新たな尺度で問題提起・解決していくプロセスのような気もする。
    無印の話や愛知万博の話が面白かった!
    愛知万博の話を聞いて東京オリンピックの開会式をふと思い出してしまった...笑
    そして陰翳礼讃も読もうと思った。

  • 著名なデザイナーである原研哉氏の著書。
    個人的にオススメしたいのは第1章のデザインとは何か、第6章、第7章のこれからの日本の進むデザインの方向性についての示唆が興味深い内容。
    特に第1章は広く知られている内容かもしれないが、デザインを専門外とする私にとっては面白い系譜で、特に西洋や資本主義の煽りに抗っていたデザイナーなどの潮流が見れて、その歴史について知的好奇心を擽られた。
    第6章、第7章は共感する部分が多く、日本の良さ、古来からの美に関する知見を増やしていくことが、今後の世界への情報発信のベースになるかもしれないと改めて考えを広げてくれた。

  • 『デザインのデザイン』ってなんか謎かけみたいな名前だなと思いつつ、会社の先輩に勧められて手に取った1冊。

    「デザイン」というとポスターや広告など、視覚的なビジュアルを今まで思い描いていたけれども、この中で原研哉氏が取り上げているのは、それよりももっと広義な内容。視覚的なことだけでなくて空間の佇まい、ショッピングバッグの触感、課題を解決するために商品の形そのものや、素材、訪れた人にどんな体験をして、どう感じて欲しいかまで、細部に至るまで設計され尽くされた事例の数々。特にテープ状のゴキブリホイホイや、かっこいい紙おむつ、など形容詞と名詞が合っていないけれどもそれぞれ課題に対して今までとは違うアプローチをしている点がとても面白かった。

    特に原研哉氏は、「日本文化で生まれ育ったからこそできるデザイン」へのこだわりがあって、空間やモノの中で極限まで無駄を省き、本質的なものだけを残す引き算の美学や、緊張感、メリハリのようなものがどの事例にもあったように思う。また、日本が世界地理的にも様々な文化を受容する立場である、という解釈も興味深かった。

    日本の巨匠の頭の中が少し見えた1冊で、とても発見が多かった。

  • デザイナーがデザインについて語り、社会の中でデザインがどういう営みなのかを位置付ける(デザインする)ことを目的にした本かな。

    無印良品のデザインに関わっている人なんだけど、無印の商品は「が」ではなく「で」なのだと。「〜でいい」、というより「〜がいい」って言った方がプラスの意味合いは強いし、それは個人の自由、権利を象徴するものだと。でもそれは一歩間違えればエゴイズムに繋がるし、競争の激しい今の世界に望ましい態度ではないのではないかと。満足できる高レベルでの「〜でいい」こそ、一歩引いた理性、高次元の自由を体現し、慎ましさを重んじる日本的美意識にも通じるとか。それを商品に表そうとしているらしい。YouTubeでローランドが無印の化粧品ばっか使ってた図が思い浮かんだ。脱帽です。。

    デザイナーゆうてるけどもう思想家に近いなって思う文章。

    • ともひでさん
      これは凄すぎる、鳥肌。
      他のブランドとは一線を画すお手頃でどこかすましたおしゃれさは計算尽くだったんやな。
      これは凄すぎる、鳥肌。
      他のブランドとは一線を画すお手頃でどこかすましたおしゃれさは計算尽くだったんやな。
      2019/10/30
    • てぃぬすさん
      これから無印のもの買ってしまいそう
      これから無印のもの買ってしまいそう
      2019/10/30
  • もう随分と昔の本なのだと巻末を見て思ったが、そんなことは感じさせない新しさ普遍性がある。
    2016/1/27
    ウユニ湖のど真ん中での無印良品の広告の撮影の時にカメラマンが、「4mの高さから撮りたい」と言ってしぶしぶ足場を溶接して組み上げ、上がってみたら「なるほどこれか」と感じたという話が何故か心に残っています。

  • デザインといえばどこか耳触りがよく、かっこよくてスマートな印象を受ける。でも、そもそもデザインってなんだろうか。そう聞かれると、そういえばなんだっけと首を傾げるひとは多いはず。

    デザインとは、ものごとに潜む問題の本質を見つけだし、解決するプロセスだと、原さんは言う。
    たとえば原さんがデザインに関わる無印良品のプロダクトのひとつひとつは、私たちの日常生活にある問題に光をあてている。
    それらは問題の存在に気付かせ、さりげないやりかたでそれを自然な方向にずらしてくれる。

    つまり、ただ表層だけ綺麗で、実態としては消費者の欲望を喚起するだけのものはいいデザインとは言えない。

    そうした美しさに対するセンスが、日本人にあるかというと、どうなんだろう。巷にあふれる粗野なデザインは、日本人の美的センスを反映したものなんだろう。

    だからこそ、いいデザインを積み上げることでそうしたセンスをエデュケートできると原さんは言う。
    それは、できればいいな、ではなく、グローバル化する経済のなかで、デザインの面で競争力を高めるためには、社会的土壌としてのひとびとの高いセンスが必要であり、いいデザインがそれをひっぱっていくことが必要だってこと。

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著者プロフィール

グラフィック・デザイナー。1958年岡山市生まれ。武蔵野美術大学教授。日本デザインセンター代表。
文化は本質的にローカルなものととらえつつ、日本を資源に世界の文脈に向き合うデザインを展開している。広告、商品、展覧会、空間など、多様なメディアで活動。
著書は『デザインのデザイン』(岩波書店/サントリー学芸賞受賞)、『白』(中央公論新社)ほか多数。

「2014年 『みつばち鈴木先生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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