データサイエンスの経済学 調査・実験,因果推論・機械学習が拓く行動経済学

  • 岩波書店 (2023年10月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (274ページ) / ISBN・EAN: 9784000240666

作品紹介・あらすじ

ビッグデータの集積や人工知能の活用が叫ばれる中、エビデンス重視の実証革命が進み、データサイエンスを駆使した新たな経済学が要請されている。著者の過去20年間の研究を踏まえ、因果推論や機械学習などを用いるデータ分析の手法だけでなく、適切にデータを取得する調査・実験の手法を解説し、使える経済学の字引を提供する。

感想・レビュー・書評

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  • データを用いた政策効果の分析や経済学の理論の定量的な検証が行われる機会が増えてきている。筆者も行動経済学を専門にし、データを用いた多くの研究を行ってきており、大学における教育の場面でも、それらに関する講義を行っている。

    この本では、筆者がデータを用いた研究において代表的な手法である、アンケート調査、フィールド実験、因果推論や機械学習といった3つのテーマについて概説をしている。


    アンケート調査については、アンケートによる離散的な選択肢の統計処理の方法としてのロジット・モデル、2つ以上の選択肢の中から選好を回答してもらうことで時間選好率や支払意思額などを分析できるコンジョイント分析の方法を紹介している。

    フィールド実験については無作為比較対象試験を紹介しているが、このような社会実験の取組みにおいて常に論点となる、セルフセレクションによるバイアスの問題やオプトイン・オプトアウトの設計による結果の差異など、調査設計を行う上で留意すべき点を、丁寧に説明している。

    そして因果推論や機械学習についての章では、機械学習の手法の一つである「ランダム・フォレスト」を因果推論に応用する「コウザル・フォレスト」を紹介している。この手法は、個々の属性情報を元に個人ごとに異なる介入効果を推計するために使われる。

    また、このような因果推論の方法を活用することで、個々の人が介入を受けるか否かを選択できるという条件下でどれだけ介入の効果が得られるのかを推計したり、予算制約の中でどの人に介入をすることが社会的な厚生を最大化するかといった問いを検討することもできるようになるという。


    データを活用した政策分析の領域で主要であったり先端的であるトピックを取り上げており、関心を持つ人が多いのではないかと思った。それぞれの章で取り上げられている手法自体は相互に関連性が高いわけではないが、事例の紹介に当たっては筆者が実際に調査や分析を行った事例を紹介しながら説明がなされており、理論モデルの内容だけではなく具体的な適用事例もイメージすることができる点がよかった。

  • データサイエンスの経済学の授業にて
    また大人になって機会があったら読み返す
    初学者向けではないと思う、かなり難しい箇所もあり

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  • 【書誌情報】
    『データサイエンスの経済学――調査・実験、因果推論・機械学習が拓く行動経済学』
    著者 依田高典
    ジャンル 経済
    刊行日 2023/10/27
    ISBN 9784000240666
    Cコード 3033
    体裁 A5 ・ 上製 ・ 274頁
    定価 3,740円

     ビッグデータの集積や人工知能の活用が叫ばれる中、エビデンス重視の実証革命が進み、データサイエンスを駆使した新たな経済学が要請されている。著者の過去20年間の研究を踏まえ、因果推論や機械学習などを用いるデータ分析の手法だけでなく、適切にデータを取得する調査・実験の手法を解説し、使える経済学の字引を提供する。
    https://www.iwanami.co.jp/book/b633348.html

    【目次】
     はじめに

    序 章 行動経済学の死から再生へ
     1. ビッグデータ時代の行動経済学
     2. 行動経済学は死んだのか
     3. 再現性問題を考える
     4. 実験倫理の重要性
     5. WEB調査は信頼できるか
     6. 内的妥当性と外的妥当性
     7. 異質性こそ研究の最先端

     付録 調査・実験研究倫理及び実験倫理委員会設置規程

    第Ⅰ部 アンケート調査の経済学

    第1章 アンケート調査の力――離散選択分析
     1. 本章の目的
     2. インターネット接続のアンケート調査
      2.1 アンケート調査の背景
      2.2 アンケート調査の解説
     3. 調査票の計量経済モデル
      3.1 離散選択分析
      3.2 ランダム効用理論
      3.3 条件付きロジット・モデル
      3.4 入れ子ロジット・モデル
      3.5 ミックスド・ロジット・モデル
     4. 調査票の計量経済分析結果
      4.1 電気通信分野の離散選択分析
      4.2 4選択肢モデルの計量経済分析
      4.3 ADSL部分市場の計量経済分析
     5. その後の研究の発展

     付録 「電気通信事業分野における競争状況の評価」アンケート調査

    第2章 コンジョイント分析の技――表明選好分析
     1. 本章の目的
     2. 喫煙・依存症の行動経済学
      2.1 依存症の経済モデル
      2.2 割引効用モデル
      2.3 期待効用モデル
     3. コンジョイント分析
      3.1 RPデータとSPデータ
      3.2 コンジョイント分析
      3.3 ニコチン依存度調査
      3.4 コンジョイント分析調査票
     4. コンジョイント分析の計量経済分析結果
      4.1 ミックスド・ロジット・モデル
      4.2 喫煙習慣と時間選好率,相対的危険回避度
      4.3 個人レベルのパラメータ分布
     5. クロスアディクションの計量経済分析結果
      5.1 クロスアディクションとは何か
      5.2 嗜癖行動別に見る時間選好率と相対的危険回避度
      5.3 嗜癖行動の相互依存性
     6. その後の研究の発展

     付録 ① コンジョイント分析質問票
     付録 ② クロスアディクション計量経済分析(詳細)

    第Ⅱ部 フィールド実験の経済学

    第3章 フィールド実験の実践――無作為比較対照試験
     1. 本章の目的
     2. フィールド実験の経済学
      2.1 フィールド実験の強み
      2.2 フィールド実験の歴史
      2.3 フィールド実験の分類
      2.4 フィールド実験と行動経済学
     3. フィールド実験の実践
      3.1 実際にフィールド実験を使おう
      3.2 米国の教訓
      3.3 日本の挑戦
     4. フィールド実験の事始め
     5. フィールド実験は万能か

    第4章 フィールド実験の作法――オプトインvs.オプトアウト
     1. 本章の目的
     2. 強制型と承諾型のフィールド実験
      2.1 強制型フィールド実験とは
      2.2 強制型平均介入効果を測る
      2.3 承諾型フィールド実験とは
      2.4 承諾型平均介入効果を測る
     3. けいはんな学研都市の強制型フィールド実験
      3.1 ナッジの意義と限界を探る
      3.2 けいはんな学研都市のフィールド実験
      3.3 けいはんなフィールド実験の推定モデル
      3.4 けいはんなフィールド実験のピークカット効果
      3.5 馴化・脱馴化を探る
     4. 横浜市の承諾型フィールド実験
      4.1 デフォルト・バイアスは手強い
      4.2 横浜市のフィールド実験
      4.3 横浜市フィールド実験の推定結果
      4.4 横浜市フィールド実験の加入率分析
      4.5 横浜市フィールド実験のネット・ピークカット効果
      4.6 横浜市フィールド実験のトータル・ピークカット効果
     5. その後の研究の発展

    第Ⅲ部 因果推論・機械学習の経済学

    第5章 ポリシー・ターゲティングの経済学(上)――コウザル・フォレスト
     1. 本章の目的
     2. 経済学と機械学習の融合
     3. 因果的機械学習
      3.1 因果的機械学習の概要
      3.2 ランダム・フォレストの概要
      3.3 コウザル・フォレストの概要
     4. コウザル・フォレストの実際
      4.1 節電リベートのフィールド実験
      4.2 コウザル・フォレストの応用
      4.3 コウザル・フォレストの推定結果
     5. その後の研究の発展

    第6章 ポリシー・ターゲティングの経済学(下)――限界介入効果・経験厚生最大化
     1. 本章の目的
     2. 限界介入効果
      2.1 限界介入効果の概要
      2.2 オプトイン型vs.オプトアウト型フィールド実験
      2.3 米国ロスアラモス実験のMTE
     3. 限界介入効果の研究の発展
     4. 経験厚生最大化
      4.1 経験厚生最大化の概要
      4.2 強制型vs.オプトイン型節電リベートのフィールド実験
      4.3 経験厚生最大化の応用
      4.4 経験厚生最大化の推定結果
     5. 経験厚生最大化の研究の発展

     付録 ① MTEを用いた外的妥当性分析の詳細
     付録 ② EWMの動学化

    終わりに
    参考文献
    索引

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著者プロフィール

京都大学教授

「2017年 『スマートグリッド・エコノミクス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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