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- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000241427
作品紹介・あらすじ
これは宿命か-。実業家の道、天衣無縫の生、時の地層から掘り起こされ現れ出た人々の邂逅、それは、自分を宿命から解き放つ縁となるのか。樺太、アメリカ、ロシア、フランス、奄美-土地土地から呼び寄せられ辿った人生とは。ある財界人の自伝的小説。
感想・レビュー・書評
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人は今この時間だけに生きているわけではない。
人との契りは現実世界でのめぐり合いだけで成立しているわけではない。
深いところで感応するものは、その人の出自、地縁なども濃く影響する。
財閥後継者が辿った先祖の地縁との不思議な出会い、魅力的な女流画家との最後のヨーロッパ旅行の意味、
一生を貫く悔恨の想いと歴史に対する好奇心。
固有名詞は、読者のイマジネーションを刺激して物語をさらに深くする。
田中一村の絵が登場すると一気に奄美大島に魅了された一村の絵のイメージが浮かび、それに連なって物語りがさら振幅の度を高める。
強引に仕立てたようなエピソードもあるけれど、死を目前にした財界大物の自伝を医者が編集していくという設定が
物語をさらに膨らませいく。興味深く読み進める。
現在は現在だけで存在するわけではない。
過去そして未来も包括している。
未来、私たちのこの時代をどんな風に観るのだろうかと、ふっと思った。
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