- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000241830
作品紹介・あらすじ
明治に函館で生まれ、帝政ロシアの貴族と結婚し、オランダ領東インドで農園を切り拓いた一人の日本女性。「南島に輝く女王」と称された三輪ヒデは、日本の蘭印侵略、敗戦、インドネシアの独立とナショナリズムの高まりなど、近現代史の荒波に揉まれながらも逞しく生き抜いた。インドネシア史研究の第一人者が、歴史に埋もれたヒデの歩みを描き出す。
感想・レビュー・書評
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本屋さんで偶然手に取り、カフェに持っていき読んでるうちに面白くなって、そのまま買ってしまいました。
函館でロシア人と結婚し、インドネシアへ。。。そこが凄いところ。インドネシアとはゆかりのない日本人とロシア人なのに。インドネシアに行った頃は、オランダ領。戦争が始まり日本領に変わり、敗戦でまたオランダ。そしてすぐ独立。。。という目まぐるしい世の中の変化は、いまからでは全く想像もつきません。。パスポート、商売、土地の所有などなど。。国が変わると全部変わってしまう。。のに、生きていってる。
日露ハーフの子供は美人で、ミスインドネシアになった娘もいたり、デビ夫人とも交流あったり。
9人の子供は、オランダ、日本、アメリカ、イタリアなどで暮らす。
戦争で、オランダから日本統治、そしてインドネシア独立という社会の変化も。。
なんか凄いなー。。とにかく面白かったです。
少し「サンダカン娼婦館」も思い出しました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
インドネシア現代史を専門とする著者が、インドネシアと関わりを持っていた1人の日本人女性「三輪ヒデ」にたまたま興味を持ち、生存する関係者へのインタビューや関係記録の調査を丹念に重ね、三輪ヒデを中心とするファミリーヒストリーを明らかにしたもの。
三輪ヒデは、元松前藩士の娘として明治に函館に生まれ、帝政ロシアの貴族ニコライ・グラーヴェと結婚し、オランダ領東インド(現在のインドネシア)に渡って、農園を切り開き、その後、日本の蘭印侵略、敗戦、インドネシアの独立などの激動に翻弄されながら、世界を股にかけて逞しく生き抜いた。9人の子宝に恵まれ、その子や子孫たちもそれぞれの活躍を見せる。まさに朝ドラの主人公になってもおかしくないような波乱万丈の人生を送っていたといえる。
三輪ヒデの人生は非常に興味深いものであるが、著者の目にとまっていなければ、歴史の中に埋もれてしまっていたであろう。いわゆる著名人ではない三輪ヒデについて、よくここまで調べ上げたものだと、歴史家としての著者に敬意を覚える。ロシア革命、「大東亜」戦争、インドネシア独立などの歴史的事件に個人の人生がいかに影響されたかということもよくわかり、1つの家族史を語りながら、マクロな歴史の流れも伝えたいという著者の意図も見事に達成されていたと思う。 -
日本の"風と共に去りぬ"。スカーレットオハラと三輪ヒデが重なります。ロシア人貴族と函館で結婚し日本を飛び出した凄まじくも華麗な士族娘の物語。