日本領サイパン島の一万日

著者 : 野村進
  • 岩波書店 (2005年8月5日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000242387

日本領サイパン島の一万日の感想・レビュー・書評

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  • 日本時代のサイパンを知るための基本図書。地域を考える上での出発点となる本。

  • ホントに淡々と、第一次大戦で日本が委任統治領としてから第二次大戦で敗戦するまでの1万日の日記を書いた良作。日本から見たサイパンという島がどうだったのかが良くわかる。

  • もしこの本を読まなければ、サイパンに行って奇麗な海で泳ぎ、そして少しくたびれた感じのオフシーズンの観光地を見て買い物をして、ああ、なんだか少し物悲しいなあと思っただけに留まってしまったかもしれない。こうしてこの本を夢中になって読んだあとは、自然と出逢う人々の歴史や、彼らの親はどうしていたんだろう、この場所は戦争の前どんな様子だったんだろうか、戦後どんな変容を遂げてきたんだろう、と考えて旅するようになった。

    時々出逢う日本人らしい名字を持つ人のそぶりや、言葉や、英語の発音を聞きながら、ものすごい重くて複雑な歴史を感じる。戦前から戦後の流れの中で、日本の統治下からアメリカの統治に代わり、サイパンの人たちもお店もそこにあるものたちも、戦前とは全く異なっているように見えて、でも必ず連続している歴史の中で構築されてきたものなのだ。

    万歳クリフや玉砕などの有名な歴史的事実は知っていても、サイパンに戦争前どれくらいの人がいたのか、その人たちはどこから来てどんな生活をしていたのか、こんなに興味深く知ることができるとは思わなかった。

    第一次世界大戦後、日本の委任統治領となったサイパンには、東北や沖縄、朝鮮半島などから多くの「日本人」「沖縄人」「朝鮮人」(本文ママ)がやってきたという。この本では、いくつかの家族の歴史を中心に、サイパンの中心部、ガラパン地域で繰り広げられた日本人街構築の様子や、戦争の中で彼らがどのような運命を生き延びたかが描かれている。

    序章と後半で書かれていた収容所の中での様子は、濃密な家族の物語を読んだ後に知るとより深々と身に迫るものだった。
    友軍(日本からの軍隊)がくることや日本の勝利を信じて最後までで逃げ続けた人が馬鹿を見るという台詞や、日本の敗戦のあと、今までの怨恨をはらすかのような現地のチャモロ人や「朝鮮人」の人々の反応、食料を奪い合い、「負け組」と「勝ち組」に分かれて殺し合う「日本人」。一方で、個人的つながりの中で、「日本人」「朝鮮人」など隔てなく、究極の場面でもお互いを助け合っていた様子。

    戦後何十年も経て生まれた私は、あのとき最後まで逃げ続け、抵抗した人を「馬鹿」だとも思わなければ、洗脳されていて可哀想とも言えない。かといって、彼らを国のために身を捧げた英霊とあがめるのも何か違う気がする。早い段階で捕虜となって、見方によっては敵国であったアメリカ軍におもねっていた人々を卑怯だとも言えない。
    あの時の行動にベストや正解などなく、皆が一生懸命必死で、そして今よりも圧倒的な物理的、情報的、精神的制約の中で、自分のとるべき道を探していたんだと思う。

    この本を読んだら、自分はサイパンのことなんて何も知らなかったということを痛感した。
    レイテ、マリアナ、ガダルカナル、ミッドウェー、パールハーバー、ラバウル・・・戦争のことを学んだときにでてきた、たくさんの聞き覚えのある太平洋の地名や島名のなかでも、私はこの本を通じてサイパンの歴史の一部分を知ったに過ぎない。でもこれでよく分かった。私はまだ戦争のことをまだ全然理解しきれないんだということと、そこに埋まっているたくさんの物語を知ると、その知った部分によって、自分だけの「歴史」が構築されるってことを。そしてたくさんのことを知れば知るほど、その「歴史」が豊かになるし、歴史は一筋じゃないってことを。

  • 日本統治以前のサイパン、日本統治後のサイパン開発の歴史を知る事ができる1冊。

  • 想像を絶する物語。
    これが、ノンフィクションで
    あることに更に驚嘆。
    玉砕の言葉の意味を改めて
    教えてくれる。
    どうすれば、このような本を書くことができるのだろう。
    その取材力にも敬意を表したい。

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