日本映画と戦後の神話

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000242547

作品紹介・あらすじ

戦後、さまざまな神話を構築してきたヒーローたち-力道山、ゴジラ、山口百恵、昭和天皇、寅さん、ヨン様。彼らに熱狂したわれわれは、いったい何を見ていたのか。何が「国民的」神話を作りだすのか。観客が欲したもの、作り手が意図したもの。映画がもつ「神話」形成という装置に警鐘を鳴らしつつ、「神話」解体をめざし多様な表象に迫った、日本映画への注目のアプローチ。

感想・レビュー・書評

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  • 力道山、ゴジラ、山口百恵、錦ちゃん(萬屋錦之助)、寅さん、(高倉)健さんそしてヨン様がなぜ日本でヒーローとして一時代を画することになったのか。その背景を分析し、説得力ある説明で、映画評論史が立派な学問であることを改めて痛感します。寅さんが日本の故郷喪失に対するノスタルジー的な意味合いがあり、日本共産党には模範的な映画とされたというのは驚きでした。「冬のソナタ」がコスモポリタン的でしかも時代背景を全く捨象したどの時代にしても通用する物語にされているからこそ、日本の小母様方が何度も繰り返しビデオで見ても新鮮!というのは全く気がつきませんでした。その意味で韓国特有の「ハン」(恨)という感情とは無関係で、なおかつ、「冬」が韓国にとって、失った北を思い出させる独特の意味があるとも気がつきませんでした。8月15日の終戦記念日が日本にとって特別な意味を持ち始めたのは何時からか?という説明も驚きです。偶々お盆と重なったのではなく、お盆だったからこそ、「この日だけ」が残った!というのが真実に近いのでしょうね。「ゴジラ」の意味するものにしても、戦争が大きな影響を与えていたんですね。ここに紹介されている映画はぜひ見てみたいものばかりです。「日本以外全部沈没」も単なるパロディではなく、日本人の差別意識を掘り下げている深い内容なんですね。

  • 2012/12/18購入

  • 村上春樹と映画について、おもしろい。1968年についても若干。

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著者プロフィール

1953年、大阪生まれ。映画と比較文学の研究者、詩人、批評家、エッセイスト。東京大学文学部宗教学科を卒業。同人文系大学院比較文学比較文化科博士課程を中退。長らく明治学院大学教授として映画史の教鞭を執る。主な著書に『貴種と転生・中上健次』(新潮社、1996)、『摩滅の賦』(筑摩書房、2003)、『ハイスクール1968』(新潮社、2004)、『先生とわたし』(同、2007)、『歳月の鉛』(工作舎、2009)、『書物の灰燼に抗して』(同、2011)、『署名はカリガリ』(新潮社、2016)、詩集に『人生の乞食』(書肆山田、2007)、『わが煉獄』(港の人、2014)、翻訳に『パゾリーニ詩集』(みすず書房、2011)がある。

「2018年 『親鸞への接近』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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