- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000242660
感想・レビュー・書評
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p255の河合隼雄が次に書きたいテーマは「ヒルコ」(片子)ではなかったか、というサスペンス的な文章が興味を誘った。
「昔話と日本人の心」1982(p85)に「(ヒルコを)後にとりあげて論じることにしよう」と書きながら、その本の中で『それについて全く論じてないのに気がついた』
と、「生と死の接点」1989(p248)に述べておきながら、この「生と死の接点」の中でもヒルコに関しての論は突き詰められていなく
河合神話論の総決算本である「神話と日本人の心」2003でもトーンダウンしている。
と俊雄さんは述べている。
しかし、「生と死の接点」では私は十分ヒルコに関して論じていると思う。が、「神話と日本人の心」では「・・・論じるとなると、また、あらたに一書を書くことになるだろう」「それを論じるとなると、一冊の書物になるほどのことだからである」などの思い当たる言葉がある。
つまり、河合さんは亡くなってしまったが、このテーマは残留していると見るべきだろう。
今、日本で生きている大部分の人は、核家族した家族で生まれ大人になり結婚して、また核家族をつくり子どもを育てていく、この連鎖である。村の一員となれるイニシエーションもなく、共同体の一員でない個人が一生続く。これはまさしく片子の人生である。では、どうしたら良いのか。
河合さんは21世紀の課題とか言ってごまかしていることが多いが、ほんとは、防止策、将来像があったのでは?
河合さんの「未知の書」にはそれが書かれていたはず。国や人種を超越したコミュティーの創造なのだろうか?夢のような話になりそうで、時期尚早の極みである。
差別は人間の本能のような気もする。差別を乗り越える対策は永遠に続く作業、永遠に続く人類の自己実現の作業なのかもしれない、でまた終わる本だったのだろうか?
人類の自己実現なら、片子が人類の元型という論にも発展させることができる。
「未知の書」。読みたかったな~。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
天体にも神話にも心にも興味が尽きない!
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