ニーチェ以後 思想史の呪縛を越えて

  • 岩波書店 (2011年3月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784000242806

感想・レビュー・書評

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  • 京都学派に留まらず、文化左翼やポリティカルコレクトネスも軽快に批判していく様は読んでいて小気味良い。またニーチェが生きた19世紀が、哲学史の常識とは違い、むしろキリスト教の再復活の時代であったという指摘が面白かった。ニーチェやハイデガーの失敗を乗り越えるベンヤミンの思想に俄然興味が湧いてきた。ただ著者の他の作品である「ニーチェかく語りき」と同じように、ニーチェ哲学の受容者の思想史的位置づけとでもいったような内容になっているため、ニーチェやベンヤミン、デリダの思想自体が細かく記述されているわけではない。ある程度彼らの哲学書を読み込んでいないと本書の醍醐味を味わえないだろう。

  • 19世紀末のヨーロッパの再キリスト教化をキリスト教の、そしてヨーロッパの全面的批判につなげたニーチェの思想、及びその受容をめぐる論集と称してよいだろうか。とにかく話の中心にはニーチェがいるのだが、その論点は帝国主義、理性、歴史哲学、プラトン、知識人の役割など多岐に渡る。そうしたものの現代における意義は、ニーチェ思想抜きには語れない。その意味で、ニーチェの一義的解釈という呪縛は超えられるべきかもしれないが、ニーチェ思想全体は未だに思想史のアポリアとして我々を苦しめ続けるのだろう。

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著者プロフィール

三島 憲一(みしま・けんいち):1942年東京生まれ。東京大学人文科学系大学院博士課程中退。大阪大学教授、東京経済大学教授などを歴任。大阪大学名誉教授。専攻は社会哲学、ドイツ思想史。

「2024年 『資本論 第一巻 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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