日本冷戦史――帝国の崩壊から55年体制へ

著者 : 下斗米伸夫
  • 岩波書店 (2011年10月29日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000242844

作品紹介・あらすじ

冷戦の起源は、「大日本帝国」崩壊後の空間をめぐる米ソ英中の地政学的なせめぎあいの中にこそあった-第二次大戦後の東アジアから始まった冷戦がグローバル化していく過程と、その冷戦構造が日本政治に「内部化」され、最終的に五五年体制が成立するまでの過程とを、旧ソ連の膨大な史料を駆使しながら鮮やかに描き出す。

日本冷戦史――帝国の崩壊から55年体制への感想・レビュー・書評

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  • 2011年刊。著者は法政大学法学部教授。

     戦後日本占領下の政治史は、一般には日米関係からのみ捉えるだろう。変化球ならば日ソ関係(陰謀論に近いが、ソ共産党によるコミュニズム浸透)からの見方もあるかもしれない。
     が、本書は、占領下政治史のステークホルダーに、米ソはもとより、英・豪他の英連邦・中国国民党・中国共産党も含まれるとしつつ、占領下日本の動向には、米英ソ中の外交関係と冷戦過程の進展が影響したものと見て、米ソ(副次的に英中)間の外交関係の分析を通じ、アジア冷戦構図の展開を解読しようとする。

     幾つかある視点では核兵器が興味深い。
     なるほど、スターリンが米の原爆実戦配備を異常に怖れ、その開発製造に懸命となった点は、さほど新奇ではない。が、スターリンの東欧重視の理由が原爆製造開発のために必要とされるウラン鉱脈を抑える点だったこと、ウラン鉱脈の点で北朝鮮も同様の位置づけだったこと、事実上米単独の日本占領政策と東欧の支配圏構築とをバーターにした点や、その施策も人民中国成立までである、などは、なかなか興味を引く。

     加えて、外交現場の臨場感、刻々変動する情勢に即した方針変更や、英米の思惑の違いだけてなく、米国内・ソ連内でのメンバー間の方針の違いも浮き彫りにされ、かような緊張感ある叙述は買いである。

     他方、本筋とは離れるが、徳田球一書記長下の日本共産党がシベリア抑留者の解放を、強く積極的にソ連共産党に求めていた点も新奇。
     もっとも、本書で日本共産党の占領下での活動を詳述する点は腑に堕ちぬところもないではない。
     そもそも、政権獲得可能な議席を取れず、また、後の武装闘争路線も現実的な方法論ではなかった中で、日本の冷戦史の中核を構成したとは考えにくいからだ(ただし、日本共産党の戦後史として見れば、それ自体は間違いなく面白いのだけれど…)。

  • ロシア資料を用いて冷戦史の再構築。

    従来の日米関係史との違いを明確にしながら論じれば、より良いものになる可能性が多いにある。今後やる価値のあるテーマ。

  • 和図書 319.1/Sh54
    資料ID 2012100439

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、3階開架 請求記号:319.1038//Sh54

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    319.1:Sh

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