ニューヨークの高校生、マンガを描く――彼らの人生はどう変わったか

制作 : 沼田 知加 
  • 岩波書店 (2012年1月25日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000242875

作品紹介

貧困層の子どもたちが多く通う高校の放課後活動「コミックブック・クラブ」で、高校生たちは日本のマンガを読み、愛し、自らも作品を創作することで、人生の新たな一歩を踏み出した。アメリカのティーンエイジャーはなぜ、日本のマンガに惹かれるのか。「クール・ジャパン」の底力はここにある。

ニューヨークの高校生、マンガを描く――彼らの人生はどう変わったかの感想・レビュー・書評

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  • 舞台はニューヨークのマーチン・ルーサー・キング・Jr.高校。入り口には金属探知機があり、中では暴力事件や発砲事件が起こる。そんな学校でマンガを描く高校生たちの実話。漫画家になりたいわけではなく、自分とは何かをマンガという表現で発見し、彼らは人生を変えていく。『BLEACH』や『D.Gray-man』風のものや、『コミックガム』や『まんがタイムきらら』風の漫画があり、彼らの境遇とのギャップに非常に驚く。

  • ニューヨークの底辺高校で、アメコミではない日本風の漫画を描くというクラブ活動を行った記録。
    漫画を読み、それを描くために培った表現力が、(ほとんどがアフリカ系アメリカ人の)生徒たちが直面する問題と闘うための武器になる。
    ついでに、でもものすごく大事なことに、言語や表現やPCスキルなんかも向上する。

    描くきっかけをつくったのは漫画の力かもしれない。
    そのチャレンジを成長に繋げたのは教育の力。
    見せるための表現を考え、実際に描いて批評し合い、他者を認め他者に認められることで自信や信頼関係が生まれる。
    この辺、綴方を思い出した。
    「教室を変える」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4250930157
    「恵那の子」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/B000J7HMWS

    著者は色んな学校でコミックを使ったプログラムを行っている人だけど、MANGAはよく知らなかったらしい。
    あれ、なんか漫画や日本を勘違いしているかな?ってところがちょこちょこある。
    それでも構わない。詳しくない大人が、それでも自分(生徒)たちの興味を尊重して延ばしてくれると思えるのは大切な経験だ。

    大事なのは正しい意味での自尊心と興味を育み、実践につなげる教育。
    漫画はそのためのツール。興味があるなら音楽でもダンスでもなんでもいい。
    シェイクスピアよりナルトのほうがとっつきやすいなら、それをとっかかりにすればいい。
    お勉強は自分と無関係に存在するわけじゃなくて、自分が生きていくことを有利にしてくれる道具だということを、実践が教えてくれる。
    漫画は「自分」と勉強をつなぐ梯子になる。

    漫画を描いた(描くために考えた)から頭が良くなりました、ではなく、大人たちがきちんと力をつけさせることを考えて支援しているところが良い。
    発表の場できちんと話せるように準備させておくってのがすごいと思った。
    そりゃいきなり話せっていわれても話せないし、漠然とハキハキ感じ良くって言われたってできない。

    しかし、こんな風に生徒をしっかり見る教育にはとても手間がかかる。
    生徒にかける手間を省きたい今の公教育制度の中ではとても難しい。
    この辺は日本も似ているけれど、福祉の手の届かなさはアメリカだなあ。

    貧乏とケチは違う。
    お金をかけられないことではなく、お前には金をかける価値がないというメッセージを送られることが子供を歪ませる。
    というのは家庭でよくあることだけど、社会の中でも同じだ。
    エリート用じゃないこの子たちは、教育にかける手間を惜しまれている。


    関連
    七生養護学校の性教育裁判http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4000094653
    知ろうとしない部外者から見ればうさんくさい、要らないものと見なされる、子供に見合った教育の話。

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