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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784000243018
作品紹介・あらすじ
職務をただ公正に進めていた行政マンは、なぜ命を狙われなければならなかったのか。
2001年10月、栃木県鹿沼市で起きた市職員殺害事件は、全国の自治体職員を震撼させた。前代未聞の「行政対象暴力」による殺人。被害者の遺体は見つからない。相次ぐ関係者の死。その謎だらけの事件の深層に迫ったのが、本書である。
ごみビジネスと暴力の世界の密な関係は、これまでもたびたび指摘されてきた。複雑に入り組んだ「政・官・業・暴」の利権構造が生んだと言える鹿沼事件は、どの地方都市でも起こり得る。取材班は、約1年にわたって栃木県内外で徹底した取材を続けた。8カ月間、全70回の長期連載「断たれた正義――なぜ職員は殺された 鹿沼事件を追う」は、第4回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞奨励賞を受賞した。
「私どものような家族の苦しみ、悲しみを二度と繰り返してはなりませんし、夫の犠牲が何らかの形で行政に生かされてほしいと願ってやみません」。
遺族が取材班に託した手記には、そう記されている。公務員、行政組織はどうあるべきか。すべての職員に突き付けられた重い課題を、本書は問いかけている。事件発生以来、専従または専従に近い体制で事件の深層と行政対象暴力の問題を追い続けている。社会部県警担当、政経部県政担当、地元・鹿沼支局の地域報道部など各部から中心となる5人の記者を集めてチームを組み、1年間にわたって長期連載を展開。全国での取材を継続するとともに、講演などで自治体にとって普遍的な行政対象暴力の問題点を訴えている。
メールアドレス:kanumajiken@shimotsuke.co.jp
みんなの感想まとめ
公務員が命を奪われるという衝撃的な事件を通じて、行政対象暴力の深刻さを浮き彫りにしています。2001年に栃木県鹿沼市で発生したこの事件は、廃棄物処理に関連する利権構造や組織の癒着が背景にあり、被害者の...
感想・レビュー・書評
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2001年10月31日。栃木県鹿沼市役所の環境対策部参事で
廃棄物処理場のセンター長を務める男性が、帰宅途中で姿を
消した。
自宅に残されていた一枚のメモにはふたつの会社名と、家族が
男性の名前が記されていたほかに「受け取り拒否」の文言。
男性職員は家族に厳命していた。このメモに記された相手から
贈り物があっても絶対に受け取らないように…と。
メモに記されていたのは廃棄物関連会社名と、その経営者の名前
だった。
後に遺体なき殺人事件及び行政対象暴力事件として注目されること
になる「鹿沼事件」を、地元紙・下野新聞が連載で詳細を追った
優れた事件報道である。
ごみ行政は金になる。そこに目をつけた廃棄物関連会社の経営者は、
政治家に近づき、行政に食い込んで行く。時には秒力団との繋がり
があることをちらつかせて。
甘い汁を吸い続けられるはずだった。だが、鹿沼市の担当者が変わっ
たことで事態は一変する。自治体からの指導が厳しくなり、これまで
通用していた脅しも効かない。苛立つ経営者が思いついたのは、目の
上のたんこぶである市職員を消してしまうこと。
事件の裏の途轍もない闇を感じた。市役所と民間企業との間に交わさ
れた謎の念書の存在。鹿沼市に存在した政争。市上層部に引き継がれ
ていたであろう特定企業への優遇。
多くの市職員が薄々は感じていたが、表立って正そうとはしなかった
ことにあえて挑んだ一職員が逆恨みされた事件ではないだろうか。
主犯格と目された経営者こそ立憲前に自殺しているが、実行犯4人は
その供述を根拠として裁判に付されている。
報酬目当てに罪もない市職員を殺害した4人は、勿論、罪に問われる
べきだ。しかし、それだけでいいのだろうか。
殺害された男性職員が廃棄物処理場のセンター長へ異動になる際、
当時の鹿沼市長は「君にしかできない」と言っている。市長も
官業の癒着を把握していたのではないのか。
市が独自に設けた百条委員会での調査結果も、どこか歯切れが悪い。
遺体も見つからない。事件を引き起こした背景もうやむや。残された
家族はたまったものではないだろう。
正しいことをしようとして奪われた命がある。責任はどこにあるのか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
恥ずかしながらこの事件のことは知らなかった。
「夜道に気をつけろよ」みたいな話があることは、頭では理解していても、こういう実際に起こった事件を読むと恐ろしくなる。
自治体が職員を暴力から守りきれなかったのだが、組織そのものやその長が業者とずぶずぶの関係にあったのだから、殉職した職員も浮かばれない。 -
廃棄物行政の困難さが生々しい。
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現場に残された自転車、セカンドバッグ、書類の束、
一人の公務員が、忽然と消息を絶った。
廃棄物処理に絡んだ未曾有の行政対象暴力事件。
その全貌に迫る。
2001年10月に栃木県鹿沼市の職員が帰宅途中で
拉致、殺害されたとされる鹿沼事件は、行政を対象と
した暴力事件として、全国的にも大きな注目を集めた。
当時、自分も、業務上のトラブルにより殺害されたと
いう新聞記事を読んで、戦慄した覚えがある。
本書では、廃棄物処理を担当していた一人の公務員が、
筋を通そうとして、命を奪われた事件を地元紙ながらの
丹念な取材で複雑に入り組んだ利権の構図にに迫った本
である。
最悪の結末を迎えてしまった背景には、市役所の歪んだ
体質や、地方政界のドロドロしたものが影響している事
がわかる。本書は大変な労作ではあるが、キーマン達が、
死亡しているという事もあり、もやもやしたものが残る。
新聞ゆえに書ききれなかったものもあると思うが、いろ
いろな教訓を得られる事は間違いない。 -
本書を他人事として読める自治体職員は多くないだろう。組織上部と業者の癒着が行政対象暴力の背景にあり、まっとうに職務を遂行する職員個人が狙い打ちにあった場合、それでも職員をかばい、組織的に対応してくれる役所はどれくらいあるだろうか。どれくらいの職員が、その中で正義を貫くことができるだろうか。
http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20060830 -
栃木県鹿沼市で実際に起きた、ゴミ行政を担当している職員が失踪し、結局は遺体が発見されないまま、拉致され殺害された事件。事件の主なきっかけとなったゴミをめぐる利権争い、さらに国政レベルにつながる政治的な派閥争い、自治体内部の闇についてまで踏み込んで書かれた記録。
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