敗北を抱きしめて〈上〉―第二次大戦後の日本人

制作 : John W. Dower  三浦 陽一  高杉 忠明 
  • 岩波書店
4.00
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本棚登録 : 270
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000244022

作品紹介・あらすじ

一九四五年八月、焦土と化した日本に上陸した占領軍兵士がそこに見出したのは、驚くべきことに、敗者の卑屈や憎悪ではなく、平和な世界と改革への希望に満ちた民衆の姿であった。勝者による上からの革命に、敗北を抱きしめながら民衆が力強く呼応したこの奇蹟的な「敗北の物語」を、米国最高の歴史家が描く。二〇世紀の叙事詩。ピュリッツァー賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • レビューは上下巻合わせてのもの。
    Amazonで星五つがズラリと並んでいても、あてにはならないとつくづく。
    日本史研究の大家、ジョン・ダワーが、敗戦からサンフランシスコ講和に至る占領下の日本の7年間を、驚くほど膨大な資料とともに検証してみせる。

    だが、「日本は残虐(この部分の検証は一切ない)な国家」だから「原爆を落とされても仕方がない」という結末ありきで話が進むため、読後実に嫌な気分になる。
    当然、米国側にとって都合の悪いことは、まるで無かったことのように記述が無い。
    あってもごくわずかである。

    日本が開戦する九カ月前に、ルーズベルト政権が「秘密研究部(通称SR)」を
    極秘裏に発足させていたのは、周知の事実。
    日本と戦って屈服させた後でどのように解体し能無し国家にするか、微に入り細にわたって決定されていたんである。
    もちろんそんなことは本書の中では語られない。

    戦後日本の姿を複線的に描いた点は興味深く読めるが、随所に執拗にみられる勝者の傲慢目線がどうにも気になる。
    民主主義を受け入れる過程も、検証が今ひとつの印象。
    共通の歴史認識などというものはあり得ないものだと、改めて学んだことになるな。

    下巻の終盤で、今後の日本の課題は「どうすれば日本の言い分を世界が聴いてくれるか」
    だという記述があって失笑。
    まともに聴いてもらえないように布石をうっておいて、何を言っているのやら。

    • だいさん
      笑える
      笑える
      2017/04/11
    • nejidonさん
      だいさん、お久しぶりです!
      コメントありがとうございます。
      はい、笑っていただいた方が良いかと・笑
      でも、何故か他の方のレビューを読む...
      だいさん、お久しぶりです!
      コメントありがとうございます。
      はい、笑っていただいた方が良いかと・笑
      でも、何故か他の方のレビューを読むとおおむね高評価でして・・
      私にはそれが謎ですね。
      もし機会があれば、ぜひだいさんにもお読みいただきたい一冊です。
      2017/04/11
  • まるで自分の国の歴史の本ではないかの様な、感覚的な隔たりを感じながら読み通した。世代という隔たりもあり、たぶん沖縄県民であるという意味での隔たりもあり。戦後の日本が敗戦ショックから立ち直っていく過程で、極端なまでのマッカーサー崇拝と、急速にアメリカ式の民主主義を受け入れていった事、当時の日本の人々のものの考え方、何をとっても新鮮で面白い。勉強の合間に何日かかけて読むつもりだったけど、そっちは後回しにして一度に読んでしまった。レポート書き終えたら、すぐに下巻も読もう。

  • 【読書】 終戦記念日を前にして、大学時代に読んだ「敗北を抱きしめて」を読み返した。戦後の日本の国民の生活、複雑な心境を、当時の文化(本や音楽等々)から詳細な分析により、記述した本。今の仕事と関わるところもあり、新たな視点で読めた。戦争の敗北がいかに衝撃で、その敗北という事実をいかに戦後の国民が受け止めたか、その複雑な心境が読み取れる。現在の日本の繁栄はこのような戦後を生き抜いてきた方々の苦労があってこそだと改めて実感する。戦後66年が経過し、当時17,8歳で出征した方が、83,4歳になる。二度と戦争が起こらないよう、いかに戦争の悲惨さを後世代に伝えていくかが重要になると痛感。

  • 2001年(原本1999年)刊。著者はマサチューセッツ工科大学教授。上下巻中の上巻。なお増補版は未読。

     本書の上巻は、知日派アメリカ人研究者による、占領時代の日本の、社会史・(大衆)世相史である。

     いうなれば、吉田茂や東条英機、あるいは昭和天皇といった権力者側から見た占領期の模様ではなく、一般大衆から見た占領期の日常模様を、当時の活字媒体、大衆文化や世相、民衆経済からの視点で叙述していく。よくぞここまで文献渉猟し、まとめ上げたものだと感服する。
     また米国人故か、アメリカの占領政策は細やか(しかも、検閲や治外法権など事実を摘示しつつも、批判的ともとれそうな叙述だ)。この点は、日本人研究者の手によるものよりも芳醇であろう。

     とはいえ、一般民衆の加害意識の欠如、被害意識だけの蔓延(経済的にも心理的にも、また旧制度からの180°転換という状況故に、絶望かつ虚脱状態であった点は割り引くべきだが)にも鋭く批判の目を向けている。
     また、玉音放送の内容から伺える、天皇の共産革命(=支配層からの脱落)の忌避と自己保身性への言及は、なかなか他では(特に日本人研究者から)見ないだろうなとの感。

     そして、アメリカの天皇制を維持した間接統治方式(昭和天皇の退位すらない)が、抑圧主義的・権威主義的官僚制を温存。これは、先の統治方式とともに、マッカーサーの帝王的権力行使の在り様と相俟って、占領中は虎の威を借る狐というべきであったが、しかるに独立後は、怖い虎がいなくなったにもかかわらず、狐は虎の仮面を被ったまま、戦後政策と民衆支配を司った。このように日本の官僚システムとその体質を、鋭く指摘するあたりは印象に残る。
     つまり、本書は、民衆、あるいは草の根に焦点を合わせ、占領政策への迎合と反駁、上からの民主主義に対する便乗と質的・量的拡大、戦中を彩った国家主義や軍人・軍隊至上主義に対する敗北を契機にした冷笑と軽侮、戦争による甚大な被害に即応した大衆経済(闇市・パイパン)。
     健全を押し付け、自由を許容しなかった戦中の反動とも言うべき「カストリ文化」の拡散(性や表現の自由の謳歌)などを、具体的事実と関与した人間模様をビビッドに描くことで、帰納的に浮かび上がらせようとしたものなのだ。

     ところで、働き方改革と称して労働基準法が骨抜きにされそうにな状況は未だ変化がない。
     ここで、戦前は思想警察担当だった寺本広作(耕作?)が、厚生省(当時)労働基準課課長として労働基準法の法案を策定し、これをGHQへねじ込んで、労働者保護のバイブルというべき法案成立にこぎつけた挿話には驚愕した。

  • 第6章 文化人類学者ルース・ベネディクト 日本人は、いわゆる普遍的価値観に基づいて行動するのではなく、状況に即した特殊な倫理に合わせて行動する。とりわけ日本人は権威に対して従順に反応する。
    →この議論は、天皇の庇護の下で民主主義を推進するという政策を合理化するのに好都合な根拠を提供

    のちに高名な学者になるグラッド・クルックホーンらは日本の至高の権威である天皇は、基本的にからっぽのようだと主張した。これまで天皇は超国家主義を具現化した存在としてすべての人に支持されてきた。もし、天皇が天皇制民主主義の象徴に変身したとしても、まったく同じように支持を得るだろうというわけである。

    第7章 袖井林二郎『拝啓マッカーサー元帥様』手紙の送り主の多くは、マッカーサーを受け容れることと、家父長的な権威を受け容れることや民主主義を受け容れることに違いをはっきり区別していなかった。それを最も露骨に表したのが女性たちが送った独特な一節を含んだ手紙「あなたの子どもを産みたい」カテゴリーと名付けられた。

    吉田茂 いかにも保守主義者らしい名言。すなわちGHQと口にするたびに自分の心をよぎったのは、「さっさと国に帰れ」(Go Home Quickly)という言葉だった」

  • アメリカ人からみた戦後直後の日本の姿が描かれている。知日家の所為か違和感のある記述は少ない。下巻が楽しみです。

  • 戦勝国であるアメリカにより民主主義が導入され、敗戦国である日本はそれを受け入れ、奇跡的な復興を遂げるー歴史上、敗者による勝者の受け入れの事例として極めて稀有なこの日本戦後社会の様相を、歴史学者ジョン・ダワーが描きだした傑作ノンフィクション。

    近現代史を専攻する学生なら必読書であるこの本を、一応近現代史を専攻した(ことになっている)自身が今更読むというのは気恥ずかしいところはあれど、本作の面白さは予想以上。今、自身の観点で読むと、戦後の所謂「日本的経営」の構成要素の一つである企業内労組とは、過激なストライキ闘争等を繰り返した日本共産党と彼らが支援する労働組合をGHQが否定したことにより誕生したという歴史的経緯がよく理解できる。引き続き下巻へ。

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  • 戦争直後からの通史を、丁寧に、客観的で公平に、分かりやすく、書かれているので、飽きることなく読めるだけでなく、よいことも悪いことも公平に扱われる文のちからで痛快な気持ちにさせられる。

  • 第二次大戦や戦後間もない日本の様子を(たしか筆者は)アメリカ人の目線で描かれた本。当然だけどたまにすごいアメリカ贔屓なところがある。戦勝国の人間から見たものを知るということが物事を多面的に捉えるのにいい。

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