敗北を抱きしめて〈下〉― 第二次大戦後の日本人

  • 岩波書店
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感想 : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000244039

作品紹介・あらすじ

敗北を抱きしめながら、日本の民衆が「上からの革命」に力強く呼応したとき、改革はすでに腐蝕しはじめていた。身を寄せる天皇を固く抱擁し、憲法を骨抜きにし、戦後民主改革の巻き戻しに道をつけて、占領軍は去った。日米合作の「戦後」がここに始まる。敗北からの蘇りと簒奪された改革を壮大に描いた20世紀の叙事詩、完結。ピュリツッァー賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 少し前に読んだ半藤一利『昭和史』とも事実の不整合はないようだし、日本人の心情にも踏み込んで描かれ、よくぞここまで。しかし「日本人がひたすらに経済成長を追求した背景には、(略)国としての誇りを求めてやまない、敏感で傷ついた心情があった」となると、ちょっと情緒に寄り過ぎかなあとも思う。
    歴史は、情と理との両輪で分析しないといけないね。

  • 敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人
    (和書)2013年11月26日 23:02
    2004 岩波書店 ジョン ダワー, John W. Dower, 三浦 陽一, 田代 泰子, 高杉 忠明


    こんな本が存在しているのだな。

    僕は知識人と弱者というものを考えた時に両者にある格差というものが格差の解消としての平等に対して究極的に盾として作用してしまうのではないかと懐疑していたのですがそういった考えが思慮の足りない浅はかな畏れでしかないと最近強く思い反省をしています。

    自分が知識人として何らかの権威として格差をつけるということではなく真の知識人とは弱者につき格差の解消を目指すべきものであるということを思う。それには知識をえて知識人であることが格差の解消としてある自然状態が高次元に回復する哲学を単独性としてある現にある前提から考えることに奉仕するものであり又複数性としての政治においてもそういった哲学による連帯に奉仕するものであると思う。

    非常に単純化して言ってしまえば格差の解消は平等であり支配とは格差をつけることであるからそれが解消されるということは支配からの自由であるということである。そういった平等と自由に関する哲学と連帯を考えたい。

    知識人の権威ではなく奉仕として格差の解消と連帯を目指さなくてはならない。

    そういった姿勢こそが哲学者に必要な絶対条件であると思う。

    この本を読んでいて知識というものについて考えさせられる。そして知識を得るということが哲学としてそして連帯としてあり得るために必要であると思った。

  • 市井の人々の姿を描いた上巻は実はさほど胸に迫ってこなかった。時間関係が読みづらいし、半藤一利さんの方が実感もあるし、と。下巻、特に四部がすごい。アメリカにも天皇にも市井の日本人にも徹底した厳しい目線で何が起こったのかを描き出している。日本人は必ず本書を読まなければならない、そして正に現代日本の礎となったこの時代を噛み締めて、明日から自分の足で歩むことを考えなければいけない。

  • 2018/07/15

  • 第二次世界大戦で敗れた日本人が占領者のアメリカからの上からの改革にどのように反応したかを描く。占領当局は天皇が戦争責任を問われないようにと気を配った。それは日本占領を平和的に速やかに完了させ、新しい民主的な国を再建するためのものであったのか。

  • 戦後の占領期における状況を多数の図版でヴィヴィッドに描く。
    最後には、日本の官僚システムは戦前・戦中から引き継がれたものを占領軍が手を付けずに温存したもので、と指摘。

  • 2001年(原本1999年)刊。著者はマサチューセッツ工科大学教授。
     占領下の日本を叙述する上下巻中の下巻は、一般大衆に光を当てた上巻とは異なり、政治・権力側の動向を備に検討する。
     具体的には①昭和天皇の人間宣言、②天皇免責の欺瞞、③新憲法制定(旧帝国憲法の改正)、④米軍検閲の闇、⑤極東国際軍事裁判、⑥戦争責任と被害者意識。➆経済復興の道筋。なお増補版は未読。

     なかなか痛いところを突くなぁというのが正直な読後感。
     まず著者自身は、米軍の日本の占領政策において、人種差別的目線が無かったなどと綺麗事は言わない。また占領下での検閲の凄まじさも、具体的事実を一々列挙して米国占領政策の悪徳を開陳暴露する。

     しかしそれだけに止まらない。例えば、検閲に関して言えば、戦前・戦中の日本のそれは一層酷いという点も忘れていない。あるいは、東京裁判の茶番性につき、パル判事の称揚性という右派が喜びそうな撒餌をしつつ、その茶番性の真の要因が天皇不訴追にあることを彼方此方で仄めかす。
     また裁判官の構成に付き、印と比以外の東南アジア諸国の非白人代表を出せなかった点、朝鮮人の裁判官がいない点も勝者の裁きとしては実は不徹底だと目される叙述も。

     正直に言って、本書に横溢する発想は、占領政策全般への批判的目線を持つアメリカ人であるが故に叙述し得たものと言えそう。
     それが一番表出するのは、戦争責任に関する日本人の行動・行為。もとより米軍など占領政策を主導した立場のダブルスタンダードを指摘はしている。が、その上で日本人の加害に対する自覚や行動が窺えない(あるいは僅少)点もまた、それ自体がダブルスタンダードであるとして鋭く指摘していくのだ。

     かような本書の読後感はなかなか言語化しにくいものであった。


     ところで新憲法の制定過程に関しては、古関彰一著の「新憲法の誕生」と重なる。
     彼の類似テーマの書も数冊読破済みで新奇性は多くはない。
     もっとも米側から見た憲法改正過程への感情・思いは、さすが米関係資料渉猟の成果を感じ取れる。例えば、米から見て、日本側改正作業での対米欺瞞性(遅延性含む)、為政者側の憲法改正の要なしとの考えや改正案(松本案など)の内容が表出した、民主制や人間の尊厳を放逐し、これを軽視する姿勢。米側がこれに呆れ失望した様は十分見て取れる。一方、民間提起の改正私案の卓見を評価する対照性が、改正交渉過程での米側の様々な行動・言動に結び付いていったことを十分認識できる解説になっている。

     また、象徴天皇制という形で天皇制を維持するにしても、天皇退位推進が国内主勢力から起きず、またその実現の可能性が全くないと海外が看做してしまったこと。そしてこの不作為が対日信用度を大きく下げた可能性…。というように本書を読みつつ色々と想到してしまいそうだ。

  • 長く日本にも滞在し、日本近代史を専攻する米国リベラル派の歴史学者が、終戦の8月15日からサンフランシスコ講和条約締結までの約7年間を膨大詳細な資料を渉猟しながら戦後日本を克明に描いた日本論。
    ’01年版。

  • 戦勝国アメリカによる 日本の非軍事化と民主化プロセスを整理した下巻。天皇制と憲法が民主化の柱

    天皇制を民主化の柱にしたのは、日本人にとっての天皇は アメリカ人にとってのキリストと同じだから。軍部を完全制圧できたなら、天皇を平和と善に役立つ存在にしようとした。相互の友好関係を構築する方が アメリカの長期利益になると判断した

    日本のアメリカ化だけでなく、日本にいるアメリカ人の日本化も進んでいたといている

    思ったのは、もし アメリカが 天皇制を廃止したら どうなっていたのか。もし 戦争に勝っていたら どうなっていたのか。今の民主主義は なかったかもしれない

  • ピューリッツアー賞を含め、複数の賞を受賞したに恥じない内容であった。豊富な資料をベースに、日本の様々な階層に焦点をあてながら、戦後の日本を写実的に描きだそうという努力には圧倒された。一方で、欧米やアジアの読者達の思いへの配慮も忘れない。特に、戦争責任が曖昧化されていく複雑怪奇な過程を、戦争の勝者・被害者の目からみても、ある程度、事実を事実として、つかめる様に描こうとする態度には感服した。

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