バフチン “対話”そして“解放の笑い”

  • 岩波書店 (2002年11月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784000244152

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  • 了解のプロセスは、どんなことがあろうとも、再認のプロセスととりちがえてはならない。それらはまったく別のプロセスなのである。了解されるのは記号だけであって、信号は再認されるのである。
    記号と信号の区別について、上記のように新しい意味づけ、能動的な了解として記号を説明している。

    記号が認識能力の発達を新しい方向へと変えてゆく根本的なメカニズムになっている、主として生物学的要因や単純な反射に支配されている初期の思考段階から、社会的・歴史的原理に沿って発達するようになる。

    ドストエフスキーは世界を時間(順序)ではなく、空間(同時性)によって表現する

    カーニバルについて
    全民衆的、普遍的、両面価値的である
    民衆の笑い→ロシアアヴァンギャルド
    風刺の笑い→社会主義リアリズム
    のような図式も成り立つ
    皆が笑い、皆が笑われる開けっぴろげの公開性
    風刺、皮肉のような特定のものを一面的な笑い、殺す笑いではなく、皆が笑い殺され、皆がともに新しく生まれ変わる民衆の笑い→革命の未完成性の想起
    カーニバルの言語にとって、極めて特徴的なのは、独特な裏側、あべこべ、裏返しの論理、上と下

    カーニバルは観照されるものではない
    支配している心理や現存の社会体制からのいわば一時的な解放や、すべての階層的な関係、特権、規範、禁止の一時的な破棄を祝う
    生成・更新、あらゆる体制や秩序、あらゆる権力や地位の陽気な相対性を示す

    グロテスクリアリズムについて

    格下げ、つまり高尚で精神的、観念的、抽象的な一切を物質的、身体的な次元、不可分の統一の中においた大地と身体の次元へと移すことである。
    格下げは、両面価値的であり、それは否定すると、同時に肯定する。下方、虚無、絶対的な破滅へと単に投げ落とすのではない。生殖力のある下方へと、受胎し、新たに誕生する下方へと投げ落とすのであり、そこから全てはいっそう豊かに成長するのである。下層とは、生み出す大地であり、胎内である。

    グロテスクリアリズムは、何よりもまず時の奪還であり、生成状態に立ち返らせるものであると、同時に、そのイメージは陽気で両面価値的なものであった。
    対照的にロマン派のグロテスクは室内的になっていく。それはいわば孤独の中で、自らの孤立性を鋭く意識して体験されるカーニバルである。笑は弱められユーモア、皮肉、当てこすりといった形式を取った。笑の原理の積極的な再生的契機は、最小限にまで弱められている。

    最後の対話について、昨今の対話の風潮との比較を念頭に読んでいて得心するものあり

  • 図書館2F閲覧室 980.28||B15

  • 内容のわかりやすさといい、全体のサイズといい、初心者がバフチンの営為を概観するには最適・最良の本だと思う。なのに、入手困難。わりと新しいのに。値段もそんなに高くないのに。手元に置いておきたいのに。

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著者プロフィール

日本のエンブレム研究者 ロシア文学

「2013年 『エンブレムの宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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