始まっている未来 新しい経済学は可能か

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000244503

作品紹介・あらすじ

世界と日本に現れている未曾有の経済危機の諸相を読み解きながら、パックス・アメリカーナと市場原理主義で串刺しされた特殊な時代の終焉と、すでに確かな足取りで始まっている新しい時代への展望を語り合う。深い洞察と倫理観に裏付けられた鋭い論述は、「失われた二〇年」を通じて「改革者」を名乗った学究者たちの正体をも遠慮なく暴き出し、「社会的共通資本」を基軸概念とする宇沢経済学が「新しい経済学は可能か」という問いへのもっとも力強い「解」であることを明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 資源や穀物価格が高くなると途上国が得をする?まさか。宇沢弘文さんや内橋さんは指摘する。世界における交易は、巨大多国籍企業同士による取引が三分の一。巨大企業とその子会社による取引が三分の一。国際協調といえるような貿易は残りの三分の一しかない。

  • まさに正論。
    市場原理に関して心のどこかに違和感を持っていた。
    その理由がよくわかる気がする。

    自分たちの社会を守るためには
    必要なもの、守らなければならないものがある。

  • 岩波「世界」の連載記事を読みました。

  • この本を手に取るきっかけになった帯に掲載されていたお二人が本書籍で対談されています。私の母校でも教鞭をとられていた宇沢弘文氏(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E6%B2%A2%E5%BC%98%E6%96%87)。経済評論家として活動されている内橋克人氏(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E6%A9%8B%E5%85%8B%E4%BA%BA)がもう一人のお相手です。

    学者と評論家という立場からリーマンショックに始まる世界的な金融危機を経て現在の日本とわれわれ日本人が直面する問題を論じます。その話の幅はとても幅広いものになっています。お二人の幼少期に置ける戦争体験から、パックス・アメリカーナへの批判、政財界を巻き込んで出来上がる既得権益集団、それに寄り添い経済政策を生み出す市場原理主義思想を信奉する人々の告発などが含まれています。

    対談内容を書き起こした書籍なので専門用語も少なく、全体として読み進めやすく、自分もその対論の場に居合わせてシンポジウムに参加しているような感覚でお話を追うことができます。経済学そのものと経済学者に求められているものを彼ら二人の思想、信条などから見て批判、分析を行なうところを軸としています。そのため、彼らが言うところも行き過ぎた自由主義思想と市場原理主義者と名指しする人々への非難の言葉は激烈です。

    一般の書籍でこれほど多くの個人名が経済政策における戦犯かのごとく登場する本も珍しいかもしれません。宮内義彦、竹中平蔵、中谷巌(http://www.murc.jp/nakatani/)、島田晴雄(http://www.haruoshimada.com/)などがそれにあたる人々として登場します。直接この書籍とは関係ありませんが、個人的にはH氏やS氏などのいわゆる著述業者の方が、その年の景気動向を予測したり、日本経済は良くなる!などとふれて出す書籍の内容は信用してないのですが、彼らが自分の書籍を次の年に点検してもらってどれくらい当たってたか自己採点して欲しいなって思うこともあります。

    書籍でうたわれている「新しい経済学」というのは結論から言えば宇沢先生が昔から言及されている社会的共通資本を念頭に置いた経済学の再構築ということに落ち着くと思います。拝金主義的思考が行き過ぎ、金融工学のテクニックにより潜在的リスクをあえて見えにくくする手法は、昨年放送されたNHKスペシャル『マネー資本主義』(http://www.nhk.or.jp/special/onair/money.html)でも詳細に説明されていました。

    そうしたお金がお金を生むという発想への疑いの念をよびおこせる冷静な思考と発想を取り戻すために、被害経験に立脚した自覚的消費者への発想転換や日本を蹂躙したパックス・アメリカーナへの反対姿勢、多国籍大企業の集まりである経団連(http://www.keidanren.or.jp/indexj.html)の政治力強大化への懸念などはさながらアントニオ=ネグリの『帝国』(http://www.ibunsha.co.jp/books/0224/0224.html)での議論を彷彿とさせます。

    確かに宇沢氏の言われる社会的共通資本の概念は大切だと思います。貨幣と物品の等価交換だけでなく人間らしい生き方を念頭においた消費・生産活動への参加・参画が一般市民のレベルから求められていることの重要性は非常に高い物があります。新鮮味や実現可能性の是非については疑念に残りますが、経済が「経世済民」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E4%B8%96%E6%B8%88%E6%B0%91)であることを再認識した上で日常の経済活動をどう捉えるかの視点を豊かにすることのできる書籍です。

  • 宇沢弘文氏と内橋克人氏の対談をまとめたものである。
    第1回 市場原理主義というゴスペル
    第2回 日本の危機はなぜこうも深いのか
    第3回 人間らしく生きるための経済学
    第4回 新しい経済学の息吹
    社会的共通資本としての農の営み(農業と食糧の危機にどう対応すべきか)

    という内容だ。
    経済はあくまでも人間が人間らしく生きていくための道具でしかない。お二人の理性・哲学に基づく崇高な言動は敬服に値する。
    それにしてもパクスアメリカーナ・シカゴボーイズに毒された日本の現状はあまりにも酷い。黒船襲来以来、米国の対日政策は一貫している。恫喝に屈する日本の官僚の卑屈さ、また、同罪の社会経済学者たち。TPP問題もこの米国の対日経済政策の延長線上にあることが明々白々である。民主党政権を操る官僚は、経済財政諮問会議というヤラセの手続きをも踏まず、マスゴミをポチとして対米追従を敢行しようとしている。まったくひどいものなのである。

  • think small first. 人間らしく生きるための経済学へ。言葉の力を信じることができる、骨太で鋭い、背筋の伸びる一冊でした。いま、何が起こっているのかを、自分と世の中の関係性を考えながら、宇沢経済学を通して理解することができる。ほんっと、経済なんてようわからん、と遠ざけてきた私でも読み通せ、少しは霧が晴れたような、。

  • 配架場所【図・1F知の泉】
    請求記号【331||UZ】
    原 邦彦 本学特命教授推薦

  • 2010/1/19
    非常に優れた本だった”
    2010年に読んだ本のベスト3に入る本だった。

    2012/02/04
     二度目。相変わらず、読み応えのある本。

  • 感銘を受けた。
    巷にはアメリカ発の金融恐慌を題材にした書籍が出回るが、戦後日本から現在に至る経済パラダイムを完全に浮き彫りとし新たな日本の成長ビジョンを提示した一書であった。

    福祉社会、福祉国家、社会保障という体型において築かれた市民社会、さらにそれを「行き過ぎた」と是正した新自由主義が台頭するという過程が存在しない。
    免疫や経験の存在しない中に規制緩和万能、市場原理主義至上の価値観が日本を染め上げた。アメリカは膨らむ対日貿易赤字に対して「新貿易法 スーパー301条」といった報復措置を断行。さらに日米構造協議において改革をせまり、無駄な公共投資の強要を行う。
    地方が負担する地方債の利息返済も小泉政権下における地方交付金の撤廃で不良債権化、みせしめの夕張が現れる。
    市場原理主義により社会的共通資本が破壊されていく。パックスアメリカーナの鏡から離脱し真の学問的自由を求め翻訳経済学を超克していく必要がある。
    競争セクターと共生セクターの両輪が必要であり、共生セクターの中に「FECの自給圏」をディーセントワークの場として築く必要がある。

  • 「社会的共通資本」を基軸概念とする宇沢経済学

    ト、2010.4.12-4.13

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