働きすぎに斃れて――過労死・過労自殺の語る労働史

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000244565

作品紹介・あらすじ

死にいたるまで働く人びと、それはまるであなた自身の姿ではないか-。ふつうの労働者が「しがらみ」に絡めとられながら限界まで働くことによって支えられてきた日本社会。そのいびつな構造が生み出した膨大な数の過労死・過労自殺の事例を凝視し、日本の労働史を描き出す。現状を変えていくための、鎮魂の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 大作である。過労死・過労自殺より労働史を述べている。事例を中心に書かれているので、一気に読めるが、生々しい事例ばかりで、読む手が止まり、ひっきょう、時間がかかってしまった。ハラスメントが労災認定基準に加わった。ハラスメントがストレス度が高いという研究結果が出たことと、それ以上にハラスメントが増加していることの現われだろう。ハラスメントは成果主義の導入とともに横行するようになったようだ。成果主義は個々人の競争だけでなく、チーム単位のノルマを達成するために上司自身が背負わされているために起こっているもので、その上司も被害者といえるかもしれないとの事である。過労死・過労自殺は事例中心になるのは、個別性があることもあるが、当該企業の協力のなさより事実認定が極めて困難で、どうしても企業よりであるためである。事例を丹念に積み重ねることで普遍的な現在の事実に突き当たっていくのだろう。「南雲鑑定書」の引用が多々見られ、歴史上果たした役割として改めて南雲先生の偉大さも感じえた。

  • よく分析されてるんだろうなぁと思う。

  • 2010.04.25 朝日新聞に紹介されました。

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著者プロフィール

1938年三重県四日市市生まれ。1961年京都大学経済学部卒業(1969年経済学博士)。1996年社会政策学会学術賞受賞。甲南大学名誉教授。著書に、『国家のなかの国家──労働党政権下の労働組合・1964-70』(日本評論社、1976年)、『新編 日本の労働者像』(ちくま学芸文庫、1993年)、『能力主義と企業社会』(岩波新書、1997年)、『女性労働と企業社会』(岩波新書、2000年)、『リストラとワークシェアリング』(岩波新書、2003年)、『格差社会ニッポンで働くということ』(岩波書店、2007年)、『労働組合運動とはなにか──絆のある働き方をもとめて』(岩波書店、2013年)、『私の労働研究』(堀之内出版、2015年)、『過労死・過労自殺の現代史──働きすぎに斃れる人たち』(岩波現代文庫、2018年)など多数。長年の映画ファンとして、その分野のエッセイストとしても知られる。

「2022年 『スクリーンに息づく愛しき人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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