敗者たちの想像力 脚本家山田太一

  • 岩波書店 (2012年7月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784000244671

感想・レビュー・書評

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  • 山田太一さんの訃報を聞いた後、書評で本書を知り、我が家にやってきたのが約3カ月前。
    目次を見て、どのドラマもちゃんと見た記憶がないと今さらながらわかり、そのまま放ったらかしにしていた。
    ・・・しかし、せっかくご縁があって我が家にやってきたんだから、と、いったん読み始めてみると、うん、面白いやん!?
    1970年代以降の日本文化論として、興味深く読みました。
    この著者も、これらのドラマをリアルタイム時代に見ていたわけではなく、あとから見直しての評とのこと、きっと、著者の現役時代(?)は、バリバリ「勝者」目指してたんだろうな、人生折り返した今だからこそ「敗者」へ思いが及んだところもあるのでは、などと思いつつ。

    たった一度の生で経験するこの50年、日本も変わり、家族も変わった。
    こんなに変化の激しい50年って、ないよね??
    、、、いや、戦争を経験した世代の生きた50年の変化はもっと大きかったか、、、、
    どの時代に生きた50代以上の人たちも、こんなふうに自分の経験した50年間の社会と自分、周りの変化を振り返って、感慨にふけることがあったのかな、と思う。


  • 分析としては面白い。が、もういい加減「勝者」とか「敗者」とかいう他人や世間の基準なんか無視して自由に生きりゃいいと思うが。ちょっと大学の先生が無理して未だサブカル扱いのドラマを学術論文風に書いてしまったという印象も。まあ社会学とはこういうものだけど。
    山田太一のドラマは子供の頃から好きでよく見ていたし、人生に大きな影響を与えた作品もある。でも最近は流行らない。(同じ山田でも洋次の方は生き残っているのと対照的だ。まあこっちは大衆狙いのど真ん中なのかもしれないが)これは人々が勝者も敗者もなく、各々の価値観で生きはじめているという事か?なら、ひょっとするといい時代なのかもしれない。

  • 山田太一は引きこもっていた敗者が思い切って新しい一歩を踏み出すことに寄り添おうとする。

    駅の階段の下で車椅子の少女がやっと声を出す。『誰か私を上にあげてください』と。通りすぎてゆく人々の中からやがて手伝おうとする人が現れ、ひとりでは無理なので更に手助けをまわりに呼びかける。

    「車輪の一歩」で描かれた健常者と障害者が迷惑をかけたり、かけられたりの中で生じるためらいや葛藤は、その後各駅にエレベーターが整備されたこと、駅員が対応するようになったことでなくなってしまった。そのことは文明の進歩であるのかもしれない。良かったことであるが両者の生身の接触がなくなってしまったということでは残念なことでもあると言える。

    記入途中

  • 敗者、勝者で分けて書かれているが、わかったような、わからないような…
    「男たちの旅路」と鶴田浩二について言及されているところが多いのは良かった。あの頃、よくわからなかったことが、腑に落ちたことが多い。
    あとがきには、山田太一本人に何度かインタビューしたとあるが、そこはもう少し生かして欲しかった。

  • 例えば「ふぞろいの林檎たち」は確かに四流大学生(そういう設定)で一流に比べれば”負けて”いて就職などに苦労するとだろうということの”敗者”のくくりなのだろうが、そんなことがなくても市井に普通にありがちなドラマであり、また心情はよく伝わる。リアルタイムで観たものとしては決して敗者とはいえない青春ドラマだったのだけどなぁ。

  • メディア

  • 山田太一ファンなら読み応えじゅうぶん。
    ”早春スケッチブック”って隠れた名作だったんだね。
    リアルタイムで見られて、なんか誇らしい。

  • ラジオに出てはって、紹介されてたので。
    こんな授業なら受けたい。
    そういえば社会学部は楽しそうやったなあ。
    「ありふれた奇跡」は観ましたけれども、独特の台詞回しで面白かった。しかし時代錯誤感は否めない。
    「ふぞろいの林檎たち」もやけど、「日本の面影」を特に観たい!

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著者プロフィール

早稲田大学文学学術院教授。専攻は映像文化論、コミュニケーション論、文化社会学。著書に『ヴァナキュラー・モダニズムとしての映像文化』(東京大学出版会)、『映画というテクノロジー経験』(青弓社)、『映像という神秘と快楽』(以文社)、『悪循環の現象学』(ハーベスト社)、編著に『映像文化の社会学』(有斐閣)、共編著に『文化社会学入門』(ミネルヴァ書房)、編訳書にトム・ガニング『映像が動き出すとき』(みすず書房)など。

「2021年 『X線と映画 医療映画の視覚文化史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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