- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000244862
作品紹介・あらすじ
膝の手術のため、はじめての長期入院。「ブラック・アングル」などの雑誌連載も、はじめて休載。そして、入院中に迎えた八十歳の誕生日。-おや、今までとは違う世界が見えてきた。若いころは気付かなかったこと、思いがけない発想など、脳裏に浮かぶあれこれを、筆の向くまま綴り始めたら止まらない。入院中に蓄積された創作エネルギーを放出するかのごとく、一気にこの一冊を書き下ろした。曰く「好き嫌いで書きました」。御存知ヤマフジ節は健在である。八十歳の本音を綴る、論より感覚、御意見無用のエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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2020年1月9日読了
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1970年代の『ブラックアングル』からの愛読者。著作も何冊か、過去読んでいるが、文章だけは久しぶりかな。
バッサバッサと世相を切る痛快さは、老境に入ってますますご健在、というか切れ味を増している。
もとより、古風な、昔ながらの頑固オヤジ的な視点だったものが、まったく遠慮がなくなってきていて痛快であるに加え、本当に「はじめての八十歳」という視点から発せられる所感には、実感が籠っている。
「人間の五感は、ある部分が弱くなると他の感覚がそれを補ってくれる。つまり、定員制なのだ」
特に、こうした身体的な感覚は、実体験に基づいてのものだろう。
その他、大所高所からの所感、意見もいろいろ参考になる。
“長寿の秘訣は「知らぬが仏」と。つまり今の、これからの人間、ともに過剰情報時代に入ってしまっているから、必要でない情報に一喜一憂するのはつまらんぞと言いたい。”
と、情報過多の時代に寄せる感慨も多い。スマホも、“煙草なんかより悪質だろう。ココロを病むという意味で。”とバッサリ好き放題。
こうした好き放題も、齢80になってこそか。「好き嫌い」の正体も、
”その正体は「虫」ではないのか —。
「虫が好かない奴だ」
「虫の居所が悪かった」
「腹の虫がおさまらなかったんだから仕方ない」などなど、「虫」という正体不明なるもののせいにすることが多い。”
しかし、これを「老化」のせいではなく、“「虫」というものに仮託”した、“昔の人の知恵”と喝破する。
まだまだ、ご健在ぶりを拝読できてうれしい限りだ。 -
表紙を見て、、、あれ?!
作者は、似顔絵のイラストの有名な人では・・・と、。
どんなことを書かれているのか、と、興味をを持って、読んでみた。
膝関節の手術そして、80歳の誕生日は、入院中。
理解できる。
入院したら、することが無い。
まして、膝の手術だと、院内を歩き回ることも出来ない。
その不自由さのなかで、思いついた事柄を書かれたのだろう。
病院での先生は、大概、年齢を知ると不調を訴えても、、、、「それは、老化です!」と、、、しか言わない。
今まで、してきたことが否定されるようで、悲しいが、脚が悪くなると、外出も、旅行も、、、敬遠。
腕や手が、悪くなると、荷物を持つのも億劫に。
小動物を飼っても、毎日の世話と、どちらが、病気もせずに長生きできるかと。
耳が、遠くなれば、人との会話も少なくなり、目が悪くなると読書も出来にくくなる。
一つづつ、当たり前のように暮らしていたことが、出来なくなって来るのは、、、、悔しいのだが、若くなることは出来ない定めなのだから、、、、一つ一つ受け入らなけれはならない。
山藤氏も、思いついた事柄を編集者のすゝめで書かれたのだろう。
でも、私は、エッセーより、似顔絵イラストが、好きである。
八十歳の本音を語られているのだろう。
私も、この年になったら、こんな風に思えるのかも・・・と、思いながら本を閉じた。 -
エッセイ集 話があちこち徘徊する。徘徊老人。初めての80歳、虫の目で見、鳥の目で見る
あの世にも次の世があるかしら 老人の共通の敵は「孤独」 -
膝の手術で長期入院し四十年つづいた「ブラック・アングル」を休載
入院中に八十歳の誕生日を迎えると
これまでと世の中を見る目が変わっているのに気がついた
これにとびついた岩波書店の編集部
「好き嫌いで書きました」
一気に書き下ろすとヤマフジ節てんこもり
しあがったのは「浮遊感」「徘徊感」の「自分でもよくわからん」エッセイ集