ヒア・アンド・ナウ 往復書簡2008-2011

制作 : くぼた のぞみ  山崎 暁子 
  • 岩波書店 (2014年9月27日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000245241

作品紹介

大都市ニューヨークから世界を見つめるオースター。南アフリカに生まれ、辺境から現実を描いてきたクッツェー。ともに現代を代表する二人の作家が、文学論を戦わせ、世界情勢を憂いては、創作の秘密を語り合い、日常の悩みを打ち明ける。21世紀に小説の意義を問うすべての読者に贈る、知性と信愛に満ちた書簡集。

ヒア・アンド・ナウ 往復書簡2008-2011の感想・レビュー・書評

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  • 大崎Lib

  •  訳者あとがきによると、2006年に出版されたベケット選集の編集を務めていたオースターが、クッツェーに序文を依頼したことが、彼らのやりとりの始まりであり、その後2008年にアデレードで行われた文学祭で直接会って意気投合し、クッツェーから持ちかける形でこの往復書簡集を出版する企画がなされた、ということである。30歳にもならないペーペーの私としてはまずそこに感じ入ってしまう。会った時点でオースターは60歳、クッツェーは67歳なわけで、そう数えるとつい、功成り名遂げた、押しも押されもせぬ巨匠、といったところに押し込めてしまいそうになる。しかし彼らの対話には、長年研鑽を積んだ文学者同士が切り結ぶ、といった重々しさはまるでなく、新しい友情の自然な発熱のようなものが惜しげなく溢れ出す、さわやかな一冊になっている。

     話題は金融危機から戦後史、旅行、旅行による不眠症、執筆中の空間感覚などまで融通無碍に移り変わるが、時折というか、要所要所でずるずるとスポーツ(主に観戦)の話題になっていくところにこの本の人間味がある。それもただただ「時間の浪費」と断ずる愚痴のような話に終始するのではなく、スポーツ観戦をする自己、あるいは大衆の観察から導き出される、さまざまなトピックへのユニークな考察になっており、読んでいるとたいへん肯定的な気分になる。観察をし、書くことで、知恵の深みにはまることなく学び続け、自分を活かし続ける二人の姿が、相照らすといった感じで活写されている。最期の往復まで辿りついた読者の目には、3年間のやりとりの間にどんどん若々しくなっていった二人の姿が強く印象に残ることだろう。

     決して慣れ合い的なやりとりに陥らず、否定や反論を遠慮なく述べる場面がけっこうあるのだが、その際の所作の美しさに個人的には感銘を受けた。

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  • エスペランサの部屋: 『ヒア・アンド・ナウ』── 今日もゲラ読み!
    http://esperanzasroom.blogspot.jp/2014/08/blog-post_15.html

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