故郷へ帰る道

  • 岩波書店 (2000年5月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784000246040

みんなの感想まとめ

多様なエッセイが収められた作品は、故郷や人々との絆を深く掘り下げています。著者は、日常の些細な出来事や思い出を素朴な言葉で描写し、自然体で生きる姿勢を感じさせます。特に、司馬遼太郎への追悼エッセイでは...

感想・レビュー・書評

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  • 2000年刊。90年代に雑誌や新聞に掲載されたエッセイ23篇、プラス書きおろし6篇の計29篇。書名には「故郷」とあるが、津和野の話が多いわけではない。
    司馬遼太郎の追悼エッセイが4篇。安野は司馬の「街道をゆく」シリーズの挿画を担当、取材旅行にもよく同行した。なかでも「司馬さんの最後の言葉」は、どこかすっとぼけた書きぶり。笑いを誘うエピソードが何か所もある。それなのに(それだからこそ)、終わりは涙を誘う。
    「エトルタへの道」はフランスのブルターニュへの写生旅行。案内役が急遽日本に帰ることになり、レンタカーでひとりで行かざるをえなくなる。しかし、途中の森のなかで車がエンコ。まだ携帯やスマホなどない時代。フランス語もわからない。日も暮れてきた。さあ、どうする。……いろいろ助けてもらった人たちの電話番号が記してあるのが可笑しい。
    ラストは「麦畑をわたる風」は、皇后(現上皇后)美智子さまのこと。お呼ばれした茶話会のエピソードから始まる(まど・みちおの『どうぶつたち』の英訳版は、美智子さまの訳、絵は安野)。自然体でジーパンで行くつもりだったが、司馬から「ネクタイをしめていきなさい」とたしなめられ、急遽着替えて茶話会に臨むのだが……

  • 素朴な文章に人となりが偲ばれるようなエッセイ。故郷の思い出・友人・家族のことを赤裸々に綴っている。日頃から自然体で生きている方なのだろう。読書について「本を読む習慣さえつけておけば、後はなんとかなる」、なかなか習慣化しない自分には身につまされる言葉。帯状疱疹で入院している時に読んでいたのだけど、偶然にも安野氏が帯状疱疹になり痛みに苦しむエピソードが出てきてビックリ。同病相憐む(苦笑)。安野氏は、先に罹患した数学者の森毅が痛みを訴えていた気持ちが自分が罹患してやっとわかったと書いている。また小松左京は帯状疱疹で16kg痩せたそうな。安野氏にとって帯状疱疹の痛みに苦しんだ経験は相当強烈な印象を与えたようで、「痛みが人にはわからないこと、それは体の痛みだけでなく差別などの心の中の痛みも他人にはわからないものだといったことを「悟った」と書いている。

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著者プロフィール

安野 光雅(あんの・みつまさ):1926年島根県津和野生まれ。画家・絵本作家として、国際アンデルセン賞、ケイト・グリーナウェイ賞、紫綬褒章など多数受賞し、世界的に高い評価を得ている。主な著作に『ふしぎなえ』『ABCの本』『繪本平家物語』『繪本三國志』『安野光雅文集』(全6巻)『片想い百人一首』などがある。2020年没。

「2025年 『文庫手帳2026』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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