ファンタジーの魔法空間

著者 : 井辻朱美
  • 岩波書店 (2002年12月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000246156

ファンタジーの魔法空間の感想・レビュー・書評

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  • ファンタジー作家、翻訳者、評論家、歌人、そして夢の狩人である井辻朱美の魔法のレンズを通して、ファンタジーの本質を拡大し覗きみることができる本。

    本書は、『指輪物語』『ゲド戦記』『ナルニア国ものがたり』など不動の名作から、『エルリック』シリーズのような変化球、さらには『ハリー・ポッターと賢者の石』『レイチェルと滅びの呪文』など近年の主流まで、実に幅広く取り上げて読みほどいている。その視野の広さと見識の豊かさは圧倒的だ。だが、ただ「すごーい!」と感嘆しているだけで済ませちゃいけない。思考停止に陥ってはいられない。

    本書の鍵は、物語の「場所」「空間」だ。
    特に本書独自の企画(?)「家屋のファンタジー」は、精読の価値あり!と思った。視線による結界や、ドアが空間にもたらす亀裂などを、毛細血管まで総動員して(!?)隈なく感じ取りたい。
    世界を変える魔法があるとしたら、それはボタンひとつで発射するような力ではない。人間の感受性がファンタジーなのだ。見方で世界は変わるのである。

    漠然と感じていながらも表しようがなかった対象や現象が、瞬く間に言葉に呼びとらえられて輪郭が浮き上がってきた。以前から知っていたものが呼び覚まされるような、この感じもまさにファンタジー体験だと思った。
    著者は、まなざしに敏感に反応し指先にまで神経を行き渡らせて、全身に訴えかけてくるようなファンタジー論を書いてくれた。そう、ファンタジーは自分の五感をフルに活用して感受するものだったのだ。
    これで足がかりはできた。あとには、受け取る側がどこまで感じられるかという問題が残されている。まなざしに、ぬくもりに、指先に、鋭敏であればあるほど、ファンタジーの魔法空間は奥行きを増していくはずだ。

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