ファンタジーの魔法空間

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  • 岩波書店 (2002年12月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (250ページ) / ISBN・EAN: 9784000246156

感想・レビュー・書評

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  • 「魔法ファンタジーの世界」が視野が狭くて今ひとつだった
    のに対して、こちらはあえて視野を狭くしてファンタジーに
    おける「空間」の果たす役割に注目し、興味深い評論に
    なっている成功例といえよう。ただ、読んだことのない作品
    に関して書かれた章はさすがに魅力半減か。

  • 『ファンタジーの魔法空間』(2002)とは、作家・井辻朱美さんの魔法のレンズを通して、ファンタジー(以下、FTと略す)の本質を拡大してまなざす、究極の夢文学評論集です☆

     FT作家・翻訳者・評論家・歌人にして夢の狩人✧ という著者が、FTにジャンル分けされる作品の数々を取り上げ、とりわけ不思議な力が働く「場所」「空間」を切り口として論じたのが本書です。
    『指輪物語』『ゲド戦記』『ナルニア国ものがたり』に代表される不動の古典から、『エルリック・サーガ』のような変化球、『ハリー・ポッターと賢者の石』『レイチェルと滅びの呪文』など近年の主流まで手広く登場☆
     どうしても「ハリポタ映画の人気に便乗した企画だろーな」と想像してしまうのですが……★ 井辻氏のFT論を読めるなら、理由なぞ何でもかまわないのです✧

     特に井辻氏独自企画(?)「家のファンタジー」の章は、精読の価値あり☆☆☆
     上に挙げた有名古典FTは、井辻さんが別の機会でも取り上げる可能性が高いですが、『危険な空間』『台所のマリアさま』などのマイナー作品の考察は、ほかでは読めないかもしれません。
     その章は、FT文学を身体的な感覚で捉えた解釈を示しているのが興味深い。
     住まいと住人(家族関係も絡んでくる)がつながっている感覚。視線のビームによる結界、ドアが空間にもたらす亀裂、DIYでこしらえる精神的な拠り所……。毛細血管まで総動員して(!?)感じ取るイメージまで浮かびます★ 家と身体との結びつきもまたファンタジー体験なのだなと、考えさせられます。

     著者のくわしいFT論を読んだあとでは、とても生意気で恥ずかしくて書きづらいことですが……、作品をただただ漠然と読むだけではなく、自分の視点で物語を捉え直して、脳内で再構築するという作業もFT的かと思います。つまり、自分で書評・レビューを書いてみる行為も、りっぱなファンタジーなのかもしれません★

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著者プロフィール

1955年生まれ。歌人・作家・翻訳家・白百合女子大学人間総合部教授。歌集に『クラウド』、評論に『ファンタジーの魔法空間』(日本児童文学学会賞受賞)、訳書にO・R.・メリング『歌う石』など。

「2022年 『たけくらべ 現代語訳・樋口一葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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