ファンタジーと言葉

制作 : Ursula K. Le Guin  青木 由紀子 
  • 岩波書店 (2006年5月24日発売)
3.52
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  • レビュー :10
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000246316

ファンタジーと言葉の感想・レビュー・書評

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  • わたしは男である。
    こう言うと、みなさん、私が性別ってものについて、
    わけのわからないばかな間違いをした、とお考えになるかもしれないし、
    わたしがみなさんをだまそうとしている、とお考えになるかもしれない・・・


    そんな印象的な書き出しから始まる、ル・グウィンのエッセイ。
    帯にある「私は本物の竜が見たいのです」というコメントも光ってます。
    「言葉」という形にできなくても、
    私たちの心は普段いろいろなことを感じ、考え、想像しています。
    本を読んでいる・・・とりわけ、物語を読んでいる時には、
    その文字が織りなす世界にどっぷりと浸かり、口いっぱいにほうばり、思うまま飲み下し・・・
    それはもう、ありとあらゆる方法で「感じ」ています。(この感覚も言葉にするのは難しい)

    この本では、普段心の中では感じているのに表現できない心の欠片を、
    的確で素晴らしい言葉に還元して見せてもらえます。
    そう、まさに魔法のように。

    ゲド戦記、闇の左手などで有名な彼女が、
    ジェンダー、ファンタジー、物語、そして言葉や文字について
    驚くほどの造詣、探求、熟考を重ねていることがよく分かります。
    また、本を読むということはどういうことなのか、ということについて書かれた部分は、
    本当に腑に落ちるというか、よくぞ言ってくれました!と心から拍手を送りたいです。

    テレビを見る、映画を見る、ラジオを聞く、インターネットを見る・・・
    情報が圧倒的な数と大音量で、次から次へと押し寄せる今、
    視聴者はその波を受け止め、あるいは受け流し、悪ければ流されていきます。
    しかし、本は読者の「読む」意思と力がなくては、その世界を閉ざしたまま・・・
    ただの紙の束でしかありません。
    「読む」ことは受け身ではなく行動であり、
    読者は読むペース、リズム、内容の取捨選択を自分自身で決めながら、
    自分だけの想像力の船に乗り、大海原を旅する、というわけです。

    「本は、読者が読んではじめて完成する。」



    他にもいろいろな要素がありすぎて、なかなか上手く書けないです・・・。

    ・言葉とはなにか、文字とはなにか
    ・フィクションとノンフィクション
    ・読んだ本は全て肥料や水や日光となり、心の中に豊かな土壌をつくる。
     そこから生えてきた芽が物語になる。
    ・物語を語るということ、または「よい作家」とは
     作家が、登場人物達をどれだけ上手に動かすのではなく、
     登場人物の声を、作家がどれだけ的確に文字にできるかということ
    ・登場人物に命を与えるのは「名前」。名前が正しくないと物語は動かない

    などと言った話は大変興味深いものでした。


    あ、あとひとつ。
    フィリップ・K・ディックの「電気羊はアンドロイドの夢を見るか?」と「ゲド戦記」には、
    よく似た境界線(電気羊ではごつごつした急勾配の坂、ゲド戦記では灰色の塀)が出てきて、
    読んだとき「ファンタジーとSFの世界がつながった!!」と大興奮したのですが、
    ル・グウィンの読んだ本の中にディックも含まれていて「やっぱな」と思いました。

    というかル・グウィンはもともとSF作家だから、そういう橋渡しがあって当たり前かぁ。
    読むごとに新しい発見。やっぱり本はいい。

  • 読み終わらなかった・・・
    グウィンは好きなのだけれど、読みにくかったなあ…

  • 2014年54冊目。

    ゲド戦記の作者ル=グウィンのエッセイ。
    ジェンダーや差別の問題にも幅広い知識で鋭く切り込んでいるが、
    やはり作家としてどう作品作りに向き合うかの部分が一番面白い。
    書くことの本質は「待つ」ことにあって、
    物語が主体性を持って動き出すのに耳を澄ませることが大事。
    村上春樹も同じことを言ってたので、やはり素晴らしい作品を作る作家や芸術家の根底には何か同じものを感じる。

  • ジェンダーについての項目が目当てで手に取ったけど、比較文化的な思考も見えて面白かった。
    特に好きなのは、猫の動きをダンサーに見立てたとこと、若さを手放せない人々の話。

  •  ル=グウィンが紡ぎだす物語は、活字でありながらも「耳に残る」という特徴がある。読んだ言葉がリズムとなって生き続け、書物を閉じてもなおりんりんと空気中に響いて、確かにそれを聞いたという感触が去っていかない。
     彼女の著作の多くがファンタジーに分類されるのは、架空の世界を舞台としているから、ではあるけれども、いま、もう一つの理由として、作品の中に息づくリズムのファンタジーのことも、挙げられる。呪文の意味や効力を問う以前に、純粋に音として、そこに脈打つリズムを指して、魔法を認めることもできる。

     言葉を音としてとらえること、波として感じること、文学というダンス。言語の宇宙をつきつめていこうと意気込んでいって教えられたのは、言葉にさえとらわれない、響きのファンタジーだったのである。


    <言葉という枠にさえとらわれない、響きのファンタジー>
    http://khipu.jp/php5/show.php/49975

  • ル=グウィンです。
    これまたティッピと同じく、せっかく図書館に来たのに何も借りないなんてもったいないととりあえず目に付いたのを持ってきただけなのですが。
    最初はどうなることかと思いました。なんだかもう何もかもが分からん言葉ばっかりで。だから私は諸外国のジョークは全く理解できないんですってば!(笑)
    いくらゲド戦記が好きったってこの調子だとどうしようっかなーと途方に暮れながらも読み進めていたのですけど…これがなかなか奥深い話の連続で、時折理解しにくいユーモアの部分に詰まりながら(笑)も全部読んでしまいました。
    ゲドを読んで思った通りの非常に思慮深い人でした。内省的で、且つ冷静。
    ものすごい読書量に圧倒されます。やっぱり本はいいよ!私ももっと読まねば。
    こんなブログで無責任にあれこれとホイホイ書いているっていうのは、実は結構私にとっては葛藤のあることなのですが、ついつい考えるのが面倒で放ったらかしにしているその葛藤の結構痛いところを突かれました。直接そう言うことに言及してるわけではないですが…身にしみます。

  • interesting.
    出てきた本色々読んでみようと思った。
    この人の考え方は結構好みなので、ゲドが気に入らなかったのは訳のせいかな。
    未訳部分の指輪物語関係が読みたかったよー……。

  • 「ゲド戦記」の著者のエッセイ集だ。
    おもしろい。
    英文題名は「心の中の波」。
    THE WAVE IN THE MIND:
    Talks and Essays the Writer,
    the Reader, and the Imagination
    by Ursula K. Le guin
    彼女の心の中の波に触れてみてください。
    彼女が読んできた多くの本のエキスがあなたの中に宿り始めるでしょう。

  • 言葉や物語についての深い洞察。少女時代の読書で味わった高揚感。色々なものが詰まったエッセイ集。

  • アニメ化自体はどーでもいいけど<BR>
    おかげでいろいろな邦訳が出るのはめでたい。

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