ブラッカムの爆撃機

  • 岩波書店
4.02
  • (60)
  • (69)
  • (46)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 615
感想 : 79
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000246323

作品紹介・あらすじ

イギリスの作家ロバート・ウェストールの作品集。大戦下の少年たちの友情と恐怖を描く「ブラッカムの爆撃機」の他、「チャス・マッギルの幽霊」「ぼくを作ったもの」の2編に、リンディ・マッキネルによる「ロバート・ウェストールの生涯」と宮崎駿のカラー書き下ろし「タインマスへの旅」を収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 112冊目『ブラッカムの爆撃機 チャス・マッギルの幽霊 ぼくを作ったもの』(ロバート・ウェストール 作、宮崎駿 編、金原瑞人 訳、2006年10月、岩波書店)
    80年代に発表された中編/短編/エッセイの計3本、そして宮崎駿による読者の手引き兼作者へのラブレター的な漫画「タインマスへの旅」が収録。
    「ブラッカムの爆撃機」は本当に見事な一篇で、宮崎駿が好むのもわかる。

    〈ウェストールさん あなたの作品には このムゴイ世界と 戦いつづける 勇気と 失われた ものへの 愛惜に みちて います すてき です〉

  • 宮崎駿さんの絵から始まり、絵で終わる!
    最高の1冊でした。
    戦争、飛行機…と内容的にも難しいかな…と思っていたのですが!さすが金原瑞人さんです!読みやすい!の一言につきます。
    私も読みながら恐怖を体験してしまいました…
    みんなが乗りたがらない飛行機。機内でいったい何が起きているのか…
    これはちょっとしたホラーだと思います。
    難しい描写も、宮崎駿さんの絵で、「なるほど〜」
    とまた理解が深まります!

  • ブラッカムの爆撃機
    チャス・マッギルの幽霊 ぼくを作ったもの

    「ブラッカムの爆撃機」は第2次世界大戦の際にイギリス空軍が行ったドイツ爆撃にまつわる怖い話。「チャス・マッギルの幽霊」は、古い洋館で遭遇した第1次世界大戦の時の脱走兵の幽霊の話。「ぼくを作ったもの」は大嫌いだった祖父と心を通わせることで、自分は連綿と祖先と繋がっているんだなということを気付いていく話。
    この三話の前後に、宮崎駿がウェストールを訪ねる架空の漫画「タインマスへの旅」が配置されています。
    空軍といえば陸海空の中で最も華々しいイメージがありますが、この小説の中では全く悲惨な状況が語られます。被弾したら直ぐに燃えてしまうような布張り爆撃機に乗り込んで、嘔吐物や便器の臭いに耐えながら、相手の表情がわかるくらいの高度で爆弾を落として、それによっていろいろな物が燃える臭いを嗅ぐ。凍り付くような寒さの中で冷や汗をかく体験が迫って来ます。また、第1次世界大戦の時の塹壕線に関しても、死体が引っかかった鉄条網の下に掘った塹壕の中をネズミのようにうろうろする様子や、足が壊疽を起こしてしまうようなどろどろの泥濘の様子が語られます。
    でも、そういった描写は適度なユーモアにくるまれて、生真面目なばかりの話ではなく、ちょっとわくわくする少年向けの冒険談としてうまく書かれています。
    中学生向けと言わずに、大人にも是非ご一読頂きたい内容です。

    竹蔵

  •  怖くて不思議な体験、だけど決して非現実的とは言えない魅力、むしろどちらが現実なのか。
     掲載3作とも「時」を感じました。15分や1分が永遠やスローモーションの様に濃密に感じたり、逆に20年が一瞬であったり。記憶の中や時空を臨場感たっぷりに書かれた味わい深い作品達です。
     巻末の、作者の「生い立ち」はとても良いです。歴史的なことも真実を伝えるんだ、だけど子ども向けに書くんだ、という作者の強い意志を感じます。

  • ジブリ美術館に行くとだいたい買ってしまう宮崎駿さんイラスト入りの本。
    誰が書いたどんな本かは二の次で駿さんのイラストを隅から隅まで思う存分眺めたい、という為だけに買う 笑。

    結果、いつも物語自体も面白いんですよねー。
    さすが駿。

    私、コレ怖い話だって全く思ってなかったらビックリした。でも、幽霊的なもの登場させて読む人を怖がらせようとか、今日の夜トイレ行くの怖くなっちゃうでしょー!って感じのホラーではなく、後味が良いホラーといいますか…。
    「ブラッカムの爆撃機」も「チャス・マッギルの幽霊」も主人公の男の子が素直で単純で純粋で良いヤツ。若さゆえの無鉄砲さもあって可愛い。だからか、何故か読後感は爽やか。笑。
    「ぼくを作ったもの」も良い。
    全部良作でした。

  • 宮崎駿の絵が本当に素晴らしい

    彼が何か共鳴する作家らしいが初めて読んだ。
    戦争の話、どこか身近で、結構怖い、昔のようで、今につながっていて、悲しくて、怖くて、切ない、今までにない戦争の話だった。

    このあとどうなるのかとドキドキさせられる。
    読みやすい、面白い本だった。

    ところで、この「場所」って、あの「場所」かな。

  • 最初に読んだウェストール作品。宮崎駿氏がシンパシーを寄せる作家。

    子供目線の戦争体験談(小説)は、まるごと悲惨というわけでもなく、うまく形容できない微妙なバランスでかろうじて保ててるような脆さを感じるが、この本はとりあえずホッとできる結末の話。

  • パンチ力はんぱねえ。
    あえて戦争の悲惨さを訴えてる内容じゃないのに、語り口は淡々としてるのに、めっちゃくちゃ怖かった。
    そして臨場感。自分、雲の中を飛んでる飛行機の中が感じられた。エンジンの音や張り詰めた空気や。
    『永遠の0』読んだ人に貸してあげたい。

  • 以前、夜間の爆撃で炎上する町と子どもたちという陰鬱な表紙で刊行されて、品切れ絶版になったものを、この作品に入れ込んだ宮崎駿さんが、出版元を福武書店から岩波書店に替え、最初と最後に著者ウェストールの故郷タインマスへ著者を訪ねての旅を漫画として描いたものを追加するというとんでもない肩入れをして、復刊にこぎつけたもの。
    ジブリのアニメの中の飛行機乗りの心に触れる部分の肉付けに貢献した何冊かの本の一つであることは間違いないだろうと思うが、これは児童文学として書かれた割には、かなり大人向け。戦争の生々しさ、残酷さがそのままにでてくるので、小中学生にはやや内容が重すぎるかも。

  • 貧弱なアルミ管の骨組みに布が張ってあるだけのウィンピー…本名はウェリントン爆撃機。
    テントみたいな爆撃機に乗り込む副操縦士のマット、ナビゲーターのキット、機首銃座のポール、尾部銃座のビリー・ザ・キッド、そして無線士のゲアリー。
    機長は中年のアイルランド人機長・タウンゼンド大尉。
    通称「親父」。
    高校出たての新米ばかりながら、その親父に率いられ、しょっちゅう笑い、そのために幾度もの出撃から生還してきた彼らは、クレフェルト爆撃の夜、後に「ブラッカム爆撃機事件」と呼ばれる事件の発端となった、友軍によるドイツ軍・ユンカース八八型機撃墜を目撃。彼らと変わらぬ年頃の、若いパイロットの断末魔の叫びを聴く。

    そして、次の出撃。恐ろしい死の連鎖が始まった――。

    表題作『ブラッカムの爆撃機』ほか、『チャス・マッギルの幽霊』『ぼくを作ったもの』2編、宮崎駿監督書下ろし漫画『タインマスへの旅』を収録。

全79件中 1 - 10件を表示

金原瑞人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×