リヴァイアサン号殺人事件―ファンドーリンの捜査ファイル

制作 : 沼野 恭子 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 69
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000246347

感想・レビュー・書評

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  • うわ~浅学なもので、西洋人の作家が書いた、日本と西洋の内面からの違いをこれほど言い表したものって、初めて読んだかも。

  • 豪華客船という舞台のせいか何となくのんびりとした雰囲気で、緊迫感にはちょっと薄い感じ。登場する日本人が、時代背景を考えるとそれなりに納得のいくメンタリティの持ち主であるというのに驚いた。

  • ファンドーリンシリーズ、翻訳では二作目。
    『アザゼル』では国際的な陰謀にファンドーリンが走り回るが、今回の舞台は密室の船の上。しかし初っ端からバンバン人が死にまくる。事件規模の大きさは本作でも変わらない。
    息もつかぬ間に起きる事件、様々な人の視点から語られる様相の面白さに、読む手が止まらなくなった。社会風刺として読める部分もあるし、ミステリ部分も面白い仕掛けがされている。大変面白く読めた。

  • パズルのピースをあわせるような
    ファンドーリンがチャーミングで、ゴーシュが……

    キャラが結構個性的で面白い
    あと、舞台が舞台なので科学トリックがあまりないところが好き
    かえって新鮮

  • 面白そうなんだけど物語が入ってこなかった。

  • <レポート提出のため>
     ボリス・アクーニンの『リヴァイアサン号殺人事件』を読了して、初めの感想は「面白かった」である。私はあまりロシアの作家による小説を読んだことがないのでロシア作品との比較をせず今まで読んできた小説と照らし合わせても、確かにこれはエンターテイメントである、と思わされた。それでいて文体は堅実で、ライトノベルや『ハリーポッター』などに代表される外国の軽めのファンタジーと比較しても、文体や字体で描写不足を補う必要もない点が実に好印象である。確かにある種のこだわりのせいか、ギンタロー・アオノの日記部分だけは二段組であるが、そこは新聞部分だけに見られる技法と同じ意味合いのものであろう。新聞部分だけ三段組になっているのは、推理小説にしばしばみられるメモやダイイングメッセージのビジュアル化を計ってのことであり、ギンタロー・アオノの日記が二段組なのは彼が唯一の縦書き文化を扱う存在であることを意味していると考えられる。描写不足や説明不足というよりこれは、一種の遊び心と認識するのは妥当であろう。訳者の意向もあるのだろうが、作者の筆力不足や読み手への稚拙なガイドの存在を感じずに読み進められたのはうれしいことである。翻訳エンターテイメントとして有名な『ハリーポッター』の文章表現に悪い意味で度肝を抜かれた私としては、その分肩肘を張らず物語に没頭できた。
     ところで、エンターテイメントとして代表的なジャンルは恋愛ものとミステリーである。このどちらかの要素を持たない作品は少なく、『リヴァイサン号殺人事件』とて例外ではない。タイトルが主張するように、リヴァイアサン号殺人事件はミステリーである。しかも、本格ミステリーだ。だが、私は本格ミステリーはあまり読みたいと思わない。なぜなら、本格ミステリーには人間の感情がもたらすドラマがあまりない上に、生命を軽んじる風潮があるからだ。その点からいえば私は、私がエンターテイメントの二大金字塔の片方と称す、人間の感情がもたらすドラマが存分に味わえる恋愛小説のほうが好みなのかもしれない。だが、私はあえてイリーナ・ジェーネシキナの『恋をしたらぜんぶ欲しい!』を題材に選ばなかった。惹かれはしたのだが、役者の方針が気に食わなかったのだ。フォントサイズがところどころ変えられていて、自分が平常心を保って読めないだろうと予想されたからである。しかし、私は先にも書いたように人間の感情がもたらすがもたらすドラマが少ない本格ミステリーも好きではない。そこでは、殺人のための殺人、つまり、物語を面白くするために行われる殺人がまま起きるからである。犯人の動機を特定しづらくするためにのみ行われる殺人なんてものは、確かにそういう殺人犯がいないとは言わないが、非人間的で残酷すぎるというものだ。そういう殺人を物語を面白くするという動機で、物語の中で犯してしまう作者の精神構造すら疑いたくなる。
     そして、この『リヴァイアサン号殺人事件』で犯人の人間味はどうかというと、まあまあ及第点といえよう。すくなくとも、ラジャの息子の行動には人間的なものが感じられた。しかし、哀れな老後という未来よりいいものを望んだ警部の行動、その彼から最初の目的物を取り返そうとしたマダム・バグダサルの心理には非情さを感じずにはいられない。なぜ、ただそれだけのために一生の罪を背負えるのか。現実にそのような人間がいないことを祈りたくなる。だがしかし、そのような彼らのおかげで物語は面白さを増すのであり、私はこういった観点から皮肉も込めて『リヴァイアサン号殺人事件』をエンターテイメントだと称したい。ドストエフスキーの『罪と罰』における、自身の罪に懊悩するラスコーリニコフの姿のほうが私は好きである。
     しかしこのように考えたうえで、中途でゴーシュから濡れ衣を着せられたギンタロー・アオノの姿を思い出したい。彼が濡れ衣を着せられてしまったり、ゴーシュに嘘を指摘されたりしている彼の内面は、実に日本的なものをとらえており、彼の日記に書きだされる思考にも興味深いものがある。ペンネームに日本の言葉を用いたという作者の日本への思いが感じられるというものだ。私は『リヴァイアサン号殺人事件』を読んでいて、人気があるため単行本化され続編まで出た、趣味で公開されていたウェブマンガの『ヘタリア』という、国を擬人化した作品を思い出した。ギンタロー・アオノはさしずめ日本を擬人化したキャラクターであり、その他の登場人物もそうなのであろう、ということが登場人物同士の小競り合いや主義主張など随所で読み取れる。私は『リヴァイアサン号殺人事件』をエンターテイメントだと称したが、各国の特性を描き出し、それすらをも楽しみとして世益子の小説に、文学的な要素もしっかりあるではないかと驚いた。
     『リヴァイアサン号殺人事件』は本格ミステリーの悪い点を内包するものの、『すごいエンターテイメント作品』だと思う。

  • 時代は20世紀初頭(くらい)、さまざまな国籍の人々が乗り込む豪華客船リヴァイアサン号を舞台にした歴史ミステリー。閉ざされた空間、インドの秘宝と暗号、ハンサムな素人探偵と無能な警部…と、どこか懐かしさがただよう道具立てに、現代の英米小説にはありえないおっとりとした雰囲気が漂う。これは、本書がロシアのものであることに関係があるかないかのどちらかであろう。なにかもの慣れない感じにもかかわらずどんどん読めるので、巻を追ううちにこなれてぐっとおもしろくなってくるかも。ちなみにこれはシリーズ4作目。11作まで出ているらしい(未訳)。

  • パリで起きた一家惨殺事件。その容疑者を追う警部が乗り込んだリヴァイアサン号。乗り合わせたのは日本赴任に向かうファンドゥーリン。船上での殺人事件。ゴーシュ警部が語る昔の事件との関連。


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  • ロシアの作家アクーニンの大ヒットシリーズ。98年の作品。シリーズ4作目だそうです。エラスト・ファンドーリンというハンサムな青年外交官が探偵役。
    パリで大富豪と召使い達が殺され、コレクションが盗まれる。手がかりは豪華客船の金バッジ。
    19世紀末が舞台で、ホームズや怪盗ルパンの時代ですね。豪華客船の旅はちょっとタイタニックを思わせます。
    アクーニンというペンネームは日本語の悪人からとったという日本通。数人の視点が変わる中に日本人・青野銀太郎の手記も出てきます。
    アクーニンには他にもたくさん作品があり、かなりの才人のようです。

  • 初めてのロシア・ミステリということで根拠のない不安を抱いていたが、良質の本格ミステリに国境などないと改めて実感した。ガチガチの本格なのに堅苦しさはなく、ライトノベルを読んでるようにさくさく進む。筆致は親近感があって、すこぶる好印象。典型的なシチュなのに、紋切り型に終わらない展開がレベルの高さを証明していると思う。ただ、犯人を絞り込むのは比較的簡単。(ある名作の一場面を連想したため)もうひとつ残念だったのは、次々変わる語り手が、私にはあまり合わなかったこと。特に、ラスト間際のトリッキーな展開の最中に視点が変わるという荒技は、脳みそが右往左往するので控えていただきたい。トリックの種類やキレよりも、全体の雰囲気で楽しむ作品のように思う。リピートには充分耐えうる作家なので、このシリーズを読書リストに加えようかなと思案中。

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ボリス・アクーニンの作品

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