フェルメールの帽子――作品から読み解くグローバル化の夜明け

制作 : 本野 英一 
  • 岩波書店 (2014年5月30日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000246965

作品紹介

"永遠の瞬間"を描き留め、いずれの作品も珠玉の絵画と賞されるオランダの画家、ヨハネス・フェルメール。しかし、画家のマジックに閉じ込められたのは"美"だけではない。ヨーロッパの小氷河期、アジア航路探索、米大陸での銀採掘、チャイナ・ブーム-一七世紀の壮大な東西交流の世界へ、いま扉が開かれる!あなたがまだ見たことのない、フェルメールの新世界。

フェルメールの帽子――作品から読み解くグローバル化の夜明けの感想・レビュー・書評

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  • フェルメールの作品に現れる品々が、なぜそこにそうしてあるのか?という理由を当時の世界情勢から読み解く。フェルメールが創作に勤しんだオランダ・デルフトという町は東インド会社などを通じて世界とつながっており、絵画の中にも世界の様子が垣間見えるのである。フェルメール作品の特徴である青色、ウルトラマリンに関する逸話も盛り込んでほしかったところである。

  •  カナダ人の中国史研究者がフェルメールを論ずるというだけでもその意外性に驚くのだが、その絵画に描かれた帽子や皿、天秤などを糸口として、オランダのデルフト市の背後に控える17世紀のグローバル経済を活き活きと蘇らせるのだから、何とも刺激的で、スケールの大きな歴史書である。
     それにしても、大航海時代にスペインに流れ込んだ大量の銀の最終的な行き先が中国で、17世紀には中国は<銀の墓場>となったという指摘はじつに鮮やかで、ただただ脱帽!

  •  地球規模で寒冷化が進み北海の魚群が南下すると膨大なニシン漁獲量にオランダ漁民は潤いデルフト眺望には改修中のニシン運搬船が描かれた。アジアとの海上交易を支配し全世界と交易する東インド会社の保税倉庫も描かれた。カナダ産ビーバーの下毛でできたフェルト帽は、猥雑な場末の宿屋から家庭内へと移行した男女の駆け引きとともに兵士と笑う女に描かれた。

    『このように見てみると、われわれが、その中に一七世紀の兆候を見出そうとしている絵画作品は、単に、過去の再発見のために足を踏み入れる玄関口としてではなく、過去から現在を導き出した因果関係の複雑さを映し出す鏡と見なすほうが良いように思えてくる。』29頁

  • デルフト眺望、帽子、皿(陶器)、地図、煙草、銀。フェルメールの絵画から展開する世界史の広さと深さに驚かされる。絵画は取っ掛かりなので、純粋に美術鑑賞したい人は肩透かしなのかもしれないが、自分としては好み。情報量が膨大で図書館の貸出期間ではとても把握できない。解説にある通り、手塚治虫「鳥人大系」のような、細かなエピソード(史実)を重ねて大きな物語を描こうとする手法は非常に面白い。

  • 作品から読み解くグローバル化の夜明け、というサブタイトルのとおり、本書の内容のほとんどは、15世紀のオランダの海外での活躍?について書かれている。

    いわゆる大航海時代の後半、オランダ、ポルトガル、スペインが、大西洋をわたりアメリカへ、喜望峰をまわりインド、フィリピン、中国、そして日本へ、南アメリカのペルーへは銀の取引のため。
    まさに、世界中を船でかけめぐっている姿が、いきいきと描かれている。

    フェルメールの絵の中の背景、人物という扉のむこうに、大きく躍動する世界の動きを見せる、この手法に、本当にやられた、というしかない。

  • 絵が、その"時"を閉じ込めているんですね、、、

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    「“永遠の瞬間"を描き留め、いずれの作品も珠玉の絵画と賞されるオランダの画家、フェルメール。しかし、画家のマジックに閉じ込められたのは“美"だけではない。アジア航路探索、米大陸での銀採掘、チャイナ・ブーム――17世紀の壮大な東西交流の世界へ、いま扉が開かれる! あなたがまだ見たことのない、フェルメールの新世界。 」

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