平成の天皇制とは何か――制度と個人のはざまで

制作 : 吉田 裕  瀬畑 源  河西 秀哉 
  • 岩波書店 (2017年7月28日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000247238

作品紹介・あらすじ

現代の日本社会において象徴天皇制はどのような機能を有し、その制度のなかで明仁天皇はどのような役割を果たしているのだろうか-。明仁天皇と美智子皇后が自らの発言や行動を通じて作りあげ体現してきた「平成流」象徴天皇制の実態やあり方を、九人の専門家たちが分析・検証するとともに、「代替わり」後の象徴天皇制の行方を縦横に論じる。

平成の天皇制とは何か――制度と個人のはざまでの感想・レビュー・書評

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  • 一人の筆者による「天皇論」ではなく、様々な立場から書かれた論文を集めた論文集です。
    極めて専門的で、門外漢には読めない、というレベルの論考は一本もなく(もちろん、簡単なエッセイではないので読みごたえがあるものもありましたが)、今上陛下の生前退位を目前とした現在、私たちが考えるべきことの視点を提供してくれている本になっていると思います。

    いわゆる「平成流」の「象徴天皇としてのあり方」が国民に広く受け入れられるようになってから久しい。
    「伝説」となった雲仙普賢岳の火砕流のお見舞いをはじめ、被災地や戦災地をまわり「祈る」天皇・皇后両陛下の姿は国民にとっても「馴染み」のあるものとなった。
    ただ、天皇皇后両陛下の行っている現在の「公的行為」は果たしてどのような法的裏付けがある行為なのか(憲法に定められている国事行為ではない以上、違憲なのか)。

    憲法学会の主張として、天皇陛下が「模索してきた(退位を表明したいわゆる「お言葉」にもそうあった)」象徴天皇としてのあり方は、憲法の定める天皇としてのあり方と矛盾している、という主張に対して、私自身確固たる根拠をもって反論することはできないのですが、そういった学会の主張に対して違和感を覚えるあたり、私自身も天皇皇后両陛下の行ってきた「祈り」に対して”ファン(P.152,山口)”のような感覚でいるのかもしれません。

    ただ、天皇皇后両陛下も、全く新たな、実権に基づく権威を持たない「象徴」だけの”天皇”として、戦後の経済成長も終わった新たな世の中でのあるべき姿について悩み、試行錯誤を繰り返してきたのだろうということは種々の論考からもうかがえました(そのこと自体が憲法学説的に是か非かということはさておき)。
    ただ、今回この本を読んだことで、今上陛下の行ってきたことが「正当(正統)」であり、現皇太子殿下が即位したのち、そのあり方をそのままに受け継ぐことが果たして良いことなのだろうか、という疑問を抱くきっかけとなったように思います。
    天皇に政治的な権能を与えない、ということで始まった日本国憲法下の戦後日本でしたが、現在の天皇陛下の「おことば」には過分に政治的な影響力があることを踏まえると、無条件に天皇陛下の「おことば」にうなずくことができないじぶんにも気づかされます。

    これからの「天皇制」のあり方を含めて、いままでよりも濃密な(かつ、国民の多くが興味を失うことが無い程度に簡潔な)、国民全体を巻き込んだ議論が必要なのだろうと思います。

  • 313.61||Yo

  • 17/09/03

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