またの名をグレイス 上

  • 岩波書店
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本棚登録 : 195
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000248051

感想・レビュー・書評

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  • 1843年カナダで起きた殺人事件の犯人として服役中のグレイスは、精神科医ジョーダンの聞き取りのもと、過去を語る。
    その語りにジョーダンが魅了され引き込まれたように、読者も引き込こむ。
    グレイスの記憶は確かで信頼性があり(そうに思わされた?)、語りは魅力的で誠実(そうだ)。
    だが確かな記憶などというものはあるのだろうか?記憶は語るたびに細部は塗り替えられていないか?
    そんな不安を感じながらも、辛い生い立ちながら健気に生きてきたグレイスが犯人であってほしくないと思いながら読み進めていた。
    そうなのだ。
    人は望むように話を聞くのだ。信じたいことを信じる。真相は歪められる。
    (下巻へ)


  • 苦労と貧困の環境で得た少女の術と鋭い洞察力のグレイスの語りには俄然惹かれる。寧ろ周りの人の詮無い姿が影を潜めた。だからこそこの魅力的な有能さを信じるのか。"またの名"がグレイス?と、表紙をみつめ下巻を掴む。

  • 詳細は下巻後に書くが、読み始めたら止まらない。

  • 作者の作品は一貫してフェミニズム的だという感想を読んだことがあるが、読了後、確かにと頷いた。
    以前読んだ『侍女の物語』もその視点で読めばもっと面白かったのかもしれない。

    素敵な精神科医だと思って読み進めていたのだが、全くそんなことはなく残念な医師であった…

  • 『プリズンブッククラブ』の課題図書。
    マーガレット・アトウッドって実は読んだことなかったのか。『侍女の物語』とか?

  • カナダで起きたトマス・キニア、ナンシー・モンゴメリー殺害事件を題材とした小説。
    事実を元に物語を構成しているのでわかりやすい落ちは無かったけどラストは良かった。当時の風習や女中の生活が細かく記載されていて面白かった。

  • 2013/2/6購入

  • ボリュームといい各章のエピグラフといい、アトウッドの気魄ががっつりこもった心理ミステリ。19世紀中頃の、アイルランドで食い詰めてカナダに渡ってきた女の子が殺人教唆の罪で牢屋に入れられて、という話。現場にいた人は全員死亡、一時的に狂乱状態になって記憶が飛んでいる彼女に、16年後に精神科医がインタビューするという、たぶん「信頼できない語り手」もの。

    この種の小説について上巻だけで良いも悪いもないとは思うけれど、150年前のカナダの人の荒々しさや、女中だったグレイスの日々の細かな雑用の描写が興味深くてどんどん読んでしまった。アトウッドだけに、虐待する夫・父や妊娠してポイ捨てされた娘の悲劇の挿話がはさまってくるのだけれど、そこはちょっとベタかなーという気も。だって読むほうが動揺するのは鉄板なんだもの。

    精神科医が若くて頼りないので、きっともやもやした終わり方になるんだろうなと思いつつ、どんな後味の悪さでしめてくれるのか楽しみ。

  • 感想は下巻にて。

  • この小説は、住み込みの女中と下男が主人と女中頭を殺したという実際の事件をベースにしてる。事件が起こったのは1843年。
    この事件は、カナダで有名な事件らしく、マーガレット・アトウッドも並々ならぬ興味を持ったようだ。できるかぎりの資料を集め、事実をベースに小説を組み立てている。

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著者プロフィール

マーガレット・アトウッド(Margaret Atwood):1939年カナダ生まれ、トロント大学卒業。66年にデビュー作『サークル・ゲーム』(詩集)でカナダ総督文学賞受賞ののち、69年に『食べられる女』(小説)を発表。87年に『侍女の物語』でアーサー・C・クラーク賞及び再度カナダ総督文学賞、96年に『またの名をグレイス』でギラー賞、2000年に『昏き目の暗殺者』でブッカー賞及びハメット賞、19年に『誓願』で再度ブッカー賞を受賞。ほか著作・受賞歴多数。

「2022年 『青ひげの卵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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