- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000248174
作品紹介・あらすじ
高齢のヴィルヘルミーネを介護するために、ロシアからドイツにやってきた二十三歳のイェリザヴェータ。二人の人生には、第二次世界大戦の「爪痕」が生々しく遺されていた。ある日、一本の電話をきっかけに、その戦争の記憶がうごめきだす-。過去と現在を往還する、息詰まる心理劇。
感想・レビュー・書評
-
こんな話が実話としてたくさん存在するんだろうか。たまらん。つらすぎる。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
終盤に向かってどんどん緊迫していく。秘密が明らかになり、タイトルの意味が重く悲しく迫ってくる。何が正しかったのかなんて誰にもわからないし決められない。それでも決めたり選んだりせざるをえなかった、背負って生きることを強いられた女性たちへの鎮魂の物語に感じた。
-
2003年という時間を共有する、90歳のヴィルヘルミーネと23歳のエヴァ。2人の関係は良好に進んでいくかと思いきや、一つの電話わきっかけに崩れていく。
2人の裏にあるものは第二次世界大戦。時代がそうだった、その時は仕方なかった、そうゆう形で割り切ろうとする反面、それを今も引きずらざるをえないヴィルヘルミーネ。そして、戦争に直接関係はしていないものの、同じく戦争によって作られた出生の秘密のあるエヴァ。
どちらの気持ちも、仕方のない、同情の余地のあるところがつらかった。 -
ドイツの老婦人とロシアの若い女性が出会ったことからこじ開けられる過去。
戦争の傷痕は、その世代だけでなく次の世代、更にその次の世代まで残る。
シビアだけど丁寧な作品。