学び合う場のつくり方――本当の学びへのファシリテーション

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000248235

作品紹介・あらすじ

いま、教育、企業、行政、医療、まちづくりの現場で、対話や参加を大切にした能動的な学びに注目が集まっている。ワークショップのパイオニアとして「参加型の場づくり」に長く取り組んできた著者が、東工大における教育改革をはじめ、学び合いの場づくりの様々な実践を紹介しながら「本当の学び」のあり方を探る。

感想・レビュー・書評

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  • ファシリテーションのソウル(魂)とそのマナーに触れる本である。単に類型化したり手法を並べられても「実際のところどうなの?」というところに行き着かない。例も自分のものとは異なるし。。。など。

    この本の場合筆者もしくは関係者の生の声が掲載されておりその意義や当事者の生身にふれることができる。これは筆者のイベントやワークショップでもそのデザインに組み込まれてるものであり書籍にの流れも読者を引き込むようになっている。

    【オリエンテーションのOARR(オール)】Outcome: 目的、具体的ゴール、Agenda: 大まかな流れ、Role&Rule: 役割と参加の心得

    【ダニエル・キム組織の成功循環モデル】関係の質→思考の質→行動の質→成果の質→関係の質→…(以下省略)

    【音楽の活用】楽器だけのインストゥルメンタルが良い

    グラフィック・レコーディングにも触れているがお客さん的なご紹介である。一番親しい分野なのでさらなる啓蒙が必要だとも思う。

  • この本に書かれている参加型授業を知って、自分がこの4年間で受けてきた大学の授業は「一方的な教えられる授業」が圧倒的に多かったなと思った。
    仲間との対話や自発的な知識の獲得ではなく、教師からの一方向的な伝達によって得た知識はテストまでの短期間は自分の中に留まっているけど、風船から空気が抜けていくようにあっという間になくなって忘却の彼方に忘れ去られていった。
    もちろんSNSやテレビによってただ眺めているだけで視覚に入ってくる情報も。

    逆に自分が読みたい本を読んで自分の印象に残った部分や、就活やボランティアや留学、研究生活など自発的に行動し、人との関わりや自分自身と向き合うなかで発見した新たな自分や得た知識は、今の自分を形作っていると思うし使える知識になっていたりする。
    筆者が本当にわかる、本当の学びとは「腑に落ちる」ということだと言っていたが、自分の経験からもやっぱり、狭い教室で机に座ってペンとノートで90分間黒板を写す授業よりも、自分の五感を使って、身体を使って、仲間と相互に関わることで得られることのほうがずっと自分の生きる力になると思う!

    授業は楽しいことが大前提になければ、どんなに内容がよくても学ぶ者が得られるものは小さいと思う。
    大学で一番面白いと思えた講義の先生が、教える側がお金を払って自分の授業を選んでくれてるなら面白くて来てよかったと思える授業にする責任があるっていうようなニュアンスの話を自分たちにしていたことを思い出した。
    教えられる側中心、相手のことを考えている先生だからこそこんなに楽しいと感じられる授業なんだなと思うし、聞く側も、こんなに知恵を振り絞って作ってくれている授業なら聞く価値があると思えるんだと思う。

  • ファシリテーションのポイントを第二節でざっとおさらいできる。後半は自伝的要素が強い。ファシリテーターを集めて、やりにくいところなどをさりげなく聞き、フォローする「立志カフェ」はいい仕組み!

  • 【学びの場づくりの参考書】
    ワークショップの第一人者の中野さんが解説する「本当の学びの場」
    第2章「ファシリテーションの基礎スキル」では、場面や技法、手続きなどを交えて、具体的な場作りやファシリテーターとしての構えが解説されています。いろいろなファシリテーションの方法論があるが、それらとの重なりや共通点が見えてくると、それをやる意味が腑に落ちてきます。
    場作りも活動も多くはファシリテーターの意図が場に広がっていく。そう言った点では、中野さんは時にファシリテーターの役割を「わざわざ」やる「おせっかい」とまともおっしゃっています。
    著者がたくさんの体験で得てこられた例をふんだんに交えて紹介される学びの場の数々も魅力的な内容のひとつです。
    今、気になるキーワードがワークショップやファシリテーションとつながる部分もあり、ゆっくりじっくり楽しめます。

  • 著者の大学での授業の実践を中心に、自身のライフヒストリーも語られています。
    興味深いです。
    大学での授業も、大教室とあきらめないで、さまざまな取り組みをする。
    どんな場でもファシリテーションで変えていく。
    見習いたいと思います。

  • 思っていた本当になったけどファシリテーションしながら授業できたらなあと思った

  • 東工大の中野先生が、大学での参加型授業へチャレンジし、その知見やノウハウをまとめて展開している本。
    アクティブラーニングの重要性はよく言われているが、実際にそれをやろうとすると非常に難しい。この本にはワークショップの設計手法も書かれているので、これをベースに考えて設計するのに参考になると思う。
    また、単なるHowto本ではなく、生き方や在り方を問う内容になっているので、自分自身を振り返るきっかけにもなりそうだ。

  • ファシリテーションの理念と方法が具体例を交えながら書かれていて大変参考になった。自分はこのような場をつくりたいのだと再確認できた。

    第四節の最後のページにある「教えよう,変えようと頑張るよりも,自分が他でもない自分自身にただなりきること,そして一緒にそこにいる相手が相手自身になりきることを,ただ許し,楽しむこと」という教育観をもっていたい。

  • 実践者による現場の記録。
    現場の知が詰まっている。

    一章三節はやや異質だ。主題を問わず、方法として「学び合いの場」をつくることができる。それはそこに生じており、見れば、いれば、わかるのだけれど、専門知の蓄積に邁進してきたアカデミシャンには分かりにくいし、効果を測定しなくてはならないと、感じるところもあるのだろう。

    本書では地味めなところに引っかかったのは、それが私自身の今の問題だからだ。

    これはデザインの研究なので、どこまで有効かの境界条件を問うのではなく、有効である場合が少なくとも一つあるかどうかの、存在を問うものであればいいのではないかと思うのだが。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/712491

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。東京大学文学部宗教学科卒業。広告会社の博報堂に就職。その後休職しカリフォルニア統合学大学院(CIIS)に留学。組織開発・変革やファシリテーション、ディープエコロジーなどを学び帰国。復職し、人材開発や企業の社会貢献、NPO/NGOをつなぐ仕事などに従事。愛知万博(2005年)では「地球市民村」を企画・プロデュース。明治大学、聖心女子大学、立教大学大学院の兼任講師、同志社大学政策学部教授を経て、現在、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院(2016年4月発足)教授。著書に『ワークショップ』『ファシリテーション革命』などがある。

「2015年 『講座スピリチュアル学 第5巻 スピリチュアリティと教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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