迷子の魂

  • 岩波書店 (2020年11月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (48ページ) / ISBN・EAN: 9784000248327

作品紹介・あらすじ

あるところに、忙しすぎて魂をなくしてしまった男がいた。男は医師の助言にしたがい、迷子になった魂をじっと待つことにする。すると——。ノーベル文学賞作家トカルチュクが、コンセホのノスタルジックな絵とともに贈る、子どもたちと、忙しい大人たちのための、大切な魂のものがたり。2018年ボローニャ・ラガッツィ賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 魂を置き忘れてきてしまったヤンという名の人のお話し。子どもから大人まで世代を問わない絵本。
    魂と再会して世界があざやかに。

  • オルガ・トカルチュク作。
    ヨアンナ・コンセホ絵。

    「むかし、ものすごくよく働く人がいた。かれはずっと以前に、どこか遠くに、じぶんの魂を置き忘れてきてしまった。」

    というギクリとする書き出し。
    多くの人が、魂を置き忘れたことにさえ気づかない中、本作の主人公はさいわい、それに気がつく。

    かれはある「賢い医者」に相談する。
    「魂が動くスピードは、身体よりもずっと遅いのです」
    と彼女は言う。

    「かれ」はそれ以来、魂を見つけるために何もしないことに決める。

    テキストは必要以上のことを語らない。
    絵が多くを物語る。
    モノクロだった絵が、ページをめくるにつれて色を帯びてくる。まるで少しずつ魂が潤いを取り戻していくように。

    魂と同じ歩調で。
    魂を比喩だと思わない方がよいと思った。

  • 忙しく働きすぎて、じぶんの魂を置き忘れてきてしまった人の話。ついに自分を見失い、不調をきたした主人公は、賢者に魂をゆっくり待つように言われる。

    自然豊かな環境の中で魂をひたすらに待ち、魂と再開した時にモノクロの絵がぱっとカラフルになるという演出が素敵だった。

    少し分かりにくく感じるのは「魂」の概念がポーランドのものと日本のもので若干ずれがあるからではないかと思う。
    同じポーランド出身のシンボルスカの本に「魂」解説があったので載せておく。

    『瞬間』55p
    ポーランド語の「魂」duszaには宗教色は薄く、もっと広い意味で人間の人格や気質全体を指し示す用法が見られる。大きなポーランド語の辞典を引けば、「霊魂」の意味のほか、「人間の人格を構成する精神的、感情的、知的な気質の総体」「組織の推進力となる人物」「正直ないい人間」などの意味があると教えてくれる。

  • オルガ・トカルチュクOlga Tokarczuk - Biography | Artist | Culture.pl
    https://culture.pl/jp/artist/olga-tokarczuk

    Joanna Concejo Illustration(@joannaconcejo) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/joannaconcejo/?hl=ja

    迷子の魂 オルガ・トカルチュク(著/文) - 岩波書店 | 版元ドットコム
    https://booklog.jp/edit/1/4000248324

  • 受験生や就職活動をする人たちに向けて、自分自身を見失ってしまいそうになったときにおすすめする。

  • 私たちの魂はいつも背後に置き去りにされて、迷子になっているという言葉にとても共感しました。

    例え前進していても自分自身の心が追いつかなくなって、なんだか分からなくなってしまう時があります。

    大切なものはどこか遠くではなく自分自身の中にある事を教えてくれる絵本でした。

    最後の解説も良かったです。

    主人公が自分自身の魂と再開できた時に、優しい緑色の植物があたり一面に広がった時は感動しました。

  • 絵も大切に読みたい、本だった。

  • 大人向けの絵本。
    はじめはなんとなくページをめくっていたのだが、男(ヤン)の魂が現れたあと見返すと、もしかしてこれも魂では、というものがたくさん描かれていた。

    ヤンは「おなじ形のちいさな格子に端から端まで区切られた、数学のノートのなめらかなページの上を、あっちこっちに移動している」ような気がしている。
    自分の身体のなかに誰もいないことを感じる。
    そこで彼は賢い老医師のところへ行く。
    老医師は教えてくれる。

    魂が動くスピードは、身体よりずっと遅い。
    だから、せかせか暮らしている現代人の魂はついていけずに迷子になっている。
    迷子の魂を取り戻すには、落ち着ける場所でただ待つしか方法はない。
    (これを教えてくれる賢い老医師は女性ってところが、いいではないか!)

    しかし、魂がいなくなってしまったことに気づいていない人はたくさんいる。ヤンは気づいただけましなのだ。
    ヤンはただひたすら待つが、魂を取り戻すことができるのは、この孤独な時間に耐えられる人だけなのだろう。
    魂と再会するとそれまでずっとあった(数学のノートの)格子が消える。

    絵の力がとても強く、単に短編小説に絵をつけたものではない。絵が言葉以上にたくさんのことを語っている。

    魂を失くしたのにそれに気がつかないまま一生を終える人も多いのだろう。
    私もそうかもしれない。

  • 「優しい語り手」の表紙の絵に惹かれ絵本も購入してみた。

    表紙の植物の葉は手にとってみてナスタチュームだったとわかる。

    観葉植物に勢いがあり生命力を感じるヨアンナ コンセホの絵。

    絵本は絵を読むと言うが、ページを前後に繰り返しながら見入った。
    なかなかこの絵を読むのも難解である。

    作家の意図は説明により読み解けるが、想像力を駆使して絵を読もうと頑張ってみた。

    最後のナスタチュームの花だが主役のナスタチュームの表現を絵で見るのは初めてて感動した。

    あちこちに潜む手袋も可愛い。

    小椋彩さんの訳はは読みやすくて助かる。

    星1個のマイナスは自分の読みが浅いための一個。

  • ノーベル賞作家オルガ トカルチュクによる絵本。

    経済的に困らなければ、魂を待つ生活がしたいけど、労働者のわたしはどうしたらいいものかと考える。

  • 心を置き去りにして、ただ単に生きる為だけに働き一生を終えることの虚しさは誰もが気づいているけど…
    多分、魂というのは、自分を含めて人や自然を愛する心ではないかと…

  • あぁ、私もかもと共感を感じてから読み進めた。
    心=魂が、身体から離れてしまっている間、世界はモノクロで色が無い。

    心が身体に追いつくまで、共にあるまで、動き回らず、ただ待つ。
    テーブルにはお茶と観葉植物。

    心と共にいるようになって、世界は色と緑に溢れている。時計を無くす。
    時を気にして、効率ばかり求めた先に何があるのか。心とともにある時間を。

    図書館で児童書の場所に置くような本ではない。大人のための絵本だ。

    一回読んで、答え合わせのようにすぐに再読する。

  • 忙しすぎる生活故に魂を失った男は医師の勧めによりただ待つ事を始めた。ひたすらに待ち続ける男が出会ったものとは。

    テキストはほとんどない絵本です。男の記憶かそれとも夢なのか、定かではない幻想的な描写が特徴の絵本です。大人向けの寓話といえます

  • 動き続けて疲れてないか?動くことで、求めるものは見つかっているのか?自分の魂を置き去りにしていないか?作者から、そんなメッセージをもらったような気持ち。
    答えは動いていても見つからない、自分の中に、身近なところにあるのだということを思う。逃亡派を読んだ後だと、余計に。
    人が多すぎて、出かけても疲労して、やりたいことリストにチェックをつけるにも一苦労。こんな気持ちになってまで、そのリストにチェックする必要あったんだっけというような日々は、まさに迷子の魂状態かもしれない。私も自分の生活範囲でじっとして、自分の魂を迎えに行こうか。

  • 悪くはないが、テキストが短すぎて。

  • 長文の後しばらく絵のページが続くスタイル
    大人向け

  • 大切なものは自分の中にある。
    素敵な絵本だが、なかなか難しい。

  • 疲れているんだよねー

  • 頑張りすぎて疲れ切ったあなたへ。そしてわたしに。

  • 原題 ZGUBIONA DUSZA
    by OLGA TOKARCZUK & JOANNA CONCEJO
    2017
    ポーランドの2人

    なんと上質な絵本なのだろうか

    カボチャを食べたくなりました


    まさしく私たちはみな、魂を迷子にしているのではないかと
    そして取り戻せるとしたら、それはなくした時間と同等の時間がきるのではないかと

    ヨアンナ・コンセホの絵をじっくりと見ながら
    取り戻せしていきたいもの

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著者プロフィール

現代ポーランドを代表する作家のひとり。国内で最も多くの読者に支持されるとともに、国外にも広く翻訳紹介されている。
1962年、ポーランド共和国西部スレフフ生まれ。1993年の『本の人々の旅』で本格的に文壇デビューを果たす。本作『プラヴィエクとそのほかの時代』(1996)で、ポーランドの架空の村を舞台に、この国の経験した激動の二十世紀を神話的に描きだし、国外にもひろくその名を知られるようになった。その後も『昼の家、夜の家』(1998、邦訳:白水社)、『最後の物語』(2004)などコンスタントに話題作を発表、『逃亡派』(2007、邦訳:白水社)ではポーランドの権威ある文学賞ニケ賞を受賞。扱うテーマはメソポタミア神話から政治、フェミニズムまで多彩である。
2018年のノーベル文学賞を受賞。

「2019年 『プラヴィエクとそのほかの時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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