民主化以後の韓国民主主義 起源と危機

  • 岩波書店 (2012年1月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784000248631

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  •  原書の初版は2002年、本書の元になった改訂2版は2010年発行。そのため「民主化以後」の分析対象は金泳三、金大中、盧武鉉政権までで、特に前2者が中心だ。
     「冷戦反共主義が支配する保守偏向の政治的代表システム」を韓国民主主義の特徴としている点に、文在寅政権の今読むとまず戸惑う。これら3政権の政治エリートは(そもそも既得権益層を基盤とした金泳三政権には一定の留保をつけつつ)、当初は改革を熱望しても、やがて無能力さと未成熟さを露呈し、行政エリートを依存するようになったのだという。この行政エリートに代表される強力な保守層の存在こそが先述の韓国政治の特徴だとしても、現在はかなり弱体化していないか。
     また、冷戦反共主義の「既得権勢力」とこれに抵抗する「民主化運動世代と20-30代の若い世代」を対立的に書いているが、今や20-30代はむしろ「民主化世代」も既得権勢力として批判的に見ているのではないか。
     ただ、訳者磯崎の解説と合わせ読むと、現在にも通じる著者の姿勢がより明確になった。著者は「盧武鉉現象」に代表されるような国民の政治的不満の周期的な爆発を否定的に見る。政策論争が行われず、政権交代後にようやく政策を慌てて作る、ともある。磯崎は著者がろうそくデモを批判し、社会の要求に責任を持つ政党と政党システムを構築する方が重要、と述べていると解説。朴槿恵弾劾と文在寅政権の誕生を経た現在は著者のこれら指摘が一層実感できる。

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