ミライノコドモ

  • 岩波書店 (2013年6月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784000248662

みんなの感想まとめ

時間や風景の移り変わりをテーマにしたこの詩集は、日常の中に潜む微細な変化を捉え、深い思索を促します。読者は、昨日と今日の違いを探すことの難しさを感じつつ、詩を通じてその背後にある豊かな風景を再発見する...

感想・レビュー・書評

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  • 谷川俊太郎さんの詩集ですね。
    2013年、岩波書店からの発行です。
    未発表の作品を中心に、谷川さんの作品としては重厚な内容を、重たくならないように言葉を尽くして書かれた詩編だと思います。谷川文学・哲学を垣間見える作品を感じました。

         「DIRGE」

      一日だけでいい
      帰ってきておくれ
      朝日が夕日になるまでのあいだ
      帰ってきておくれ

      ほんとうのことは
      眼に見えず
      耳にも聞こえないほどの
      深い深いところにあるのだから

      帰ってきておくれ
      あの日の姿のまま
      気持ちだけで待っているから

      山々に草木は融けて
      言葉は風に散ってゆく
      永遠も無限も私は要らない
      一日だけでいい
      帰ってきておくれ

         「河原の小石」

      私は昨日河音を聞いていました
      さらさらさらさら
      私は今日河音を聞いています
      さらさらさらさら
      私は明日も河音を聞くでしょう
      さらさらさらさら
      何万年も同じ音を聞いているのは
      さぞ退屈だろうと人は言いますけど
      そんなことはありませんよ
      小石の私は毎日世界を感じています
      それを言葉で表現しないだけです
      何故って私には言葉がないから
      私はいつもただここにいるだけ
      静かに何一つ表現せずに
      何か聞こえても言葉になりません
      何か見えても言葉になりません 
      ここに連ねられる言葉は
      誰かさんが沈黙を恐れるあまり
      私の無言を翻訳しているだけの話
      あ 私の上に紋白蝶がとまった
      かすかだけど重みがあります
      この蝶も河音を聞いています 
      石と蝶のあいだには絆が
      だから存在するだけで良いのです
      黙って存在するだけで世界は満ちる
      人間がいてもいなくても
      さらさらさらさら

         「ミライノコドモ」

      キョウハキノウノミライダヨ
      アシタハキョウミルユメナンダ
      ダレカガアオゾラヤクソクシテル
      ミドリノノハラモヤクソクシテル
            *
      ミライノコドモハ
      オトウサンヲシカッテル
      ミライノコドモハ
      オカアサンヲアヤシテル
      マチヲコエテ
      ハタケヲコエテ
      ミズウミヲコエテ
      チヘイセンノムコウカラ
      ミライノコドモハスキップシテキタ
      
      ナニガスキ?
      ナニガキライ?
      ドコカラキタノ?
      ナサニヲキイテモ
      ミライノコドモハシズカニワラウダケ

      コカゲニスワッテミエナイモノヲミツメテイル
      ブランコニノッテキコエナイオトヲキイテイル
      ミライノコドモノアタマノウエヲ
      サヨナラトコンニチハガ
      チョウチョミタイニヒラヒラトンデル

     あとがきに「実は私自身は詩を美味しい不味いで判断していいと、かねてから考えているのだか。
     詩が好きな人は日本語のグルメだ。添加物の多い言葉は舌を鈍感にしてしまう。詩はとれたての新鮮な言葉をいのちとしているから、メディアに氾濫する言葉からのデトックスとして役立つかと思う。」
     未発表の詩には、新鮮味が溢れているのは、時間に制約されずに何度も吟味して生まれれるからですね。
     紹介した詩は誌面で発表されたものですので、気になる方は、是非読まれて下さい。
     「詩は、好き嫌いで判断しても良い」とも、語られています。とてもありがたい言葉ですね。
     じっくり味わいながら、楽しめる詩集でした。

  • 昨日と今日を比べての間違い探し

    …は、大変難しい。

    (夏と冬ならまだしも!)

    それでもほんとは、いくつもいくつもあるはずだ。

    私の目には何故映らないんだろう。
    どうして、探せないんだろうな。

    谷川さんの詩を読んでいると

    そうか、風景とは(時間とは)こんなふうに動くものなのか。
    と、その推移がはっきりとわかるような気がする。

    透明になって隠れていたものに、
    色を塗ってバラしてしまったような、面白い詩集。

  • なんか、全体的に、喪失感が貫かれているような。印象を受けました。コトバエラビとか、コトバリズムを極めたひとが紡ぐ詩っていうのは、あとがきに谷川さんが書かれているとおり、“詩はとれたての新鮮な言葉をいのちとしているから、メディアに氾濫する言葉からのデトックスとして役立つ”のかもしれない。でも、そういうのに頷く一方で、一遍の詩がずうっと人生に付きまとうこともあるし、人生観を変えてくれることだってあるかもしれないし、いろんな気づき、勇気を与えてくれる場合だってある。そういう意味では、刺さるほどの棘は、この1冊にはなかったかなあ、いまの私には。コトバも文も出会いだし、またいずれ、違う時期に読めば、胸に刺さることもあるかもしれない。「時の名前」とかは 音楽はないのに歌詞のようで ちょっと気になったな。 ○ ○○ ○○○ という区切りなんかも… 。最近の、 うちらゎズっ友 ゎら みたいなああいう日本語は、いずれ消える退化でしかないと思うけど、こういうコトバを極めてきた詩人の紡ぐ光景は、日本語の進化の可能性を感じるよね。まだ誰も組み合わせたことのない式を、見せられるかんじ。

  • 谷川俊太郎の唯一の失敗作は、TVマンガ「鉄腕アトム」の主題歌かな、、、

    岩波書店のPR
    「「明日の予定は分かるが 未来は思い描けない 先立つ者が残す眼に見えぬものを 嬰児は継いでくれるのだろうか」(「冥土の竹藪」)――だが「言葉は今も未来に向かおうとする」(「ルネ」)。第一詩集『二十億光年の孤独』から六十余年、休むことなく詩を書き続けてきた詩人の、未発表作品を中心に編んだ最新詩集。 」

  • 貸出状況はこちらから確認してください↓
    https://libopac.kamakura-u.ac.jp/webopac/BB00254846

  • 生々しい。
    ぬるりと動いている感情を素手で触っているような、触れていいのか迷うような、生々しさ。
    あとがきの「(詩は)メディアに氾濫する言葉からのデトックスとして役立つと思う」でホッとした。

  • ミライノコドモを読んでいると、いろんなことを考える。

    いまここ、いまから、未来がいまを導いて、未来が過去に見えてくる。

    未来というエネルギーがいまの自分をつくっていく。

  • 谷川俊太郎さんの詩は気持ちの中に飛び込んでくる感じがするから好きです。
    堅苦しくないけど、テーマはそうでもなくて重いものだったり。今回は恋愛モノではなかったな。そっちも好きなんだけど。

  • ちょっと暗めの詩が多いです。

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著者プロフィール

谷川 俊太郎(たにかわ・しゅんたろう):1931年生まれ。東京府豊多摩郡杉並町(現:東京都杉並区)出身。52年に第一詩集『二十億光年の孤独』でデビュー。『日々の地図』で読売文学賞、『よしなしうた』で現代詩花椿賞、『はだか』で野間児童文芸賞、『いちねんせい』で小学館文学賞、『女に』で丸山豊記念現代詩賞、『世間知ラズ』で萩原朔太郎賞、『トロムソコラージュ』で鮎川信夫賞、『詩に就いて』で三好達治賞等多数受賞。『六十二のソネット』『落首九十九』『うつむく青年』『ことばあそびうた』『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』『定義』『コカコーラ・レッスン』『minimal』『私』『虚空へ』など。2024年逝去(92歳)。

「2026年 『はだか 谷川俊太郎詩集 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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