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Amazon.co.jp ・本 (278ページ) / ISBN・EAN: 9784000249003
作品紹介・あらすじ
酒、お茶にコーヒー、煙草、処方薬や市販薬……私たちはアルコールをはじめ、様々な「薬物」とともに生きている。なぜ人は薬物を求めるのか。乱用に至る人々の背後にある苦しみや生きづらさとは。精神科医で依存症研究の第一人者が、身近にある薬物の歴史や私たちの暮らしとの関わりを語る。好評ウェブ連載、待望の書籍化!
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この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
身近な薬物についての深い考察が展開される本書は、アルコールやカフェイン、タバコといった身近な存在の歴史や背景を掘り下げ、依存症のメカニズムを理解する手助けをします。著者は精神科医としての視点から、薬物...
感想・レビュー・書評
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身近な薬物(特にアルコール、カフェイン、タバコ)について、歴史と背景を掘り下げる本。精神科の依存症をよく診ている先生。
『薬物には「よい薬」も「悪い薬」もなく、あるのは「よい使い方」と「悪い使い方」だけなのです。そして忘れてはならないのは、「悪い使い方」をする人は何らかの困りごとを抱えている、ということです。』
カフェインは5-7時間後でも体内に半分は残っているとのこと。私は午後にコーヒーを飲むと夜になかなか寝つけなくなる。まだカフェインが効いてるのね。 -
図書館でタイトルに惹かれて借りた、読了。
自身の体験として「人は何かに依存する」と思っていて、それはアルコールだったりタバコだったり、砂糖だったりあるいは塩分、油脂分だったりと考えていたが、この本で取り上げられるのは、ビックスリーと呼ばれる「アルコール、タバコ、カフェイン」とリトルスリーと呼ばれる「アヘン、大麻、コカ」など。
それから市販薬の濫用についてなど。
私自身はタバコとカフェインへの依存があり、アルコールは摂取しない。違法薬物も勿論摂取していない。
甘いものは好きではなく、塩辛いものも好きではない。油脂は比較的好きな方だ。
嗜好品あるいは薬物が合法的か違法かの線引きは医学的ではなく政治的なものである、という文章が印象に残った。
それから薬物依存には過酷な労働環境とか精神的な苦しみを紛らせるという側面があるということについて言及されていたのが印象的だった。 -
精神科医の著者による、ビッグスリー(アルコール、カフェイン、タバコ)を中心とした身近な薬物を臨床的立場から考察している一冊。
薬物依存が広がる仕組みの解説から始まり、ストロング系チューハイの凄まじさを皮切りにアルコールについて、歴史は浅くとも浸透したカフェインについて、ODなどの社会的課題を抱える市販薬について、撲滅されつつあるタバコについて、良い薬物と悪い薬物について…が語られています。
それぞれの章が独立して光る内容ですが、当事者として語られているタバコについては更に重みが加わります。
読者が読み進めるとともになんとなく思い描いていた答え、薬物に良し悪しはなく使われ方次第であるという結論に導かれます。
薬物の合法か違法かは、医学的にではなく政治的に決定されるのです。 -
副題の「タバコ・カフェイン・酒・くすり」を俎上に載せて、それぞれの歴史といまをまとめて扱った一冊。
単純に読み物としても楽しめるが、依存症の専門家ならではの卓見が随所にあり、面白いだけの本に終わっていない。
松本俊彦は、自ら監訳したカール・エリック・フィッシャーの『依存症と人類』を読んだとき、次のような感想を抱いたという。
《一口でいうと、それは「やられた!」であった。告白すると、僭越ながら私はかねてより「こんな感じの本」を書きたいと願っていたのだった》(同書の「解題」より)
本書は、著者にとっての『依存症と人類』を著す試みだったのだろう。
本書は岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」に連載されたもの。刊行後のいまも、一部の回はWEBで読むことができる。
私は断酒モチベ持続のため、アルコール依存症関連書籍を時々読むようにしている。いわば“自分自身に向けての理論武装”である。
本書もまさにそのために読んだのだが、とくにこの回(↓)は断酒者必読だ。
https://tanemaki.iwanami.co.jp/posts/7782
トー横キッズ、グリ下キッズがテレビで取り上げられるとき、女の子がストロング系缶チューハイにストローをさして飲んでいる姿がよく映る(ヘタしたら未成年)。
《SNSの世界とは打って変わって、私が臨床現場で遭遇するストロング系愛飲患者は、なぜか若い女性が多いのです》という本書の指摘は重要だ。 -
タバコ・カフェイン・酒と、市販薬・処方薬という「身近」で「合法」な薬物の紹介。前三者についてはその歴史も含めてだ。「身近」で「合法」か否かは紙一重、という点を本書全体を通じて感じる。共に異教徒の風習とされ欧州の宗教界で嫌われてもコーヒーは教皇が気に入り認められ、タバコはそうでなかったり。合法的に処方薬を出す精神科医が救急医から敵視されたり。
最後に著者は、本書の結論を3点挙げる。薬物の違法/合法は医学的にではなく政治的に決定される。「良い薬物」も「悪い薬物」もなく、あるのは「よい使い方」と「悪い使い方」だけ。「悪い使い方」をする人は別に何か困りごとを抱えている。 -
薬物規制は、科学的な根拠だけでなく、文化や政治、社会的要因にも左右されているという指摘に考えさせられました。
本書では、科学的に有害とされる物質が合法である一方、安全性の高いものが規制対象になっている例が紹介されていました。
精神に影響を及ぼす薬物の扱いについて、科学的知見に基づいた制度設計が望ましいと感じました。
意図しない不利益を避けるためにも、より整合性のある仕組みが求められて欲しいと思いました。
また、制度設計に関わる政治家や専門家が、こうした問題に十分に向き合えていない印象も受けました。
本書は、薬物政策を多角的に見直すきっかけになると思うので、薬物に関する基本知識のないかたにはお勧めしたい一冊です。 -
1.薬物の違法/合法は医学的にではなく、政治的に決定される。
2.「良い薬物」も「悪い薬物」もなく、あるのは「良い使い方」と「悪い使い方」だけ。
3.「悪い使い方」をする人は何か別の困りごとを抱えている
薬物治療の臨床医が、歴史学や社会学を紐解き、なぜ薬物への依存が起き、規制に失敗し、違法合法の線引きをしてきたのかを明らかにしている。
また、筆者は厚生労働省とドラッグストアチェーンの癒着を疑っている。さらに、市販薬にカフェインが含まれているのは、使用者にまた使ってもらえるようにするため、という少し確度の低い考察をしている。
薬物摂取も、食欲も性欲も、実行する前が一番快感物質が出ているように思う。アルコールも、飲む前が一番楽しくて、飲んでみると何が楽しいのだろうと思う。カフェインなどアッパー系のドラッグは別かもしれませんが。 -
タイトルの身近な薬物。それはアルコール、カフェイン、ニコチン。カフェイン以外は年齢や広告の規制はあるものの社会で認められてきた。
同じ薬物でもオピオイドや大麻、コカインは厳しい規制の対象になっている。一方で処方薬や店頭で購入することが政策的に進められてきた市販薬にも恐ろしいほどの依存症があるという。
医学的に薬物の合法・非合法の根拠はなく、良い薬物・悪い薬物もない。大切なのは使い方だと著者は繰り返し説く。
また禁止するだけではなく使わざるを得なかった人への社会的な支援をしなければ解決にはならないのだと。
薬物依存の方に同情する気には安易になれないが、自分だってアルコールとカフェインがなければ悲しい。
大切なメッセージだと思う。 -
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依存症の専門医による薬物の依存性と歴史の話。初めて知る話が多く面白かった。
ユーラシア大陸にはアルコールと茶、アフリカ大陸にはコーヒー、アメリカ大陸にはタバコ、人類は薬物とともに生きてきた。
本書の主張は以下の3点に集約される。
・薬物の違法/合法は医学的にではなく、政治的に決定される
アルコールが合法で大麻が違法なのは薬学的ではなく政治的な理由による。
・「よい薬物」も「悪い薬物」もなく、あるのは「よい使い方」と「悪い使い方」だけ
所謂「よい薬」であるはずの処方薬や市販薬も使い方次第でさまざまな健康被害を引き起こす危険性がある。
・「悪い使い方」をする人は何か別に困りごとを抱えている
労働環境や家庭環境や戦争など過酷な状況に置かれている人がそれを耐えるために薬物に頼っているケースが少なくない。
「人類に最も大きな健康被害をもたらしている薬物のビッグスリー」はアルコール、タバコ、カフェイン。ビッグスリーほどの深刻な問題をもたらしていないにも関わらず厳しい規制の対象とされてきたリトルスリーがアヘン(オピオイド類)、大麻、コカ。本書を読むと大麻の規制はめちゃくちゃ政治的な理由で呆れる。大麻よりアルコールの方が有害な薬物なのに(「あらゆる違法な薬物をしのいで、「最悪の薬物」」)合法なのは政治的、社会的理由による。
アルコールにせよ、カフェインにせよ、タバコにせよ、歴史上幾度も施政者が規制しようとして失敗してきたのには理由がある。大勢で集まって酒やコーヒーを飲み、タバコを吸うことは「同士や部族の結束を固く」する。人は社会的動物、互いにつながろうとする。そのよい触媒となる薬物を規制しようとするならば猛烈な反発を招くのは必然で、施政者の失脚にもつながりかねない。また規制したところで人々は別の、場合によってはより危険な薬物で代用しようとするため効果が薄い。
最終章で紹介される幻覚成分シロシビンによるうつ病治療の研究が進んでいるという報告は「よい薬物/悪い薬物」の区別がいかに的外れかを示す。シロシビンには人為的にマインドフルネス状態を作り出し、人間の意識を改変する効能がある。すでにオーストラリアでは治療薬として承認されているという。
自分は酒は月に二三杯、タバコはやめて8年。摂取するとだるくなる、吸える環境が減る一方、金がもったいないなどの理由から、今後の人生でこの二つの薬物と深く付き合うことはもうないと思っている。カフェインだけは別で、寝起きに飲まないと頭が回らない。ルイボスティーに変えて断とうとしてみたがぼーっとしてしまいつらかった。本書を読むと長生き効果や心臓疾患への罹患リスクを減少させるなど養生効果があるみたいなのでやめなくていいのかなと。うまく付き合っていきたい。 -
【目次】
1.本当に有害な薬物とは?
2.アルコール(1)ストロング系チューハイというモンスタードリンク
3.アルコール(2)人類とアルコールとの戦い
4.アルコール(3)人間はなぜ酒を飲むのか?
5.カフェイン(1)毒にして養生薬、そして媚薬
6.カフェイン(2)人類とカフェインの歴史
7.市販薬 セルフメディケーションは国民の健康を増進したか?
8.処方薬 医療へのアクセス向上が作り出す依存症
9.タバコ(1)二大陸をつないだ異教徒の神器
10.タバコ(2)社会を分断するドープ・スティック
11.「よい薬物」と「悪い薬物」は何が違うのか? -
読みやすい薬物と人間の社会史、みたいな本です。
この読みやすさで、薬物と人間の関係がその有害性でなく社会が規定しているという大きな話がまとまっていることに価値を感じました。 -
タイトルだけ読んで、毒物の雑学本かなあと思って手に取り読んだら違った。後になってサブタイトルに気づいて、なるほどと納得した。
薬物に良い悪いはなく、あるのは良い使い方悪い使い方だという論が展開している。著者が喫煙者と言うこともありタバコに関してやや擁護的なのが、なんか人間ってしょうがねえなあなどと感じた。幼少期に喫煙者の父のタバコ臭とだらしない汚しように嫌な経験をしているから、タバコ擁護者には良い感情がないからこの項目には賛同出来なかったが、他の項目はかなり興味深く面白かった。
著者は精神科医なため、薬物そのものの歴史については正確だと思うが、歴史的社会背景については推測の語が多いように感じられた。 -
ビックスリーと称されるアルコール、カフェイン、タバコについて効果や危険性、歴史が学べた。タバコ編は未読。
世に蔓延しているこれらは依存性を強力な武器に世に蔓延している。自制心がなければ手に出さない方が良いだろう。
薬物の違法性に関しては体への影響はあまり関係なく世間の多数派が支持しているかどうかで決まるのは驚いた。大資本の製薬会社が出している薬にも依存性はあるしビジネスである以上常用してもらう事が前提として作られている事は否定できない。リテラシーを持って身近な薬物と付き合っていきたい。 -
おもしろかった!身近な薬物を中心に医学、歴史、社会構造などの観点から紐解かれていき多角的に捉えられて良かった。自分にとっては普段好んで摂取しているカフェインについて、歴史的に見るとアウシュヴィッツでの毒殺やアヘン戦争でも関わっていたことに衝撃を受けた。
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非常に面白かった。多くの人に読んでほしい。
「薬物の違法/合法は医学的にではなく政治的に決定される」「良い薬物と悪い薬物があるのではなく、良い使い方と悪い使い方があるだけ」「悪い使い方をしている人には、何かしらそうさせる困りごとを抱えていると考えるのが大事」
この考え方は依存症に関連して広く言えることなのだと思う。自己責任と意志の強さみたいなものでどうにもならないことが、アルコールや薬物と人類の関わりの歴史を振り返ることでよくわかる本であった。 -
カフェイン、酒、市販薬など身近な物の事実や歴史を知って驚いた。松本先生ならではの専門的でありながら、とても読みやすく、考えさせられる本。自分とは無縁と思わずに広く読まれるべき本だと思う。
先生が伝える次のことは覚えておきたい。
』「よい薬物」も「悪い薬物」もなく、あるのは「よい使い方」と「悪い使い方」だけ。そして「悪い使い方」をする人は何か別に困りごとを抱えている』 -
人は追い詰められて限界の域に達しようとする前に、タバコ、カフェイン、酒、くすり等に頼ることになる傾向が強い、
本著では、身近な薬物とは何かを問い、結論として日常の食品から薬からでも薬物はあるということを示し教えてくれている。同時に、追い詰められている人たちに対して社会が積極的に関わる必要性を主張している。
さて、本著では違法な薬物はもちろんNGとしつつ、生活の中での薬物という存在に焦点を当てている。子どもから大人まで口に入れるもので本著の言う薬物にお世話になっていない人はいないだろう。カフェインは色々な飲み物にも入っているし、本著では例に挙げられない程の膨大な数の薬物は存在しており、それらを全て排除するのは不可能で、本著もそれを良しとしいない。
本著では、日常での依存という薬物と、それらを選択する私やあなたへの心身状態が助けが必要なのではないかという問いも含まれている。本著において、個人を救済するよりも社会としてどう救済するかを主張しており、それ程、社会に心身状態が不調になっている構造を露にしている。
全世代に共通する病に向けて警鐘と助けと介入を必要とする内容の書であると言えよう。 -
吉本勝彦先生(徳島大学名誉教授)ご推薦
本書で最も心に刻まれたのは、コーヒー党である私にとってカフェインが強力な依存性薬物であることを再認識させられたことだ。
人類に最も大きな健康被害をもたらしている薬物は「アルコール、タバコ、カフェイン」がビッグスリーで、深刻な問題を惹起していないにもかかわらず、厳しい規制の対象薬物が「アヘン(オピオイド類)、大麻、コカ」のリトルスリーだ。また、若年層で増えている市販薬(パブロンゴールドやエスエスブロン錠、メジコン咳止め錠等)のオーバードーズ(過量服薬) が社会問題となっている現実がある。
アルコール度数が高くて安いストロング系チューハイはゴクゴク飲めて危険なこと、大麻規制のきっかけは禁酒法廃止に伴うアルコール捜査官の失業対策だったこと、市販薬には処方薬では使われなくなった依存性の強い成分が加えられていることなど、新たに得られる情報が満載だ。
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