物語 介護保険(下)――いのちの尊厳のための70のドラマ

著者 : 大熊由紀子
  • 岩波書店 (2010年8月7日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000253086

作品紹介

急速に進展する少子高齢化。にもかかわらず、日本型福祉の名のもとに、高齢者も障碍者も「家族で面倒を見るのが当然」とされてきたわが国では、様々な悲劇が繰りかえされてきた。そのあり方を抜本的に改め、介護の社会化への道を切り開くべく2000年に導入された介護保険制度はどのようにして誕生し、導入の過程においてはどのようなドラマが繰り広げられたのか。30年を超える綿密かつ広範な取材に基づき、図版と写真を豊富に駆使しながら、介護・介助の問題の諸相、日本の福祉が直面する現実を浮き彫りにし、日本人の生のあり方を問う。福祉と医療、現場と政策をつなぐ幅広いネットワークを構築し、実践的な問題提起を続けてきた著者ならではの労作。これからの日本をどのように構築するのかを考える上で必読の書。

物語 介護保険(下)――いのちの尊厳のための70のドラマの感想・レビュー・書評

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  • 介護保険制度成立までの流れ(ストーリー)を70項にまとめ仕立て上げたもの。すでて現実にあったことなのだけど、書名に「物語」と銘打つだけのことはあるもので、非常に読み応えがあり、胸が熱くなるストーリーが連なる。中央省庁のお役人の動き、市民の動き、地方行政担当者の動き、介護の現場の人々の動き、議員の動き……こういったそれぞれの動きが混然一体となって介護保険制度に結実していった様が描かれている。そこにはそれぞれに志ある人々がいて、長い苦労と熱い熱意の末に今の制度ができたことが伝わってくる。そして、介護にまつわる問題を追い続け、様々な関係者とのネットワークを築き上げていた著者でなければ、この一本筋の通った読み応えのある物語は書けなかっただろう。
    いろいろと問題も多い介護保険制度だけど、読んでみれば決して様々な利害関係者を考慮して折衷案としてまとまったものではなく、すくなくともそれ以上の一つ方向に向かおうとする思いのもとにあるのだと感じた。
    医師でもあり、国会議員でもあった今井澄さんは、最晩年にこんなふうに言ったという。
    「介護保険に色々問題があるのは確かだし、これですべての問題が解決するわけではない。けれど、この制度によって、日本の社会保障は、新たな次元の社会システムへと変革された。その本質的な変化を理解した上で、問題点を一つ一つ解決していけばいいんだ。日本の介護保険はドイツより格段に優れているのだから」
    金言だと思う。深く思考してよりよい介護保険をつくり、被保険者の人々が幸せだと思える一生を提供できるようにしなければいけない。

  • 【読書その107】大熊由紀子氏の著書「物語介護保険」の下巻。介護保険法案の成立に至るまでのドラマ、成立後の施行に至るまでのドラマ。この制度には色々な人々の魂がこもっている。

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