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Amazon.co.jp ・本 (164ページ) / ISBN・EAN: 9784000253277
作品紹介・あらすじ
『秘密の花園』の主人公はなぜ憎たらしく描かれたのか。『赤毛のアン』の作者モンゴメリは、グリン・ゲイブルスという場所に何を託したのか。児童文学の名作を読み解き、いぬいとみこ、石井桃子、村岡花子、ビアトリクス・ポターら先人たちの仕事の核心に迫っていく。物語の名手による初の児童文学エッセイ集。
みんなの感想まとめ
児童文学の名作を新たな視点から読み解くエッセイ集で、著者の深い洞察と熱い想いが感じられます。『秘密の花園』や『赤毛のアン』など、懐かしい作品が取り上げられ、著者自身の経験や感情を交えた解説が展開されま...
感想・レビュー・書評
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作家の梨木香歩さんが、影響を受けた児童文学やその著者について解説した文章を集めた本。第一部がバーネット『秘密の花園』を解説した「秘密の花園ノート」で、第二部は『木かげの家の小人たち』(いぬいとみこ)、『赤毛のアン』(モンゴメリ)、『リンバロストの乙女』(ジーン・ストラトン・ポーター)、『不思議の国のアリス』(ルイス・キャロル)、作家として、石井桃子、ビアトリクス・ポターが取り上げられている。
『秘密の花園』は今年読んだばかりだったので、「秘密の花園ノート」は特に興味深く、物語の理解が深まったところが多くあった。
例えば、物語に出てくるたくさんの動物は、それぞれある象徴として描かれているという。自然や動植物に造詣の深い梨木さんらしい解説で、その情報を踏まえて再読したくなった。
また、私は物語がラストに向かうにつれ、主役がメアリからメアリの従弟のコリンへと動き、終盤はメアリにほとんど言及されないことに釈然としない気持ちがあったのだが、梨木さんは、主人公をメアリでなく「家の抱える悲しみ」であると考えればそれも自然であるという。つまり、屋敷(庭)で最愛の妻を亡くしたクレイブン氏、病弱で屋敷に閉じこもらざるを得なかったコリン、これら屋敷を取り巻く「悲しみ」が、屋敷の外から来たメアリ(彼女も自然の中で見事に「再生」する)、豊かな自然にはぐくまれたディコンやその家族、コリンの生きようとする力、自然そのものの力によって再生していく、ということがストーリーの核であり、物語の後半からコリンに生きる力を取り戻させたメアリは、役割をある程度終えたという解釈なのだ。なるほど、と目から鱗が落ちた。
その他に興味深かったのは『リンバロストの乙女』の解説。「けなげな主人公が無慈悲な母親の理不尽な仕打ちに耐え続け、しかも自活の道を探ることにも前向き、最後は魅力的な「王子様」と結ばれハッピーエンディング」という一見ヴィクトリア時代の「正統派家庭小説」らしいのだが、本書では、実の娘をいじめてしまう母親に注目し、当時流行していた自然を愛するナチュラリストの視点で小説が書かれていることを指摘している。
この物語は、以前読んだ『シンデレラはどこへ行ったのか』という少女小説論でも取り上げられており、読んでみたいなと思っていた。これを機会に読んでみたい。
やや内容が難しいものもあるが、自分にはない新たな視点で物語の世界を楽しめる、児童文学好きにはおすすめの本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
梨木香歩さんがこれまでに各所で書かれてきた児童文学関係の書評や解説を一冊にまとめたもの。
梨木さんの深い洞察に、児童文学に対する熱い想いが伝わってくる。
表紙の女の子の暗く可愛げのなさにドキッとするが、『秘密の花園』ノートを読んで納得。
改めて見直すと、その表情から複雑な心情が溢れていることに気づく。
取り上げられている児童文学はどれも子どもの頃からの好きなお話ばかりで懐かしく、また手に取りたくなる。
きっと新たな発見があるだろう。 -
いぬいとみこ、石井桃子、村岡花子、ビアトリクス・ポターに『秘密の花園』『赤毛のアン』ですって!
物語のものがたり - 岩波書店
https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b559572.html -
解説と書評で児童文学を深く語る、エッセイなど。
I 『秘密の花園』ノート・・・岩波ブックレットに収められた作品。
『秘密の花園』の世界へ誘う、案内書的な内容。
II 物語の場所・・・アリエッティ、木かげの家の小人たち、
石井桃子、赤毛のアン、リンバロストの乙女、アリス、
ビアトリクス・ポター等を語るエッセイ的な解説&書評。
座談会 物語をめぐって(鶴見俊輔・別役実・梨木香歩)
初出一覧有り。
梨木さんならではの、児童文学作品の解説と深い読み方を
紐解いて、披露してくれるエッセイと大御所たちとの座談会。
いぬいとみこやモンゴメリの作品に込められた、想い。
石井桃子や村岡花子の翻訳で作品を紹介したい、想い。
理想や憧れを込めた登場人物たち。
自然に導かれ、扉を開き、母なる青空に包まれて、
生きる喜びを教えられた、メアリとコリン。
深い考察の中に、作家としての鋭い視線も感じます。
そして『秘密の花園』ノートにある一文、
「百人の読み手が居れば、百の主人公が居る。
すなわち、百の読み方と受け取り方がある」は、
凡庸なる読者の私に、勇気を与えてくれました。
本と読書を楽しむために。 -
「秘密の花園」もう一度読んでみたいと思った
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本書に収録されている「秘密の花園ノート」を昔興味深く読んだ思い出がある。児童文学に親しんだ梨木さんの言葉で名作を新しい視点で見ることができる。
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梨木さんの紡ぐ言葉は、ひたひたと心に沁みこんでくる。なんだか情報がたくさん飛び交いすぎている今、「想像力」の持つ力について、考える。映像と違い、流れる時間がゆっくりなのだ。自分の中で時にぱっと、時にじわじわと想う時間がある。最後の対談で出てきた「気配」という言葉もしっくりくる。
最後に「自分は何に惹かれ、没頭し、どう感銘を受けてきたのか、書いてあるのは、実はそれだけである。」と書かれているけれど、その「それだけ」が今、とても尊い。現代に生きる私たちは、損得や実効性抜きに、どれだけ没頭できるものを持っている人がいるだろうか。どれだけ、その没頭できるものがあることの豊かさを共有できているだろうか。
大好きな「赤毛のアン」「ピーターラビット」「秘密の花園」をもう一度ゆっくり読み返してみたくなった。 -
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★★★
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梨木さんの児童文学をめぐるあれこれなエッセイをまとめた一冊。
正直ここまで深く考えて読んだことないですわーーー。
秘密の花園の解釈が大変興味深かった。
あれ、読んだことあったはずだが、メアリのインド時代、そんな精神虐待的だったっけ?
うーん、覚えてない。
まあ、読み方は読む人それぞれにあっていい、というし。
でも梨木さんの解釈を意識しつつ読んでみるのも面白そう、とおもった。
赤毛のアンは、今ネットフリックスで孤児院時代の心の傷とかもふまえつつなドラマを観てるんだが、
こんにちは、アン、はそっち風味なのかな。
これはこれで面白いし、納得がいくんだが、
その納得がいく、というのが、アン
という存在が一番リアリティがないという言葉につながった。
小学生の時に全巻買ってもらったときの嬉しさは忘れられないが、ずっと大好きだったことの奥にそのリアリティのなさが関わっていたのかも、と目がうろこ。
いやあ、興味深い。
床下の小人はミルクを運ぶ
とゆーのだけはめっちゃ覚えている。
が結構厳しい子供時代な話だったんだなあ、っと改めて。
これもまた、小学生の時に読んで好きだった覚えがあるんだが、また読んでみたいなあ。 -
「あの物語はこうだったっけ?」「この物語は読んでいないなぁ」と、あれこれ思いながら楽しく読了(^^)♪そして登場した物語、全てを読みたくなる( ≧∀≦)あと「昔話の深層」も久しぶりに読みたいなぁ
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梨木さんの、ものの見方が好きなのだけど、本の内容紹介でもそれは良い方向に効いていた。
実は「秘密の花園」未読な私。ここまで面白そうな話とは知らなかった。
梨木さんの解説を読んで、読みたくなった。 -
そうです。最も大切なことは、こんなにもデリケートで、秘密裡に粛々と進行するのです。この場合、秘密、ということは、排他的であるということではなく、デリカシーを要する命の法則が、十全に働くための「術」を張り巡らすのに必要なことなのです。
(P.50) -
児童文学の解説のようなもの(エッセイ?)でした。
なるほど、時代や文化などを背景に読めば、より理解できる読み方ができるだろう。
読んでないものは読みたく、読んだものはまた読みたくなる。 -
「秘密の花園」や「赤毛のアン」「木かげの家の小人たち」「床下の小人たち」「ピーターラビット」「不思議の国アリス」等の児童文学についてのエッセイ。エッセイと言ってもその考察はものすごく深い。梨木さんがその物語の背景や舞台などを絡めつつ、表面的に読んでいては気づかない物語の深層部分を示してくれる。これだけの知識と感性で読み込めるのは梨木さんだから。それでももう一度自分も読み返して物語の深みにはまりたくなる。きっとまた違った何かが生まれるはず。鶴見さんらとの鼎談も印象深い。この世界、河合さんと鶴見さんの影響力は大きいのだなと思う。懐の深さ。
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少女時代に児童文学と深く触れ合ってこなかったが、本書で、梨木さん節で語られる物語の表面だけではない魅力に興味が湧いてきた。過去のエッセイを児童文学に絞ってまとめたのが面白い。幼少期にもっと『秘密の花園』や『赤毛のアン』を読んでいたら違う自分が形成されていたかな。
著者プロフィール
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