やっぱり悲劇だった 「わからない」演劇へのオマージュ

  • 岩波書店 (2019年3月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (210ページ) / ISBN・EAN: 9784000253581

作品紹介・あらすじ

知らない、わからない、考えない、どーでもいい、関係ない。こうして喜劇は日常に満ちている。だから、あなたのそばには演劇が! 心ないわかりやすいフレーズ、時間で成立する熟議、中身のない丁寧な説明……舞台はあそこでも、ここでも。参加してみよう、わっしょい! まず、「ぜんっぜんわからねー」と叫ぶことから。

感想・レビュー・書評

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  • 完全なるタイトル買い。
    だから、どんな内容かは一切知らない状態で購入した。
    これは珍しいことで、だいたい、タイトルで惹かれても、どんなジャンルかくらいは見て買う

    悲劇だった、ではだめだ
    やっぱり悲劇だ でもあんまり。
    「やっぱり」悲劇「だった」
    からひどく惹かれた。
    (かっこつけたくてこんなこといっているけれど、仮題だったとしても惹かれたかも)

    演劇家さんの、、演劇論?というのか。
    お恥ずかしながら、実は、演劇を見たことがない。
    なので”喜劇”が滑稽な(笑いのある)舞台だと思っていた。
    作中で演目が悲劇か喜劇かどちらに分類されるのかをすごい熱量で悩んでいらっしゃるので、ものすごく近しいものなんだ!と理解した。

    演劇論と評してしまったが、ところどころ、わたしたち(観客)に寄り添ってくれる。

    P89:(略)戯曲とは、古今東西、たいていは読みにくい。
    え、はっきりいってくれるんだ!

    むかしむかしの中学生のころ、格好をつけてハムレットに挑戦したことがある。
    わたしは本を読む方だったが、それでも数ページで挫折した。
    きっと今読んでもそうだろう。

    演出家さんのお仕事内容もこのほんでなんとなく理解したが、噛み砕けるまで、納得できるまで、何度も何度も演目を読んで、苦悩して、劇におとしこむその熱量!
    ぞわぞわする。


  • >ものを考えたり、知識を得ることに努力を払わない人に限って『わかる』ことを欲するものだから、『わからない』ことは性質の悪いコンプレックスを生み出す。

    分かるための補助線を引いているようで引いてくれない演出論。演出の立場から、そしてそれは第一の観客でもある、自身の演劇制作について語る。
    私にとっての演劇とは、それを力強く語り、言葉の重みが強い。三浦は今時珍しい劇作を行わない演出家だが、演出家は言葉は持たないという考えと矛盾しているのでは突っ込みたくなる程の筆力がある。
    東日本大震災の日の記述も良い

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著者プロフィール

演出家。劇団「地点」代表。1973年生まれ。1999年より文化庁派遣芸術家在外研修員としてパリに滞在する。2001年帰国、地点の活動を本格化。2005年、京都へ拠点を移す。主な作品にチェーホフ作『桜の園』『三人姉妹』、イェリネク作『光のない。』『スポーツ劇』など。2013年、京都にアトリエ「アンダースロー」を開場。著書に『おもしろければOK か?現代演劇考』。2017年、読売演劇大賞選考委員特別賞受賞。

「2017年 『地下室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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