(原著は"Black Mass : Apocalyptic Religion and the Death pf Utopia"2008年)著者のジョン・グレイは、イギリスの政治哲学者であり、現在はロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの名誉教授です。
キリスト教の、「啓蒙思想」と「ユートピア思想」 と「黙示録的な終末思想」が、政治の場にて現れており、ジャコバン派・共産主義・ボルシェビキ・ナチスヒトラー・ブッシュJr.の新保守主義・イスラム原理主義もこの系譜なのだと、ジョン・グレイは主張します。
非宗教的な「科学」や、宗教と決別した「哲学」のふりをした、中世キリスト教思想が、現代世界政治にも影響を及ぼしているという話です。
【メモ 】
・共産主義(歴史的唯物論)もナチズム(科学的人種主義)も、普遍的な民主主義も、グローバルな自由市場という新保守主義も、ユートピアを信じる神話である。
これらは、最古の時代にまで遡る黙示録的信念の最新バージョンである。
・終末信仰は、イエス以降のキリスト教に特徴的な信仰である。仏教・ヒンドゥー教・旧約聖書・イエス以前の西欧哲学にはない概念である。
・共産主義もナチズムも啓蒙イデオロギーを利用している。
・イスラム過激派も近代西欧哲学の産物である。
・啓蒙主義は、ソ連崩壊後、イギリスの新自由主義・アメリカの新保守主義としてむしろ力を強めている。
・ブレアとブッシュは、政治を神の使命という形で実践した。
・新保守主義は左翼を起源とするイデオロギーである。新保守主義は、キリスト教右派とともに、自由主義(リベラル)な意見の立場とも協力できる。
・イラクは、新しい世紀におけるはじめてのユートピア的な実験の場だった。