- 本 ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000254311
作品紹介・あらすじ
人類は定住する以前には移動しながら生きてきた。その長い営みの中から遊牧という文化は生まれてきた。にもかかわらず、人類の歴史において遊牧文化はどこか傍流として位置付けられてきた。遊牧民の生活様式そのものを凝視する著者の研究は、遊牧の起源と、その生態の隠れた体系性を明らかにし、人類史的な意味を考察する。
感想・レビュー・書評
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ふむ
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トルコ系の一つのムラの体験記。細かく放牧の仕方はあるんだけど生活の様子がわからない。何食べてるとか、それをどのように入手してるとか。
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遺跡を遺さず歴史も記さなかったがゆえに、農耕民のカウンターパートにおかれがちな遊牧民だが、農耕民同様、地球上での現生人類の発展に欠かせない存在だったし、その影響力はしばしば彼らを圧倒さえしてきた。遊牧の起源が、群れて暮らす動物に合わせて始まったとする推定は説得力があり、頻繁に使われる「共生」という言葉は、ヒトを動物の一種として捉える点を踏まえ、自然な形態の象徴に思えた。群生する動物を狩猟の対象でなく共生の対象としたのは、生きる為のコスト低下の観点から大きな発見だったように感じる。定住しない生活様式は、働き場所を固定する価値が漸減する今日、見直される向きもあり、遊牧と農耕が持つ特徴の対比が、現代にも適用し得るのは面白い。著者のフィールドワークを通じた、遊牧生活の実態の説明は精緻で、本書のメインの読みどころ。タイトル通り遊牧の人類史(歴史)を考察する一冊ではあるが、実証と論考に裏付けされた内容は、むしろ科学分野の本と言っても良いかもしれない。
著者プロフィール
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