- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000254540
作品紹介・あらすじ
読むこと・聴くことは、人間の精神活動の基本です。高度情報社会のいま、パソコンやインターネットによってそれはきわめて簡単になりましたが、どれだけ人間の生き方や社会のあり方に関わる深い体験になっているでしょうか。本書は臨床心理、ノンフィクション、詩という分野で活動を続けてこられた三人が、現代におけるその意味を問い直そうとするものです。読むこと・聴くことが、人間が生きることに深く関わっていくためには-三人のお話をおききください。
感想・レビュー・書評
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「読む」「聴く」ということは、もっと多彩で多様であり、われわれの人生に豊かさと深さを与えてくれる。
素敵なフレーズが10箇所以上あったが、中でも一番↑これが好き詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読むこと、聴くこと。
とっても有名な先生たちの本。
シンポジウムの様子も楽しめる貴重な一冊でした。
河合先生ー自然に反応する
立花先生ー垂れ流しさせたあとの残ったものの中に価値がある
谷川先生ー無為の力、脳に任せる -
「読む 聴く」の大切さ。生涯何冊本を読めるか。言葉のほかにも。
河合隼雄・・・読むこと、聴くこと、生きること
立花隆・・・人間の未来と読むこと、聴くこと
谷川俊太郎・・・小アンソロジー -
2005年、小樽のセミナー。立花氏いわく、「生涯何冊本を読めるか」、確かにそのとおり。読むこと、聴くことに関して三氏の考え方の提示。
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立花隆のことは全然好きではない。でもIO比の話は納得。ただわたしはこういうことを、IO比という言葉で表してしまう感性があまり好きではない。
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「読むこと」「聴くこと」をテーマに、カウンセラー、ジャーナリスト、詩人の3者がディスカッション形式でまとめられている。面白いのが、立場のちがう3人の「読むこと」「聴くこと」に関しての観点である。
カウンセラーである河合氏は、『話さば聴け、話さなくとも聴け』というように、徹底的に体を使って聴くことを基本とする。相手を「よむ」際、「こうしなさい」ではなく、ぼんやりと自分を入れて考え、その可能性に注目することが大切である。
ジャーナリストの立花氏の「聴く」は、相手の意見や考えを引き出すために、根堀り葉堀り聴くことである。IO比(インプットとアウトプットの比率)を考え、インプットが多いほど、著書としてよいものができるとしている。そして、脳科学の観点より、「聴くこと」の本質は、結局「わかる」ということであると説明している。
詩人の谷川氏の観点もおもしろい。詩を書く際、書物からインプットして書くことは、詩の世界では下劣とされている。言葉にならない、無意識の混沌のようなものをインプットし、それを言語としてアウトプットするのが詩であると考えている。
議論は昨今のインターネットの状況にもふれている。情報過多の世界において、個人の頭脳はそこにあるが、体がそこには存在しないことに危惧している。インターネット上にある、情報や知識を
個人の頭脳ですべて消化することは不可能である。そこは「出会い」として割り切ることが大切だが、それよりも大切なのは、その情報や知識のベースとなる、個人の知恵である。多種多様な情報や知識に振り回されないためには、個人の経験や体験に基づいた知恵が必要となってくる。そのため、「読む」「聴く」は人間にとって欠かすことができない。「読む力」「聴く力」は、どんな社会においても、その背景の「生きること」につながっているのである。
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図書館でふと目にして手に取った。
心理学の河合先生、ノンフィクション作家の立花隆氏、詩人の谷川俊太郎氏、何という面白い取り合わせだろう!
そこここに散らばる数々の宝石のような言葉!
河合先生の「カウンセラーは研究者と芸術家と勝負師が三つあって初めていい。」という言葉は、私が抱えていた課題の大ヒントでした。
研究者であり続けることはあたりまえ。
勝負師!?うぅ~ん、深いなぁ~。でも、わかるわかる。
芸術家!!!そうよ、この芸術家的センスが大事なんだわ!と。
この本はシリーズで「学ぶ力」「声の力」「絵本の力」「笑いの力」があるそう。
全部読んでみよう! -
「聴く」ということ
聴くというのはつまるところ、脳が聴くということである。フランス語で「聴く」という動詞はアンタンドル(entendre)というが、これにアンタンデュ(entendu)という過去分詞があり、日常的によく使われる。直訳するとアンタンデュは聞こえたか?ということになるが、これは「わかった?」という意味である。つまり「聴く」ということの本質は、情報の乗った音が物理的に聞こえるだけでなく、理解することである。つまり、脳でわかってはじめて「聴く」という動作が完了することになるのだ。「読む」ことも「聴く」ことも人間が生きるということにかなり密接に関わっているということが「わかる」だろう。 -
図書館より。
河合隼雄の作品





