読む力が未来をひらく――小学生への読書支援

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000254663

作品紹介・あらすじ

絵本から読み物への移行がむずかしいとよく言われます。小学生になって文字が読めるようになっても、自分で本を読めるようになるとは限らないのです。たくさん速く読むことよりも、大切なのは、しっかりとした物語をじっくり味わう体験。読書は子どもたちの「生きる力」を育ててくれます。どんな本を、どうやって届ければよいのか、理論と実践の両面から力強く語ります。『読む力は生きる力』以来の一連の著作の集大成。

感想・レビュー・書評

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  • どうすれば、良質な読み物を届けていけるのか、
    子供たちとの好みの狭間で試行錯誤していくしかないのかな。

    後半、小学校の現場での具体例がのっていて(教師、ボランティアの立場から)参考になりました。
    長めの物語を読み聞かせ、やってみたいなあ。

    しかしまあ、
    自分の力不足を正面から突きつけられましたね。
    久々に本が付箋だらけになりました。
    少しずつ、やれることからやっていこう。
    児童文学、読んでもらいたいもの。

  • やっぱり何か切っ掛けが無いと、本を手に取らないかもね。

    岩波書店のPR
    https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/9/0254660.html

  • 幼児対象の読書支援『子どもの育ちを支える絵本』、中学生対象の『自分を育てる読書のために』に続き、小学生への読書支援実践書の本作。なかで紹介されている作品は、これまでと変わらず。うーん…。
    大人の価値観の押し付けになってないといいけれど。
    昔書かれた良作だけで大人の側がオススメの本をマニュアル化して安心していないかしら?
    今書かれている本の現状と子ども達の『読みたい本』をどれだけ把握されているのか甚だ疑問になってきました。
    自然に囲まれた生活が素晴らしいとわかりながらも都会に住み続けるように、今この時代に生きる子ども達の読書欲をどう育てるか…上手く言えないんだけど、「本当にいい作品を大人が与えねば!」と頑張り過ぎて、逆に今を生きる子ども達の目線に立てていない部分もありそう。

  • 私たち学生はいつからかテストや受験を経験してきた中で、文章を「流し読み」や「拾い読み」する癖がついた。しかしながら、本当に大切なのは、内容に矛盾がなく、スッキリと解釈できるまで丁寧に読むことだ。小学生のうちからそのような読み方が必要であり、そうすることで思考力、想像力、記憶力といった「生きる力」が身に付くという理論と実践を踏まえて伝えてくれる一冊。(教育学部・国語専修)

  • 図書室で働き始めて驚いたのが子どもたちの本の返却の早さ。進学校で忙しいはずの子どもたちが一日で本を返す。ひどい時にはその日中に返す。ちゃんと読んでいるのか、じっくり物語を楽しんでいるのかが気になっていた。でもそれは大人の本の与え方に問題があるのかもしれない。書き言葉をしっかり読んでいく力はひとりでは育たない。自由にどうぞとなれば子どもたちはそりゃ人気や流行りの内容の薄っぺらいラクな本を手にする。そういう読書を続けていたら流し読みで大体の内容を理解してしまえばいいのだろう。一冊のその中の世界をじっくり楽しんで心の糧にするというよりも、娯楽をもっともっとと欲していき飽きたら本から離れていくというように。この本を読んで書き言葉を読むことや質の良い力のある本を読んでいくことが子どもたちにどんないい影響を与えるのかがよく分かったし、そういう本に導くには大人の支援が必要なことを痛感した。「小さいうちは絵本を読んであげて字が読めるようになったら自分で読ませる」ではなくて、長いお話も読んであげればいいんだな。読める子にはあらすじや内容を少し説明したり、読んであげたりして、力のある本を手渡してみればいいんだな。早速とっつきやすそうな『ドリトル先生航海記』を毎夜子どもに読んでみている。毎日「読んで」とせがまれる。いつもはゾロリやサバイバルを愛読している息子もちゃんと耳でお話を楽しめていることに改めて驚く。そう、子どもはちゃんと育っているし育っていく。信じてコツコツ手渡していこうと思う。







  • [墨田区図書館]

    「子どもを本好きにする10の秘訣」の中で、この著者の「説明+一部朗読」の読み聞かせの紹介がされていた。ある程度私自身実践してはきたが、それも基本は「長めの絵本」でのみだったのに、「ドリトル先生航海記」でも実施しているという紹介があったので読んでみることにした。

    ===========
    ■P.6 第1章 本を読むことで育つ力~なぜ物語か~
    楽しみながらプラス・アルファの効果を得るのに最適なのは、一人の主人公が経験していくことをていねいにたどった物語の本。

    ■P.15 第2章 思春期にさしかかる前に
    自己認識力と自己制御力を養える、主人公に感情移入できて、同時に客観的な「読者の目」でも読めるような物語。
    ・「ゆうかんな女の子ラモーナ」
    ・「丘はうたう」
    ・「王への手紙」ドラフト
    ・「影との戦い」ル=グウィン

    人間関係の体験や生活体験、自然体験に加えて、感情移入できる主人公といっしょにトラブルを乗り越え、問題解決の喜びを味わえるような物語。
    「楽しい」「ためになる」「お手本になる」だけでなく、主人公といっしょに心のなかの嵐も体験し、それをくぐり抜けて「よかった」と思えるところまでたどり着けるような物語。
    ・「おもしろ荘の子どもたち」「川のほとりのおもしろ荘」リンドグレーン
    ・「小さなジョセフィーン」「ヒューゴとジョセフィーン」「森の子ヒューゴ」グリーペ
    ・「鬼の橋」伊藤遊

    ■P.41 第4章 昔話からもらえるもの~傑作の昔話~
    ・赤羽末吉の「王さまと九人のきょうだい」「つるにょうぼう」
    ・脇田和の「おだんごぱん」
    ・ホフマンの「ねむりひめ」
    ・ブラウンの「シンデレラ」
    ・中川李枝子の「ねこのおんがえし」、「いたずらぎつね」
    ・君島久子訳の「白いりゅう 黒いりゅう」
    ・内田莉莎子編訳の「ロシアの昔話」
    ・大塚勇三訳の「ノルウェーの昔話」
    ・石井桃子編訳の「イギリスとアイルランドの昔話」
    ・内田莉莎子訳のポーランドのジプシーの昔話集「太陽の木の枝」
    ・カルヴィーノ作、河島英昭訳のイタリアの昔話集「みどりの小鳥」
    ・佐々木田鶴子訳の「グリム童話集」
    ・大塚勇三訳の「グリムの昔話」
    小学生が好きなスケールの大きい冒険のお話で、
    ・中国の「犬になった王子」
    ・ロシアの「牛の子イワン」
    ・ノルウェーの「旅の仲間」

    ■P.79 第6章 「生きる力」を育てる物語を
    ・リトアニア民話の「パンのかけらとちいさなあくま」
    ・アーディゾ-ニの「チムとゆうかんなせんちょうさん」「時計つくりのジョニー」
    ・神沢利子の「ちびっこカムのぼうけん」
    ・富安陽子の「小さな山神スズナ姫」
    ・エーリヒ・ケストナー「ふたりのロッテ」
    ・問題解決の手法を学べる、トンケ・ドラフトの「ふたごの兄弟の物語」→「王への手紙」

    ■P.102 第7章 書き方だって読めば学べる
    書き出しに主人公の情報をまとめたり、各章の終わりにその章に出てきた人たちについてまとめるなどの"工夫"を凝らすことで、まだ読みなれない子供たちの手助けをし、子どもたちが一人読み出来るように導く良書
    ・「エーミールと探偵たち」
    ・「点子ちゃんとアントン」
    ・「飛ぶ教室」
    ・一巻は一人称だが、二巻で登場人物の一人が語り手となることで世界が広がる「ドリトル先生航海記」
    ・主人公の目から見た表面上の出来事と、後からわかる真相で注意深い読みを必要とする「宝島」
    ・書くことのてほどきとなる「あしながおじさん」
    ・書くことの喜びに出会う「オタバリの少年探偵たち」

    ■P.134 第8章 読むことで開ける新たな地平
    思春期にさしかかる前に、男女の視点の違い
    女子は男子物(「宝島」、「飛ぶ教室」、「オタバリの少年探偵たち」)でも平気だが、男子は女子物(「若草物語」、「小公女」、「赤毛のアン」、「リンゴ畑のマーティン・ピピン」)は抵抗ありなので、男女両方出てきて対等に活躍する物語を。
    ・「点子ちゃんとアントン」
    ・「エリコの丘から」
    ・ド・ヨングの「あらしの前」と「あらしのあと」
    ・マクドナルドの「お姫様とゴブリンの物語」、短編の「かるいお姫さま」「昼の少年と夜の少女」「妖精の国」

    ■P.141 第9章 物語を読み聞かせよう
    読み聞かせは本を読む子にも有益、一人読みとは異なる魅力。小5などの高学年でも欲するもの。できれば毎日10-15分などを取って長編ものでも。
    小3くらいで、「エーミルはいたずらっ子」「ちびっこカムのぼうけん」「北のはてのイービク」「とぶ船」などへと発展させられるし、「ドリトル先生航海記」もいける。

    ■P.166 第10章 ボランティアでもできること
    三年生に月に1回10分のみの朝読書でも、朗読と説明の組み合わせで、ドラフトの「ふたごの兄弟の物語」、翌年には富安陽子の「小さな山神スズナ姫」、四年生には、ルイスの「とぶ船」を届けられた。

    ・話を選ぶ
    男児向けで。女児はわりあいなんでも平気、女子主人公なら、「小さな山神スズナ姫」や「ふたりのロッテ」などパワフルなものを。
    ・小さな工夫
    わかりやすくするために表紙の絵や挿絵をゆっくり見せたり、その国の風景や暮らしの様子などがわかる絵や写真を見せたり、ちょっと説明を加える工夫も必要。
    ・担任の先生にも
    一緒に聞いてもらうと、いっしょにドキドキして喜んだ経験は、先生と子どもの絆をずっと確かなものにしてくれる。
    ・最後まで読めない時
    読む時間を少し削ってでも、その後の話をおおまかに説明してしめる。結末を知って読む気がしないのはたいした作品ではなく、読みなれない子は多少内容を知っていた方が安心して読めるものだし、いい作品なら結末を知っていても読みたいものだから。

    ■P.183 説明+一部朗読の工夫
    ・紹介したいなかから、聞けば想像力が働いてお話に引き込まれやすい箇所を選ぶ
    ・そこをりかいするために必要な情報を盛り込むように気を付けながら、全体について説明するための原稿を作成
    ・10分の時間なら、朗読に7分、説明に3分くらいの割合。
    ・慣れれば字数で検討がつくので、読んで時間をはからなくても原稿作成が可能。
    ・色々な本を紹介しているブックトーク手法を、いわば一冊に集約した、より本の魅力を伝えやすい方法。

  • 1階閲覧室 019.2||ワ||1

  • 毎回原点に返させてくれるなぁ〜
    自分にできることを、ちょっとずつ

  • 「書き言葉」の読み書きができる能力=現代そして未来を子ども達が生き抜く力であると、私はこの本を読んで解釈した。
    絵本や昔話から、長編も含めた創作物語の世界へ子ども達を導く手法についても、著者らが実践し実際に効果をあげているものが紹介されており、興味をひかれる。

    私は小学校低学年に読み聞かせをする機会に恵まれている。その中で常々思うのが、5分程度の絵本だと、明らかに物語は昔話や科学ものと比べ「食いつき」が悪い、ということだ。
    しかしそれは、物語自体を子どもは求めていないからではなく、子どもが知りたい内容を伝えるには本が短すぎるからなのだろうと、考えさせられた。

  • 小学校での読み聞かせ、いろいろ疑問に思ってる部分があったので、自分への力になりました。
    絵本だけでなく、読み物を週1回でもいいので続けて一緒に読み進めるということ、一度仲間と話し合って挑戦してみようと( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧

  • 子供に本を読めと言う前に、まず良い本を大人が読み聞かせて、本を読む楽しさを体験させてあげることが大切だそうです。
    じっくり本を読める子が、生きる力を身につけることができるそうです。

  • 五十嵐絹子さんと同じで、読書の重要性を説いている。ただ読む(流し読み)ではない、しっかりとした物語を読む読書は想像力や思考力を養うものである、に同意。

  • 娘に今からでも遅くない、一緒に本を読みたいと思いました。

  • 子供のうちに本を読むことの楽しさとお薦めの児童文学作品の紹介。読み聞かせの効用について体験談を交えての紹介。

  • 読書支援は、子どものこれからの人生に大きな影響を及ぼす大切な課題です。小学生の主体的な読書活動のために、どんな本を選んで、どのように与えればよいのかを明らかにする本です。OPAC → http://t.co/xM7ucwfI92

  • 読書から得られる力は、思考力、想像力、記憶力、感情移入によって育つ自己認識力、自己制御力。

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著者プロフィール

脇明子

「2018年 『ねこのオーランドー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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