リスク化する日本社会――ウルリッヒ・ベックとの対話

制作 : ウルリッヒ・ベック  鈴木 宗徳  伊藤 美登里 
  • 岩波書店 (2011年7月29日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000255677

作品紹介・あらすじ

様々な危機や不安に直面する日本社会にとって、人々の生活や人生上のリスクを安定化する装置がどのようなものであるべきかが問われている。本書は、リスク社会論の第一人者との対話から、そのためのヒントを探る試みである。「個人化」「第二の近代」「コスモポリタン化」といったベック理論の重要概念に批判的な検討を加えながら、社会理論の役割、リスクの時代の家族と社会保障、日本と東アジアにおける多元的近代をめぐって議論が展開される。2010年秋の連続シンポジウムの記録に、ベックが福島第一原発の事故を論じた貴重な論考も収録。

リスク化する日本社会――ウルリッヒ・ベックとの対話の感想・レビュー・書評

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  • この本は、ベックの『危険社会』を読んでいる前提の議論だった(気がする)。なので、ベックの『危険社会』を読んでいる人、もしくはベックの理論に精通している人なら、それを今の日本社会やアジアにどうフィットさせる事が出来るかという内容であったから、ベック理論の応用した書物として楽しく読めるはずである。また、本書はベックと日本の社会学者のオムニバス形式の本であり、それゆえ内容が非常に濃く、しかも内容がシンポジウムの議論を土台として書かれていたものであったため、ベックの章に対して日本の社会学者が回答し、それに対して更にベックが回答する、といったように、それぞれの章が有機的に繋がっているのが良いと思った。

    自分はベックの危険社会を読んだ事が無ければ、ベックの理論も全然知らなかったので、前半はかなりイミフだったが、各章で重複している内容が結構あったため、読むにつれて議論の内容がちょっとずつ分かっていった。
    ということで、自分みたいにベックに関しての知識が無く、さらには社会学の知識も乏しい人間が読むと、最初は本当にイミフだと思うので、事前にベックの危険社会を読むとか、ベックの理論に触れたり社会学の基礎的知識を持って読んだ方が良いなと思った。

    蛇足だが、自分は経済学の書物に慣れているためか、社会学は経済学の文章のディシプリンとかなりかけ離れているため、改めて社会学の本は読みづらいと感じた。しかしながら、こういうのも所詮慣れの問題だと思うので、最初は辛くても我慢強く食らいついていく姿勢とかを大事にしていきたいと思った。

  • ベックの「再帰的個人化」「第二の近代」そして「コスモボリタン的」なものについての考察。
    来日時の講演集である。

    ざっくりいうと、規律権力的なある枠組みの中で「個人」という一つのパーツとして振舞う「個人主義」から、規律権力も崩壊してグローバルなあれこれの中に「個人」として放り込まれる時代にわれわれは来ていて、そうすると国家という枠組みで考えていたような問題系では捉えきれないリスクが拡大しているから、国家を超えた(=コスモポリタン的な)、世界を一つの領域として捉えた協調関係を築かなくちゃ、というお話。これを地域や家族史など多様な専門家が吟味して論じる、というようなところ。社会分析の鋭いエッセンスが散りばめられた興味深い講演集である。

  • 社会理論の本。ヨーロッパ、日本、アジアの近代化と第一の近代と第二の近代と、アジア/日本における同時性。そして、近代化の「成功」によって産み出されたリスクと、性急すぎる近代化によって産み出されたリスクに対して社会制度が制御する術をもたず、リスクへの対処が個人化しているという、「個人主義なき個人化」の話など。原発の話はあまりないけど、なぜ日本が、あるいは世界が、「グローバルなリスク」制御しきれないのかとメタ理論的あるいは現象的に捉える助けになると思います。ちょっと読みにくいけど、面白かたです。

  • 現代では、グローバル化、システム化、個人化によってそれまで包括的一体性を保っていた個人と社会が反対方向に離反し始めた。そして、歴史上初めて、個人が社会的再生産の基本的単位となったのであり、単なる社会の構成要素でない個人が生み出された。

    東アジア諸国においては実質上圧縮された近代化の最大の敗者は農民共同体である。

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