笑いの力

  • 岩波書店
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本棚登録 : 164
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000257565

作品紹介・あらすじ

狂言、川柳、落語-、笑いの伝統が数多くあるのに、なぜ現代人は笑いの力を忘れてしまったのでしょうか。笑いを深く考えてきた三人の識者が、古今東西の笑いを考察します。本書は、人間の生き方や社会の仕組みを相対化し、そのあり方を再発見させる笑いの効用を論じた、シンポジウムの記録です。閉塞化した日本の状況に風穴をあける、笑いの旋風をお楽しみください。

感想・レビュー・書評

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  • 2004年に小樽市で行われた、絵本・児童文学研究センターのセミナーをまとめたもの。

    臨床心理学者の河合隼雄は「児童文学のなかの笑い」、解剖学者の養老孟司は「脳と笑い」、作家の筒井康隆は「文学と笑い」とのテーマそれぞれ講演。

    女優で落語家の三林京子(桂すずめ)を加えたシンポジウムも収録されている。

    「生きているだけで丸儲け」
    「最後に笑うものが最もよく笑う」
    動物のなかで、人間だけが笑うことができる。

    いろいろあるけど、笑って過ごそう。

  • 河合隼雄は嫌いだが養老孟司は好き。

  • この本は、2004年に小樽市の「絵本・児童文学研究センター」主催によるシンポジウムの記録を元にしたものです。

    講演者3人の顔ぶれを見ただけで何とぜいたくな!と声を上げそうになりましたが、とても面白く読みました。児童文学や絵本、神話などを豊富に例に挙げて語られる河合先生のお話はいつもながらわかりやすく楽しく、笑いが人の健康や子育てに及ぼす力をとても暖かく語られています。私も大好きな台湾の作家ジミーの『ほほえむ魚』を取り上げていらしたので、ぜひ読んでみたいと思いました。

    養老孟司先生の講演で印象的だったのは「一神教」の長い宗教的歴史を持つ西欧には、街の真ん中に立派な劇場や荘厳な教会があり、その中に「虚構」つまり暗黙のうちに納得している「真っ赤な嘘」が在ると了解することでバランスが取れているのに対し、明治以来、西欧的自我の確立を取り入れ、追いつけ追い越せとやって来た日本人は、その息苦しさのガス抜きをすることが下手で無理がたたって変になって来ていると言う話。

    筒井康隆氏は自分の創作活動の始まりがジュールな笑いにあったと言う話から、ブラックユーモア、SF、ファンタジーの不条理な笑いに真剣に取り組んでいらした半生と今後のチャレンジについて語られていました。

    後半はセンター長の佐藤氏を司会に、女優で落語家でもある三林京子さんを加えてのシンポジウムの記録。ここではそれぞれの体験を元に笑いについて語り合われ、悲劇と喜劇が紙一重であることや、型にはめ込むもの、一神教のような抑圧的な物があってこそ、それを茶化す笑いも生まれること。笑いの「間」、「生きてるだけで丸儲け」と思えば笑うゆとりも出てくるなど、大いに共感しました。同時に日本人の古来からの「諸行無常」や「無我」、天の岩戸の頃からの大らかな笑いをそろそろ取り戻してガチガチになった社会の論理的枠組みの綻びをもっと笑っても良いのでは無いか?そんな事を思う一冊でした。

  • 笑いについて大物3人の考えが書いてある。
    セミナー、シンポジウムの記録だったようだ。
    河合さんが紹介していた児童書をいくつか図書館で予約した。

  • いい歳したおじちゃん達の与太話。でも、それが面白可笑しくて笑えるかも…

  • 2015.5.24笑いについて真面目に考察した対談の記録。笑いにももちろん文化的な背景の影響があって、個人のアメリカと集団の日本での違い、一神教の西洋と多神教の日本の違いなど、真面目に考えるといろいろあるんだなと思った。動物は笑わない、人間は笑う。故に笑いは人間に固有のものである。ところで人間に固有の別のもので、文明、文化、社会ルールというものがある。これを作ることで人間は本能だけでなく、互いを尊重し衝突しないように生きることができている。しかしこれは、やはり本能を抑えるという意味でストレスである。ではどうストレスを発散するか、これが笑いである。別の本では、笑いによって人間は無に帰るというか、悟りの境地と同じ状態になると書いてあった。つまり文明とか作る前の、原初的な存在に戻る。笑いとは、論理の綻びから、我々のもつ世界観をうまく壊すこととあった。生存のために作ったルール、それによるストレスがあり、このルールを壊すことで、ルール以前の人間に戻ることが、笑いになるのかもしれない。評論ではないので説得力があるわけではないが、文量も少なくサラッと読めて、そして笑いについて多くを知ることができた一冊。あとは、いかに壊すか、である。

  • こんな大物たちが笑いについて語るとなると、なんとも楽しそう。
    さらっと読めるので、内容もそれなりにさらっとしている。もっと一人ひとりの話を聞きたかったなぁ。

  • 河合隼雄、筒井康隆、養老孟司による講演会の記録。特別面白い本ではないが、「笑い」を考えるきっかけになった。

  • 笑いの力 河合隼雄 養老孟司 筒井康隆
    ルイス・カザミン
    「笑いはユーモアに関わっていて、ペーソス(悲しみ)と結びついて行くときに人間本来の笑いというものが発生する」
    イギリス人がユーモアを理解出来る人の条件
    ①アイロニー(皮肉)を感じ取れる
    ②不条理な世界を感じ取れる
    ③現実感覚
    ④愛情

    河合隼雄
    動物が笑わない理由は、ストレスがないから。
    自然の中で自然に生きているとストレスはない。
    しかし、人間は文明を生み出して、
    自然じゃないことをやろうとする。
    だからストレスがたまる。

    日本人が笑わなくなった理由
    明治時代の追いつけ追い越せで余裕がない時代。

    ケストナー

    養老孟司
    きちっとした世界だけだと疲れちゃう。
    マンガやファンタジーのような別の論理で
    構築された真っ赤なウソを見ると安心する。

    世界はすべて脳が作っている。
    人の数だけ脳がある。その世界も人の数だけある。

    黒澤明「羅生門」芥川龍之介「藪の中」
    3者3様の事実があり、
    真に客観的な事実なんて存在しない。

    笑いは論理的にきちんと構築された世界の破綻

    筒井康隆
    神話→恋愛・冒険→悲劇→リアリズム
    →現代はアイロニー。
    主人公の地位がどんどん下がって来る。

    モダニズム以降、ギャグ笑いの多い
    文学的作品が増える。
    ミランクンデラ「不滅」
    ガルシアマルケス「百年の孤独」「族長の秋」
    ※マジックリアリズム
    「パンタレオン大尉と女たち」
    「フリアとシナリオラリター」
    自分をバカにしないと笑いは出来ない
    対談笑いの世界 桂米朝と筒井康隆

    アンドレジレド「偽金作り」
    高度なメタフィクション

  • 大の大人が、笑いについて真剣に議論。笑いとはこうも奥が深いものか。内容は濃いが笑いながら読めます。

    九州大学:すず

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著者プロフィール

河合 隼雄(かわい はやお)
1928年6月23日 - 2007年7月19日
兵庫県多紀郡篠山町(現・篠山市)出身。京都大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。文化功労者。元文化庁長官。1952年京都大学理学部数学科卒業後、京都大学大学院で心理学を学びつつ、数学の高校教諭を兼業した。
天理大学で助教授時代にユング研究所に滞在し、ユング派分析家の資格を取得。日本における分析心理学の普及と実践に邁進。箱庭療法導入者としても知られる。欧米の心理療法を日本文化に根ざす仕方で導入を試みており、日本論・日本文化論の著作も多い。
主な受賞歴に、1982年『昔話と日本人の心』で大佛次郎賞、1988年『明恵 夢を生きる』で新潮学芸賞、1992年日本心理臨床学会賞受賞、1996年NHK放送文化賞をそれぞれ受賞。1995年紫綬褒章、1998年朝日賞、2000年文化功労者顕彰。
なお2012年に一般財団法人河合隼雄財団が設立されており、そこで本人の名を冠した「河合隼雄物語賞・学芸賞」が設けられている。

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