我、涙してうずくまり

  • 岩波書店 (2013年1月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784000257794

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  • 主人公の「存在の悲しみに膝を屈し孤独と諦念に生きる中年の『私』」(表紙裏の本紹介文より)が、延々と独白を続ける。思考の過程をいちいち言葉にして吐き出している。これが饒舌だわくどいわ大げさだわ。最初は息が詰まるって思ったけど、これが不思議と重くなく、むしろ軽い。軽妙な文章だった。

    語弊があるかもしれないけれど、四十男の「私」がとにかく滑稽。おかしくて愛おしい。どうせ俺なんか、とひねくれ、凹み、かと思えば「!」と何かを思いつき、ワクワクしはじめ、つまづいて「ぬおー!」って怒ってまた凹む…を4章にわたり繰り返す。各章とも不思議と最後は肯定的な考えにたどり着き、ラストは…。途中、御本人はすんごい悩んでいるのに、おかしくて、くすくす笑ってしまった。最終章はトトロ出てくるかと思った。

    その生い立ちには同情するけれども、この人むしろハッピーなのでは…?作者の意図と違ったら大変失礼だけど、人生って喜劇なのかもなーと思う。おかしくも愛おしいもの。大上段に振りかぶって「人生とはかくある!」と言われるより「何この人ちょっとウケるんですけど!でもなんか一生懸命だな…」って方が真実味がある気がする。

  • 新緑、森、川の流れ。とりまく自然の美しさに心動かされながら、しかしまた自我にとらわれ、心は揺れ動き続ける。そして出会う様々な死。心は千々に乱れ、希望と絶望を循環し続ける。4つの中編はそれぞれに詩的で美しく、なおかつ読みやすい。著者の言葉は冴え渡り、文学を堪能できる。ただ、322頁以降の展開は必要だったのか。そこに少しひっかかっている。

  • すばらしい。同時代に読むことができてよかった。

  • 詩篇のような・・・、吟遊詩人を思わせるような・・・、膨大な数の形容がひとつの対象を埋もれさせながら、的確に表出してくる・・・・。
    なんて・・・・おもしろい。
    なんと・・・・魅力的な小説だろう。
    大江を・・・三島を・・・ふと思い起こす。
    「鳩は死せり」を耐え忍べば・・・、一気に読み通すこともでき、読み通さなければ収まらない気持ちにさせてくれる。

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著者プロフィール

1943年、長野県飯山市に生まれる。仙台電波高等学校卒業後、東京の商社に勤務。66年、「夏の流れ」で文學界新人賞を受賞。翌年、第56回芥川賞を史上最年少(当時)で受賞し、作家活動に入る。68年に郷里の長野県に移住後、文壇とは一線を画した独自の創作活動を続ける。主な作品に『雨のドラゴン』『ときめきに死す』『月に泣く』『水の家族』『千日の瑠璃』『争いの樹の下で』ほか多数。また、趣味として始めた作庭は次第にその範疇を越えて創作に欠かせないものとなり、庭づくりを題材にした写真と文章をまとめた本も多い。また、2020年に「いぬわし書房」を設立し、長編小説『ブラック・ハイビスカス』(全4巻) を、23年、『風死す』(全4巻) を刊行。出版活動のほか〈丸山健二塾&オンラインサロン〉や〈丸山健二文学賞〉なども運営している。

「2024年 『言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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