問いかけとしての戦後日本と日米同盟――脳力のレッスンIII

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000257923

感想・レビュー・書評

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  • 理工系の知で武装された金融付加価値の創出、象徴的にいえばITとFTの結婚。ネットワークITが進行しなければ成立しない金融ビジネスモデルが急速に拡大した。

    バンドン会議は日本にとって日中国交回復への機転となった。

    中国は外からの危機に対しては強いけれど、内からの危機、政治不安が起こると大変な混迷に至るという歴史的背景を持っている。アメリカのアジア政策の本質は分割統治。
    アメリカを排除する形で東アジアの連携を図ろうとしても、かつてマハティール構想に激しく反発したように、ネガティブなエネルギーにさらされる。

  •  現在の「政治・経済」を扱っている書はあまたあるが、やはり本書は読み応えがある。
     「経済」における「直面する危機」や「政治」における「日米同盟」についての多くの考察は、著者が「脳力のレッスン」というだけに、どう考えたらよいのかという多くの指針を含んだものとなっている。
     もちろんすべて全面的に賛同できる内容ばかりではないが、一般にマスコミで流される表層的な情報にとどまらず、確かに一段と深い考察であると思う。
     著者の「立ち位置」は、かつては「右」と思われていた位置であるだろうが、世の中全体の価値観が右に移動した結果、今では「中道左派」になるのではないだろうか。
     著者の主張は「大中華圏(グレーターチャイナ)」とあるように、一見「親中」にも見られるから、現在ではやや影響力も落としているかもしれないが、本書の日本の過去をも含んだ考察満載の「時評エッセイ」は、読者を多くの深い思考に誘ってくれるという意味でも高く評価したい。

  • 金融工学:本来、カネなど貸してはいけない奴に、どうやって金をかすかという技術だ 米国への敬意や支持が今ほど弱まっている状況は記憶にない 渋沢栄一は経営の本質は責任にほかならないということを見抜いていた 日本人が失っていることは自分の身辺的利害を超えて、国や社会の在り方のために立ち向かう気力である 冷戦終焉の産物がIT革命 加藤周一 頭の回転をよくする読書術

  • 本書は三井物産に長らく在籍し、商社的観点から戦後を考察し、将来の指針を提言した寺島実郎の著書である。
    「○○の政策でGDPxx%押し上げ」などの昨今のエコノミストと異なり、大きな視点で物事を考えられる1冊である。
    本書においては戦後日本、世界潮流、時代認識の3つのテーマにおいて、それぞれの時代の特徴的な事柄から今の我々を考察している。
    例えば評者も好きであるが、戦後日本の代表的な映画に「ゴジラ」がある。第一作では放射能の恐怖を描いたものだが、次第にヒーローとなっていき、評者が子供の時にはそのようなものとは無縁となっていた。
    筆者はゴジラからも戦後、 「核 に対する問題意識が霧消してしまった」と評する。

    もちろん評者とて映画そのものを批判しているわけではないし、これを以て全てを論じているわけでもない。
    それ以外に書かれている1つ1つの内容もページが少ないため、全てをうのみに出来なくとも、評者の論じている内容に程度の差はあれうなずけることはあるのではないか?

    「そんなことを言っても経済が第一だ」と批判したくなるが、大きな構想力無くして、個別の政策を論ずるのは視野が狭いと言うべきであろう。
    自らの視野を広くし、時代の問いかけに目を向ける力、評者も是非とも培いたいと思わされた一冊である。

  • 雑誌『世界』の連載よりオンラインジャーナルを聴いていたので概要は理解していた。改めて活字で確認している。

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