大学と教養教育――戦後日本における模索

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000258791

作品紹介・あらすじ

第二次世界大戦後、アメリカの制度を範として日本の新制大学に導入された「ジェネラル・エデュケーション」という新たなカリキュラム。大学生みなが共通のに学ぶものとされながら、常に不要論と擁護論の狭間にあったこの「教養教育(一般教育)」は、導入期、大学大衆化時代から一九九一年の制度上の廃止、そして現在へと至るまで、どのように変容・定着したのか。そして日本の高等教育システムに対していかなる役割を果たしたのか。大学教育の歴史と全体像を俯瞰する、実証研究の労作。

感想・レビュー・書評

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  • 本書を読み終えて、コンサートホールのS席で重厚なシンフォニーを聴いた後のような心地よい疲労感と余韻を味わっている。他の高等教育研究者の研究成果と趣が異なり、芸術作品のような論文だった。膨大な資料から紡ぎ出された結論には、多くの読者が「納得」するはずだ。

    論文を書いている今、参考になったのは、枠組みの作り方、先行研究の扱い方、一般教育に対する評価の視点の3点だった。それら3つに共通することは、一般教育や教養教育の事例や現状を嘆いたり、批判のみに陥ったりしないこと、日米のリベラルアーツ教育や一般教育の差異を指摘し、アメリカでのそれを理想視・絶対視しないことが、基本的な背景としてある。教養教育の在り方について、賛成ないし反対の主張をすることを目的とせず、客観的視座を保ちながら論を展開し、収斂させる「構成」を範としたい。

    著者は、「教養」を身につけるための教育が「教養教育」という認識が、誤解であることを丁寧に教えてくれている。この「誤解だ」という指摘は、これまでも多くの論者によってなされているが、必ずしも説明が十分でなかった。本書で再確認できたことは収穫だった。

    なお、元の博士論文には序章に「分析事項と依拠するデータ」が示されているが、本書では割愛されている。この一覧表の意味は重要だと思われるが、紙幅の都合上だろうが掲載されていない。理解の助けになる表なので、必要に応じて原論文を参照してもよいのではないか。

  • 専門教育の中でも教養教育の理念を活かした教育ができるとすれば、教養教育と専門教育といった区別は必要なくなる。
    2000年ごろからは学部ではなく学士課程と呼ぶところもあるらしい。

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