小栗上野介忠順と幕末維新――『小栗日記』を読む

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000258883

作品紹介・あらすじ

外国奉行や勘定奉行などの要職を歴任し、幕政の中枢を担った小栗上野介忠順。開国の信念のもとに断行された改革はいかにして頓挫したのか。幕閣を罷免された後、官軍によって処刑されるに至ったのはなぜか。その生涯の最期に綴られた四七四日間の日記を精緻に読み解くことで、激動の時代における新たな小栗像を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • ☆消された敗者の歴史

  • 幕末の鳥羽伏見の戦いで大阪城から帰ってきてしまった慶喜に対し、袖を掴んでまで交戦を訴えた小栗上野介忠順は慶喜の一言で罷免され、江戸を離れ、自分の所領地であった上州(群馬県)権田村に引っ越すが、そこで東進してきた官軍によって捕らえられ、裁判もなく即処刑されてしまった。
    横須賀製鉄所や日本で初めての株式会社など革新的なことを幕府の中にいながら推進していった能吏を失ってしまったのは、その後の明治維新にとって大きな損失だったのではないだろうか?
    この本は忠順の日記を読み解いてゆくというものであるが、彼の日記には日付、天気、いつ登城していつ帰宅したか、誰を尋ねたか、誰がいつ頃尋ねて来たか、くらいしか記述がなく、何をしたのか、何を話したのか、何を考えていたのかなどは一切書かれていない。これをたの文献と比較して、そのとき何が起ったのか、何を考えていたのか、などを推測するするという非常にチャレンジングな分析になっている。
    彼がアメリカから帰国してから、罷免されるまで、特に長州討伐から鳥羽伏見の戦いまでどこで何をしていたのか、もっと知りたくなった。

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著者プロフィール

1940年静岡県生まれ。国立歴史民俗博物館名誉教授。東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了。群馬大学教育学部教授、国立歴史民俗博物館教授、総合研究大学院大学教授を歴任。文学博士。専門は近世教育・社会史、アウトロー研究。著書に、『日本民衆教育史研究』(未来社)、『国定忠治の時代』(ちくま文庫)、『江戸の教育力』(ちくま新書)、『江戸の訴訟』『清水次郎長』『一茶の相続争い』(岩波新書)、『清水次郎長と幕末維新』(岩波書店)、他多数。

「2020年 『江戸のコレラ騒動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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