- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000258975
作品紹介・あらすじ
世界一の高品質と言われる日本の映画字幕。その製作をめぐる職人的極意から、憂慮すべきニホンゴ問題まで一刀両断、気鋭の字幕翻訳者による書下ろしエッセイ。銀幕の裏で呻吟する字幕屋にも、字数制限さえなければ広い渡世がありました。日々発展の技術のもと、刻々変貌する日本語に喘ぎ、されど時代と言葉の伴走者、字幕文化の灯は消すまじ-。
字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記の感想・レビュー・書評
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映画字幕がどのようにしてつくられているかご存知ですか?字幕は人が読みやすいとされる一秒四文字という制限の中で、伝わりやすいように言葉を選んでつくられているそうです。翻訳の技術と日本語の深い知識を駆使し、長いセリフ、長い掛け合い、そしてどうにもならないほど長い名前など、制限内に納まるよう著者の努力は続きます。
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ロシア文学研究者を目指して、いつの間にか字幕翻訳者になった著者が、字幕翻訳がどういうものかを面白おかしく紹介し、それがいつの間にか、日本語論、言語論、社会文化論に、そして、人生論に。自分の道のモデルはどこにもないというメッセージが心に残ります。
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字幕の勉強をしている人は間違いなく読みたい。
字幕が好きな人も、もれなく読みたい。
内容が濃くてとても勉強になる一方で文体が軽く、太田さんの人柄がにじみ出る素敵なエピソード満載。
惜しい方が亡くなったと改めて思う。この本を残してくださってありがたいです。 -
一見サバサバとした、攻撃的にも思える文章だけれど、それはひとえに仕事に熱意をもって真摯に取り組んでいるからなのだと感じる。
字幕翻訳者になるまでの経緯や、仕事への思いが詳しく書かれていて、諦めちゃいけないなと刺激を受けた。 -
めちゃくちゃ御世話になっているので、日本のハイクオリティ字幕がセコい予算都合で劣化する話に戦々恐々。本気で困る。その防止対策として何かできる事はないのか!?と青ざめ。あるなら是非知りたい。安易な当座の金の確保の為に優れた文化を簡単に落とすなよ!戻すの難しいんだから!アホか!?ホント勘弁して!(T_T)
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『字幕屋は銀幕の片隅で・・・』が字幕を通して日本語を問い直す、という観点だったのに対してこちらは字幕制作の裏側の話。
ぶつくさと文句をたれながらも(!!)、著者の字幕への情熱がばしばしと伝わってくる。
字幕翻訳者にどうやってなったのか・・・という来し方も書いてあって面白い。日常に飛び交う日本語がすべて著者の肥やしとなり、明日の字幕に反映される…。 -
801.7
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あんまり岩波らしくない本である。いや、岩波も変わってきているのか。大田さんは、映画の字幕をつけるのをなりわいにしている人で、本書はその大田さんが、字幕作業はどのようにすすめるのかという内輪話から、字幕を仕事にするにはどのようにすればいいのかという職業案内、さらには、字幕作業でつねに直面する日本語の論にまでわたる。文章はとてもなめらかというか、むしろ饒舌である。最初はちょっとやかましいおばさんだなあ(じじいに言う権利はないが)と思って読んでいたが、だんだんそのテンポが心地よくなってくる。そんな文章だ。ただ、ニホンゴ論の最初の方は、日本語論一般のようでちょっと投げ出したくなる感じがしたが、話が、字幕作業をするなかで感じるニホンゴの変化、難しさを論じるようになって面白くなった。とりわけ、翻訳担当者と大田さんのセリフをめぐるやりとりは、字幕作業の醍醐味と難しさを伝える。また、「自分探しよ」といった、いやだと思っていた最近の表現を使わざるを得ないこととか、ことばに対するセンスを養うことの大事さを教えられる本でもある。それにしても、一つの映画の字幕ができるまでにはとてもたいへんな工程があるようだ(そのわりにはかける時間は短い)。また、日本では字幕が主流だが、それはどこでもそうではないらしい。このあたり、日本語の構造とぶつけると面白そうだ。ぼくは、gleeのDVDを3集まで見たが、あれもやはり吹き替えでは面白くない。ところが、今は、吹き替えと字幕を選べるようにもなってきているし、吹き替えで充分という人もいるらしい。字幕屋さんも生存の危機に瀕している。あと、大田さんの生活は、夜と昼がひっくりかえった、はちゃめちゃなもので、食事もカップラーメンと、野菜ジュース。こんな生活をしていると長生きできないだろうなと老婆心ながら心配になった。字幕屋というのは大田さんの先輩清水俊二さんが使ったことばで、それは決して自分を卑下しているわけではなく、むしろ、翻訳者にはできない職人芸であることを誇りに思う呼び方である。
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面白い!映画の字幕はどんな気遣いで作られているのか軽妙な文章で書かれている。具体的な字幕作成手順や制作会社との攻防、日本語へのこだわりなど。わかりやすさと質の良い日本語の狭間で悩むくだりは、自分でも心当たりがある。のと同時に跳ね返ってくる。一行にどれだけの思いと情報が詰まっているのかよくわかる本。
太田直子の作品




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